シャッターボタンなど初期の三光から変更箇所が出てきた頃のPENですね。片耳よりもシャッターボタンの方が早く変更されたわけか・・オーナーさんから、「駒数計が72枚以上になっても止まらない」とのご指摘がありましたが、歯車の歯数差で動いているだけですから止まらないですね。
裏蓋をどうしたの? 外側のへこみを内側から叩いてまた凹ませた?
すみません。急ぎの修理が入ってしまって・・作業はすでに終えていてUPがまだでした。トップカバーを分離するとファインダーの対物レンズが飛び出して来ましたよ。この個体は過去に修理をされたサインがありましたが、何を修理したのやら・・
ピントリングのイモネジ1本のスリ割りが殆んどなく緩めることが出来ません。緩めますけど・・気が付くのはピントリングのローレット幅が普通のものより広いと思いますね。仕様なのか途中で別の時期のものに交換をされているのかは不明。
この頃のスプールのスリップ機構は内径に拡張バネが入っている構造ですので、経時的に樹脂が割れている個体が多いです。この個体は無事でしたが、まぁ、時間の問題です。この後、軸側にコイルスプリングを仕込む構造に変更されて、以後は他の機種も同じスタンダード仕様となります。
オーナーさんから駒数計の動きについてご指摘がありましたが、40枚のギヤと41枚のギヤの差で駒数針を動かすシンプルな構造のため巻き止めはありません。
すでに巻上げダイヤルカバーはネジ留め式で、駒数ギヤにはウェーブワッシャーが入る(三光は入らない)仕様に変更されています。ただし、組立用の対角2穴は開けられていません。
シャッターの構造はシンプルですので故障は少ないです。この個体はシャッター羽根にめくれがありますね。
さて、問題のファインダー。対物レンズは樹脂製ですので清掃には注意が必要です。その他、バラバラ接着が外れて来ます。
すべて清掃をして接着しました。厚紙製のダストカバーは何度かの剥がしでヨレヨレですので作り直しておきます。
この個体は最初のチェック時に巻き上げでチッチッチッというラチェット音がしませんでした。原因は、この頃は逆転防止爪が2枚になっていますが、その1枚のバネが掛かっていませんでした。何を整備したのかな?
レンズは過去に何度か清掃を受けていますね。後玉のコーティングは・・
巻き戻し軸のガタが大きいです。本来は調整ワッシャーが入っていたはずですが、途中でなくしているのです。追加をしておきます。
三光ではない片耳という過渡期の個体も貴重ですね。これで完成です。
その「急ぎの修理」ですけどね。私がオーバーホールをして中古カメラ店様から販売されたローライ35ですが、カメラが到着したら巻き上げが出来ないというクレームで戻って来ましたよ。そんなはずは・・早速分解してみると・・あ~、巻上げの樹脂ギヤの歯が欠けています。
分離して見ると・・これはレンズを沈胴させたままで巻上げをしてしまったということです。このカメラの操作に慣れていない人のミスではありますが、そう簡単に壊れないよ。それをクレームで戻すかな? このギヤは破損が多く、調達に苦労するのに。