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カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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僕100円のPEN-S2.8の巻

2024年07月09日 18時00分00秒 | ブログ

PEN-S2.8 #2295XXと前期型ですけど、何と100円で購入されたとのことです。100円かぁ、がっかりですね。全体的に手油がしみ込んだ「ヌメッ」とした手触りの個体ですが、一応シャッターは切れますしレンズもきれい。このアンバランスがヒントでした。

製造は1962年5月と思われる前期型で、スプロケットはアルミ黒アルマイトにスプールがグレーの頃。

 

では、洗浄のために分解をしていきますが、あれっ? リングナットに回り止めの半月ネジがありますね。これは後期の生産に使われたシャッターにしかないのです。

 

トップカバーを外してみます。あぁ、やっぱりね。シャッターユニットのハウジングが黒アルマイト仕様です。これは最後期に使われたシャッターです。ということはシャッターユニットを換装されているということです。道理でスピードは遅いですがシャッターは作動したのでしょう。

チャージレバー軸にグリスがごってり。工場ではグリスは塗布しませんので途中の整備です。これは洗浄します。

 

トップカバーを外すと駒数ガラスの接着が外れました。前期のものはエポキシ接着が剥がれるのです。

 

トップカバーを洗浄して、研磨をした駒数ガラスを再接着します。

 

 

ファインダーは一度レンズを外して清掃していました。清掃をしてレンズを接着します。

 

シャッターは最後期の仕様ではなく、一つ手前の仕様でしたので何かと良かったです。換装されていたのはある意味残念ですが、一番良い頃のユニットが手に入りました。

 

完成したシャッターユニット。7時の位置にシンクロ接点がありますが、単にリン青銅の帯板ではなく、バイクのコンタクトポイントのように接点が加工されています。

 

確実な発光のための変更でしょう。右端の巻き戻し軸は変更前の前期型のダイカストである証拠。

 

清掃をしたファインダーをトップカバーに取り付けます。

 

 

レンズの状態は非常に良いことから、恐らくシャッターだけではなく、レンズとリング類も後期(1968年8月製)のものに交換されていると思います。

 

距離リング先端のローレット部分の黒アルマイトが剥離するのは持病ですね。シャッターダイヤルのメッキも含めて、相当コストを下げていたのでしょう。このまま放置すると、人の汗によりどんどん腐食が進みますので、塗料によりタッチアップをしておきます。

ついでに「PEN」の下の塗装剥げも気になるのでタッチアップをしておきます。

 

 

最良のシャッターユニットときれいなレンズを搭載したPEN-S2.8になりました。もう、100円じゃないからね。

 

 

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