今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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限定修理のはずがの巻

2024年07月20日 17時00分00秒 | ブログ

ハーフミラー交換の限定修理でしたので画像を撮っておりませんでしたが、他にいろいろと問題が出て来て、限定修理の恐ろしさという感じです。ハーフミラーの交換を終えて電源のリード線を基板に半田付けしようとしましたが、芯線が腐食していて半田が乗りません。もしやと思い、電池室のリード線を点検すると・・あ~、これは電解液漏れを起こしています。

電池蓋を開けてみると・・あ~ぁ、画像ではそれほどに見えませんが、電解液が漏れて電池室内で結晶になっています。この状態でもメータの針は振れていたのです。ハーフミラー交換の前に、電池の管理はオーナーさんの責任です。いつもお書きしていますように、精密機械の内部で電解液が漏れた場合、どれだけの被害を与えるのかを認識していただきたいと思います。使用する電池によっても電解液の漏れは違うようですから、信頼できる電池を使いましょう。因みに私はクォーツ時計用の電池は時計メーカー純正の電池しか使いません。時計メーカー製は液漏れ対策をしてあるからです。

本来は工賃に入っていませんが、このままにしておくことは出来ません。悪いことに、普通、リード線の交換は古いリード線と新しいリード線を半田でつなぎ、古いリード線を引っ張って新しいリード線を通すのですが、スローガバナーとダイカストに挟まれてリード線が動きません。仕方ありませんので前板を分離することになります。こうなるとオーバーホールと変わりません。また、電解液に侵された電池接片はそのままでは半田が乗りません。画像はリード線を通したところ。

電池ケースなどを洗浄して組み立てたところ。

 

 

ハーフミラーを交換した場合は露出計の感度調整を行いますが、メーター針の初動の動きに引っかかりが有ります。このような場合は大概ピポットをいじられています。この個体は当初、未分解機と思いましたが、いじられていますね。中央ネジの緩み止め(赤)が壊されています。ここは通常は触ってはいけません。

その他、セルフタイマーの調整やプリズムの清掃、モルト交換をしてあります。

 

オーバーホール中の作業であれば問題ない作業でも、極力分解をしない状態での作業は返って困難を伴うことがあります。出来るだけ限定修理は避けたい理由です。

 

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