梅雨に中休みでしょうか、蒸し暑い陽気が続いています。作業は定番のローライ35に戻っていますが、特に問題はない気がします。ジャーマニーのテッサー付きとブラックモデルのクセナー付きシンガポールを整備します。
この個体はレリーズボタン座内側に腐食がありますね。露出計の作動不良があるので電池の液漏れを疑いましたが、幸いこの個体液漏れが原因ではありませんでした。危ないのはボタン座の外周が腐食しているケース。この場合は電池液漏れの過去がある可能性が高いので個体選びでは注意点になりますね。
露出計の作動不良の原因はここのネジが緩んでいたためです。このネジはアースの役割をしていて、しかも緩みやすい。ドライバーで触れただけでもメーター針が大きく振れます。まぁ、電池の液漏れでなくて良かった。液漏れの場合、修復が面倒ですからね。
ドイツ製は古いですから巻上げのアイドラーのグリス切れで回転が重くなっている個体も多いです。最悪は軸と固着して軸のカシメが緩んで軸自体が回っているものもあります。
沈胴が緩いという訳でもないので、このままでも問題は無いのですが何故か気になる。分解してみるとフィルムの切れカスが挟まっていました。↑の部分でもフィルムが挟まっていましたので、このカメラはフィルムに対して優しくないのかもしれません。
底部をメンテナンスします。底部のネジは緩みやすいネジが多く、特に→のネジは緩んでいる場合が多いです。あぁ、チャージ機構にもフィルムが挟まっていました。
こちらはブラックのクセナーですが、露出計の感度が極端に低下しています。こちらも電池室の接点が腐食していますので「さては」と思いましたが、腐食はこの部分のみで回路とCdsは無事でした。ラッキー・・接点を磨いておきます。
いつもと同じように全般的な修復作業をしますが、この個体の場合は光学系の汚れが顕著です。ft機なので北米にあったものかと思いますが少し意外です。ファインダーも目いっぱい汚れています。この点はジャーマニーは良いですね。
問題のクセナーレンズがいけません。アメーバー状と白点のカビが大量にあります。
後玉もカビですね。テッサーよりクセナーの方がカビ易いということも無いでしょうにね。しかし、ズイコーと違って、清掃でほぼきれいになるのは助かります。
シャッターとレンズのメンテナンスをして本体に搭載しました。あとは前玉を取り付けます。すでに外装も清掃済みですからきれいでしょ。しかし、カバーの材質がアルミなのでペナペナ感はありますね。真鍮製だったら良いのに・・
点検をして行くとフィルムインジケーターが緩く軽く回転する。これは裏側の接触面が磨滅気味のためで、過去の所有者がインジケーターを頻繁に使用していたようです。調整をしておきます。
完成テストをしていると、ごく稀に巻き上げレバーがフリーとなって巻き上げが出来ない症状がありました。これは定期的に出てくる不具合で、画像のフランジが下降したままバネで上昇しないのが原因。内径の摩耗や軸の摺動傷が原因です。こちらも修正をして再発は無くなりました。
どちらも写りは優秀と聞いていますが、一度、比較撮影をしてみたいものです。