今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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PEN-Fをやりますの巻

2022年06月23日 17時40分00秒 | ブログ

最近はご依頼が少ないPEN-Fをやります。素材は3台来ていますが、2台を仕上げます。まぁ、PEN-Fは古いですから現状の個体は状態の悪いものが多いですね。しかし、PEN-FTとは違った改良前のソリット感はそれはそれで捨てがたいのです。

中の一台はフィルムレールに腐食があります。見かけよりは浅い腐食で撮影には問題はありませんが、長期間、異種金属が接触をしていると腐食し易いのです。

 

まずは一番程度の良い単独で生かせる個体#2389XXから始めます。過去にプロによる整備を受けた記載があります。プリズムの腐食も無く素材としては特に問題は無いかと思います。

 

まずは全て分解の上各部分を洗浄しましたが、なぜか手触りがツルツルする。

 

では、本体ダイカストから組み立てて行きます。

 

 

ブレーキの修復をご依頼頂いておりました。現存の個体はすべてブレーキは利いていません。多少のシャッターショックに影響があるかも知れませんが特に作動に問題はありません。返ってOリングが太って固着しているような場合がシャッター作動に問題が出ます。まずはシャッターを切ってブレーキリングの動きを見ます。全く利いていません。

ブレーキASSYを分離します。

 

 

Oリングのゴムが悪さをしていてブレーキホルダーの内側が激しく錆びています。この錆は完全に研磨しますがOリングはブレーキリングとブレーキホルダーの間に挟まるので研磨をすると当然、嵌合寸法が変わって来ます。元々の部品公差の組合せもありますので、ブレーキはポン付け交換は出来ず、クリアランスを調整しながら組んで行くことになります。

ブレーキの修復が終わったところ。気になったのは地板には水油が光るように大量に塗布されており、クリーナーで取り除いても、触る指がツルツルします。これは普通の油ではなくフッ素系のような物質が入った油だと思われます。この油は前板のミラーユニットにも大量に塗布されていて、ミラーボックスの塗装面に拡散しています。このようなケミカルは有効な場合もあるのでしょうが、私はケミカルに頼った修理はしたくありませんので使いません。さっきから何度も中性洗剤で手を洗ってもすぐにツルツルになります。困ったものです。

で、前板関係です。奇跡的にこの個体のプリズムは全く腐食がありません。保存環境も影響がありますが、どうも製造ロットによっても違いがありそうです。Fはプリズムがピント面になります。FTは前にあるスクリーンに裏側がピント面です。

そのスクリーンは傷が多いですが年数を考慮するとやむおえません。

 

ここで問題が発生しました。仮の作動テストで低速時にシャッターが閉じた後にリターンミラーが閉じない。点検するとシャッター側から伝達を受けるレバーのバネが変です。画像は正規の部品に交換してありますが、正規のものより太い線径で作られたバネがセットされていました。するとレバーの動きが重くなってリターンミラー側のロックが外れない。なぜかリターンミラーのテンションが強く調整されていたので変だと思いましたがリターンミラーが作動するようにしたかったのでしょう。バネが強いんだよ。

例によってツルツルの油が大量に塗布されていたので脱脂をしておいたのですが、翌朝見るとこれです。ネジ孔に油が浸透しいたのです。再度、超音波洗浄をしましたがツルツルは取れません。

まっ、気を取り直して組み立てて行きます。接眼プリズムのコーティングは殆ど残っていません。

 

全反射ミラーはご希望により新品を使います。

 

 

これでメカの組み立て終了。ファインダーのピント調整などをして行きます。

 

きれいになりました。Fは古いので途中でいじられているのですが、予期せぬ落とし穴があったりするので気が抜けません。変な油に手こずりましたがツルツル号の完成です。

長くなりましたのでページを変えます。

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