今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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クセナー付きのローライ35ブラックの巻

2023年09月10日 14時00分00秒 | ブログ

念願のクセナー付ローライ35ブラック#3285XXXを専門店から購入されたとのことです。整備済みとのことでしたが、レンズのホコリなどが気になるので全体的に見て行きます。露出計は変圧アダプター無しのダイレクト(1.55V)で校正して欲しいとのご希望ですので、最近アマゾンで売っている真鍮製のアダプターにSR44を付けて使います。https://amzn.to/3EurvLU

ボチボチ使用される方もいらして、当方に送られてくるカメラに入っていることがあります。寸法をコピーすれば旋盤で作ることも出来ますが面倒なので購入しました。従来、MR-9型の使用済み電池からアダプターを作って使用していましたが、修理カメラに入れたままで発送してしまうことが度々でなくなってしまいました。

 

ファインダーの曇りやヘリコイドグリスの抜けと私の感覚では沈胴の摺動フィーリングも気になります。では、順番で見て行きます。

 

スプール駆動のアイドラーギヤの洗浄注油をしました。ファインダーは接眼レンズは分離して清掃された形跡がありますが、対物レンズは清掃されていません。すべてのレンズを分離して清掃します。

 

清掃の終わったファインダーに新しい保護テープを貼って取り付けます。スローガバナーの清掃と注油もしておきます。

 

気になるのはこれです。この個体は過去に電池の液漏れを起こしていて、そのような個体の場合Cdsからの配線がこの位置で腐食断線していることがあります。接片から侵入した電解液が侵す位置なのでしょう。現在は導通不良はありませんが半田を溶かすと断線しますね。

性能上の問題ではないですが、オーナーさんが気にされているのは、絞りとレンズの中央部分のシボ革が少し浮いているとのご指摘。ほんとだ。これはシボ革を再接着したからではなく、接着面の前面板(鉄製)が錆びていて、その錆でシボ革が盛り上がっているのです。

端からシボ革を剥離してしまうと再接着をしてもダメージは残ってしまうので、錆が出ている部分を針により清掃します。

 

沈胴は下向きでチューブが下降してしまう状態ではないので、これでも全然良品の範囲ですが、摺動フィーリングが気に入らない。調整をして行きます。

 

最近、8時ごろにgooに複数の画像をUPするとエラーになることが多い。サーバーが混んでいるみたい。仕方がないので1枚づつ何度もUPしている。レンズですけど、ローライ35の場合はチリは混入し易いので、あまり神経質になることも無いと思いますが、これはかなり汚れていますね。しかし、シャッターは分解されているので清掃はされたのでしょうね。

前玉のヘリコイドグリスはオリジナルの古いグリスのままです。これは清掃をして入れ替えます。

 

中玉を清掃したところ。前側に僅かに拭き傷がありますね。

 

 

問題はカウンターを進めるトランスポートレバーって言うのかな。これを留めているネジはM1.2と細く長さも裏側に沈胴レールがあるので短いため緩んでいる個体が多いです。この個体もネジのスリ割りに傷があるので過去に締め込まれていますが、それがいけません。強く締めると簡単に本体(ダイカスト側)の雌ネジが壊れてしまいます。

分かるかなぁ? ネジの半分が無くなっています。さて、どうするか? 一度デブコンでネジ孔を埋めてタップを立て直すのがベストですけど、もう外すことも無いでしょうから、今回は接着で止めておきます。

 

このように組み立てました。その他、チャージのリンケージなどにグリスを塗布しておきます。

 

裏蓋は作業前に洗浄してあります。カウンターは36枚まで正常に進んでいますので問題ないでしょう。巻き戻しダイヤルは分離して洗浄と樹脂の白化を戻してから潤滑して組んであります。

 

まぁ、なんです。作業前でも不都合なく撮影は出来るので作業をしなくても良いと言えば良いのですが、気になるところをやり直すと結局すべての部分に手を入れることになるのですね。ローライ35ファンの方の作業ご依頼をお待ちしております。

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