今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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今年初めてのPEN-FT

2011年01月08日 22時37分09秒 | インポート

Dscf172861 いつの間にか修理のカメラが溜まっていました。この個体はミラーがフリーズしてしまったとのことで来ました。#3262XXと後期の程度は良い個体ですが、ミラーユニットに予め掛かっているバネのテンションが開放されてしまっています。う~ん、普通はシャッターユニットと同時に巻上げのチャージを行うのでこのようなことは正常であれば起きません。しかし、作動が不確実になっている個体ではチャージミスやタイミング以外の開放が起こる場合があります。取りあえずはテンションを掛けてやれば正常には戻りますが、また再現する確率が高いので全体のオーバーホールをしておきます。この頃の個体としてはハーフミラーの腐食も進んでいますので交換をする予定です。えへ、隣りは休憩時間にオーバーホールをしたオリエントの自動巻きユニットです。ユニットの上に自動巻上げ用のウエイト(錘)が乗っています。一応作動状態としましたが、姿勢差によってテンプの振りが変わります。天真のホゾの磨耗が進んでいるのでしょう。まぁ、800円で手に入れたジャンクなので・・・

Dscf173095 では、いつものように完全に分解洗浄して組立に移ります。何故か最近はPEN-Fのご依頼が多かったもので、FTは久しぶりのような気がします。30万台の個体のため、巻上げ機構には磨耗や消耗は見られませんね。しかし、シャッターユニットには磨耗が進んでいた部分があったのです。

Dscf173394 シャッターユニットをオーバーホールしましたが、巻上げのギヤ列にギヤと軸の磨耗が進んでいました。ギヤに磨耗が進んでいる個体は必ず使い込まれた個体というわけではない気がします。外観やフィルム圧板などの状態からそれほど使い込まれた個体ではないのです。部品同士の勘合や潤滑の状態の方が影響が大きいと考えています。また、ブレーキ部分のナットに緩みが発生していました。果たして、これが今回の不具合の切っ掛けになった可能性もあります。

Dscf173478 この個体は過去に修理歴がありましたが、前板を分離した形跡はない。画像のように#2プリズムはコーティングまでほぼ良い状態(30万台として普通)なのに、ハーフミラーの劣化が激しい。この頃のハーフミラーは改良が進んでおり、ここまで腐食するものは少ないのです。露出計ユニットを観察すると・・どうもこのユニットは20万台前半のユニットと交換されている可能性があります。

Dscf173675 ハーフミラーは交換してあります。セルフボタンをニッパでくわえて回していることから、前回の修理はあまり上質なものではなかったようです。露出計ユニットが交換されている可能性があるため、シャッターダイヤルの回転が重めですね。その他は、非常に調子よく仕上がっていると思います。時計はオーバーホールを終えたセイコークラウン。