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カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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真鍮製のローライ35Sブラックの巻

2022年07月17日 13時45分00秒 | ブログ

安倍さんの国葬が決まったようですね。しかし、奈良県警の警護要因は山本五十六長官機を守れなかった「六機の護衛戦闘機」パイロットと同じ運命を辿るのでしょうか。で、定番のローライ35Sブラック#2320XXXですが、この状態でニッチモサッチモ動きません。巻上げも出来なければレンズも沈胴出来ない。かなり厄介な個体のようです。

メーター窓を見ると内側のガラスがゴム系接着剤で汚く接着されています。トップカバー横のネジも規格外。カニ目ネジを外そうと塗装を傷にしています。かなり程度の悪い分解を受けているようです。

 

カバーを開けてみると・・巻上げギヤのタイミング違い、電池室からの配線断線があります。応急のテストで露出計はCdsが不良で動きません。

 

内部に小さな六角ナットが挟まっていました。これはパーツリストを見ても載っていません。メーターのカバーを留めるネジのナットです。シャッターダイヤルと絞りダイヤルを操作するとリンケージが動いて、このメーターカバーにストレスを掛けて緩むのです。

Cdsは交換して配線はやり直しました。

 

 

メーター窓のガラスは内側と外側の2枚があります。内側のガラスは初期のドイツ製などでは本物のガラスでしたが、以後は塩ビ製と思われる材質に変更されています。ガラス製でしたら清掃やゴム系接着剤の使用も可能ですが、塩ビ製では接着剤の溶剤分で材料が侵されて曇ってしまいます。この個体も塩ビ製ですので再使用は出来ませんので硬質の塩ビ板より切り出して使います。ただし、本来メータ窓に使われる材料は帯電防止の処理をされた材料が使われている可能性もあります。

底部を開けてみると、アルミの切り粉が多くあります。

 

 

これは沈胴用のレールが痛んでいます。現存の個体で無傷のものは少ないと思いますが、ここまで削られているのは珍しいです。たぶん、沈胴時の作法を守らないオーナーさんだったのでしょう。この状態ではスムーズな沈胴は出来ませんので手持ちから良好なものに交換します。

当然ですが上側も同じ状態ですのでセットで交換します。

 

 

内部も汚れがひどく、沈胴のフェルトも状態が良くないので分解します。

 

 

沈胴部のメンテナンス終了。シャッターレンズのO/Hも終わっています。新しいヘリコイドグリスを入れて組み立てます。

 

新しく製作した塩ビガラスをセットします。

 

 

まぁ、他にもいろいろありまして手間の掛かる個体でしたが、良いところは上下カバーの材質が真鍮製だということ。塗装が磨滅すると真鍮の金色が出て来ます。この個体のすぐ後付近から材質がアルミ製となったようですが、実用的には重量が軽くなっているので持ちやすいかと思いますが、私はどっしりとした真鍮製が好みです。ブラックモデルをお探しの方はその点にも留意されると良いでしょう。

中古カメラ店の店長様からのダンボールに修理機の他にカワサキMACHⅢ750(H2)のダイカストモデルが入っていました。ありがとうございます。若い頃に私が乗っていたのは500ccのH1でしたけどね。が私で、下のベタ焼きがMACHⅢです。今、所有していれば値打ちがあったでしょうね。

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