ぼちぼち作業を始めようとドライバーを握ったら・・腕の感触がいつもと違ってコントロールがしにくいです。腕が鈍るとは正しくこのことですね。で、このFT #2643XXですが、それほど状態は悪くなく、定期的なオーバーホールというところでしょう。セルフタイマーのボタンが欠落しています。38mmは絞り羽根を見てください。油が付着していますね。現状では不具合は出ませんが、清掃をしておいた方がよろしいと思います。
過去に分解を受けていますね。眺めとしては特に問題は無いと思います。セルフタイマーとレリーズを繋ぐリンケージは、変更後のタイプとなっていますね。直前の#259000付近までは、変更前のタイプですので、変更された直後ということになります。ダイカスト本体は変更前のタイプです。
ハーフミラーは曇りが出ていますね。拭き上げをすれば、曇りは薄くはなりますが、メッキも薄くなってしまうのですね。
前板を分離して点検します。アイドラーギヤに円周上に線状痕がありますね。これは、前板のミラーユニットと干渉しているためです。このような個体は稀に見ることがあります。図面上ではクリアランスは確保されているはずですが、実際は、部品の公差や組み込み位置によって干渉する場合があるのです。それだけ、余裕の無いギリギリの設計がされているということです。この程度であれば問題は無いのですが、もつと深く干渉している場合は、シャッタースピードにも影響があります。
本体ダイカストは洗浄ずみ。モルトを貼って、2軸と巻上げレバーユニットを取り付けたところ。
シャッターユニットを分解洗浄をして点検して行きます。巻上げギヤの軸に磨耗が認められます。この程度であれば症状はありませんが、磨耗が進むと巻上げが足りなくなります。
20万代前期の個体ですから、O/Hで巻上げも軽く滑らかになりました。組み直した前板関係をセットします。
前回の分解でファインダーのレンズ関係は拭き上げを受けていますね。ハーフミラーは新品と交換させて頂きました。シャッターダイヤルの作動を見ながら調整組立をして行きます。
完成していますが、セルフタイマーの作動が最後まで戻りきらない状態です。ユニットを点検すると、板バネが不自然に曲げられており、これが原因です。なんでこんことするのかが意図不明でしたが、セルフレバーを取り付けて、欠落していたセルフボタンを当方オリジナルで追加しておきますが、ここで、疑問? ボタンのネジピッチが合わない。この頃であれば、ピッチは変更されているはずです。レバーも不自然にグラグラしていますので、この個体の部品ではなくて、初期タイプから調達取り付けをされた可能性があります。それで、ユニットをいじったのかな? 余計なことはしないで欲しいのです。巻上げの感触は90点ぐらいだと思いますよ。
付属の38mmを清掃します。このレンズは、設計変更後のレンズですので、FT本体とは時期が合いません。たぶん、別々に入手されたものでしょうね。で、変更後のレンズは分解がしにくいのです。絞りユニットを分離するためには、カムを外さなければなりません。
まぁ、基本的には状態は悪くない個体でしたので、無事清掃を終えています。大きなキズや当りのない大切にされていることが分かる個体。ペンスケのメンバーさんとのことですから、次回に向けて良い写真をお撮りください。