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カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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謎の46万台PEN-FTの巻

2023年09月05日 11時00分00秒 | ブログ

明らかにPEN-FTのシリアル№は二系統ありますね。40万台は36~39万台の継続ではなく、今回の#460098と私の#460096は1970年4月の製造ですが、先日手がけた#3676XXは1971年3月の製造と一年近く前に生産されているのです。従って、露出計ユニットも基板別体タイプではなく、普通のユニットが組み込まれています。40万台が最後期の製造と思って入手をするとちょっと違うのですね。で、この個体はトップカバーに打痕と歪がありまして、過去に落下の衝撃を受けていると思われますが、アンダーカバーを外してみると、何やらガラスの破片が出て来ました。

接眼プリズムを外してみると、大きくカケていますね。事前に接眼から覗くと妙に光って見えた原因です。接眼枠部分に大きな衝撃を受けて、トップカバーの歪とプリズムの破損が起きたのでしょう。さて、どうするか・・

 

点検の結果、中央付近の視野は無事で、暗黒部に大きく光線漏れがある状態でしたので、欠けた部分を接着し遮光塗装を施しました。

 

接眼部の角に欠けがありますが、接眼枠でマスクされますから問題はありません。今回はこれで組立をします。オーナーさんがプリズムを探していらっしゃいますので、入手出来れば後日交換します。

 

先にシャッターユニットのメンテナンスをしておきました。ギヤの摩耗も無く良いユニットです。のチャージギヤは真鍮リングナットによる組立式(最後期)となっていますが、表側のコントロールレバーは改良前の仕様でした。

 

かなり汚れ放題であったダイカスト本体を洗浄後、モルトを貼ってスプロケット軸を組み立てて行きます。

 

実質的には34万台付近の個体と同じ頃の生産になりますが、それにしてはプリズムコーティングの劣化が激しいです。

 

完成している本体側に前板ユニットを取り付けます。

 

 

1970年4月と後期の生産にしてはハーフミラーも劣化が激しいです。今回はオーナーさん支給の純正30万台以降の中古ミラーを使用します。カメラの保管は良くなかったですね。

 

カウンター窓下の打痕は修正を試みましたが、材料が圧縮変形をしているのでフラットには出来ませんでした。接眼プリズムは組立に問題はありませんでした。接眼からの視野は情報窓の下部に僅かに欠けが見える程度で気になりません。接眼枠は研磨修正をして組みました。

経験的にハーフミラーの劣化が通常より進んでいる個体は保管状態が悪かったと推測できますが、同時にCdsなどのダメージも進んでいて感度も低下していることが多いです。この個体も感度が半分ぐらいに低下していました。

 

この個体はオークションの訳あり品だったそうで看板通りですから文句は言えませんね。次のブラック#3542XXはイーベイ物だそうで外観は良いですがハーフミラーの腐食が進んでいます。巻上げが固着して正常に作動しませんね。

 

長くなるので2台目は簡単にUPと思いましたがそうもいかなくなりました。過去に分解をされていますがオーナーさんでしょうか? まず、シャッターダイヤルと露出計を連動させるギヤの噛み合わせがかなり違いますね。

 

この個体が巻き上げが出来ない(引っかかる)原因はのトメレバーの動きがスムーズでないため。何が原因でしょうね。

 

原因はこれですね。途中でグリスを付けられていてベチョベチョなんです。このグリスがトメレバーにも回ったのでしょう。

 

最後期の個体なのでチャージギヤは真鍮のリングナットによる組立式となっていますが、ここは緩みやすいのです。(緩んでいます) 緩むのを嫌ってカシメ組立としていたものを、なぜ最後期になって組立式に変えたのか? 確かに摩耗をしたチャージギヤは交換可能となるのですが、実際には地板の孔の拡大もあるので中途半端な修理になりますけど・・

このような部品構成になっています。ねじ山二山も掛かるかですから緩みますよ。

 

調子良く組み上がっています。今日は長時間の作業で目が疲れたので止めます。

 

次の作業が控えているのでこれで終わりにしておきます。チャージギヤ組立式の独特な巻上げフィーリングはありますが、調子は良好です。ハーフミラーは交換しています。1970年6月製造。

 

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