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カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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真贋判定PEN-Sブラックの巻

2024年05月21日 09時59分59秒 | ブログ

続いて「遅れてきたペンマニア」さんから二つ目の段ボール箱が来ていました。この方はPEN系の元箱付きや、今回のPEN-Sブラックも収集されているコレクターさんです。で、いつもの真贋判定依頼ですが・・パッと見て違和感はないですね。良いのではないでしょうか。

#1626XXは集中してブラックモデルが作られた頃のシリアルです。スプロケット、スプールなどの仕様に疑問はありません。

 

「おめでとうございます」真贋判定は間違いなく本物です。何度も分解を受けて修理をされているようです。かなり汚れていますので分解洗浄からしていきます。少し前に私のリペイント機が登場しましたが、本物が来ちゃいましたね。

このブラックモデルは1961年1月製と推測されますが、意外にPEN-Wのような塗装の劣化は見られませんね。PEN-Wは1964年後半の生産が多かったのですけど、生産が後の方が塗装の劣化がひどい? 恐らく塗装を担当した工場が異なるのではないかと思います。さすがに駒数ガラスは曇っていて良く見えませんので研磨をしてから洗浄します。

製造が古くとも、それほど汚れていないカメラもありますが、この個体は時代分だけしっかり汚れていて洗浄に時間がかかりました。すべて洗浄を終えたところ。

 

なぜか裏蓋底部はひどいですね。これは何か後天的な保管場所などの原因がありそうです。開閉鍵など腐食も違和感があります。

 

組立はいつもと一緒です。トップカバーの吊環部がへこんでいますので修正をしてから組みます。

 

ファインダーのレンズを分離して清掃をしました。本体に取り付けます。

 

 

頑張りましたが今日はここまでです。明日は急ぎの修理が入るのでこの個体の作業は出来ないかもしれません。

 

急ぎの修理は午前中に終わらせました。レンズですが、びっくりするくらいきれいです。オリジナルとは思うのですが、私の印象では、初期のレンズは曇りなどが少なく、中期以降のレンズが曇りやすい気がします。ガラスの材質が変わったのでしょうかね。

裏蓋も仕上げておきます。開閉鍵のメンテナンスをされる方は少ないと思いますが、初期の個体はグリスが変質しています。構成部品を洗浄して新しいグリスで組み直します。

 

初期の特徴が写っている画像です。(見えませんが) 本物のブラックモデルは側面のネジは黒塗装ではなくクロームモデルと同じメッキを複数確認しています。駒数ネジの孔は非貫通です。レリーズボタンの復帰バネが非常に弱く、指を載せただけでシャッターが切れてしまう時があります。その後、バネは強化されました。

市販をされなかったブラックモデルの現存数はどのくらいなのでしょうね。それをお一人で複数台所有されているとは羨ましいです。

 

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