イタリア製の127サイズトイカメラ? ベンチーニSというカメラですね。子供向けのおもちゃではないのでしょうけど、作りはかなり簡単なものです。ダイカスト製本体にカバーや小物がほとんどアルミ製ということで異常と思えるくらい軽いです。しかし、トップカバーの造形などは、イタリア製小排気量バイクのクランクケースのように魅力的な形をしています。で、メンテナンスのご依頼ですが、構造が簡単に過ぎていじるところも無いなぁ。単玉F11(おっと11ですか)レンズのヘリコイドが固着しています。シャッターは、1/50のエバーセット式。鏡胴部分のピントリングのように見える凸凹はデザイン上のダミーです。
レンズ部を分離してみます。ヘリコイドグリスは完全に固着して動きませんね。洗浄をして新しいグリスを塗布しておきます。
シャッターはこんな感じ。今は閉じているところですよ。
これが開いたところ。1時部分の側面にあるレバーを起こすとバルプ固定とすることが出来ます。
裏側から覗いてみますよ。ピンセット先のエキセントリックな形状の丸棒がシャッターと直結しているわけで、レリーズボタンを下げると連動してシャッターを作動させます。はじめ、一見インナーワイヤー式かなと思いましたが、そんなに高度な構造ではありませんね。
1940年代のカメラのようで、時計で言うと下のスモールセコンドと同時代と思われます。イタリアだって敗戦国ですから、物資も厳しい時代のカメラということでしょうね。古いだけにシボ革の剥離が激しいですので、補修接着をして完成とします。