今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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精工舎・スモールセコンド

2011年01月28日 22時20分57秒 | インポート

Dscf189436 すみません。体調が良くないのでカメラの作業を見送っています。そこで、手慣らしにジャンクで入手した時計をOHしてみましょう。私は、秒針が小さな小窓に表示されるタイプの時計が好きでして、これをスモールセコンドと言います。現在主流の秒針も真ん中に付いている本中三針が開発される以前の時計の基本形で、四番車に秒針が付いています。この男性用13型が製造されたのは本三針が開発される前の昭和30年ごろでしょう。じつは、この時計よりサイズが小さい女性用の9型や戦前から生産されていた将校用の10型なども集めていまして、それの部品取りのつもりで入手してみましたら、届いたものはそれより大きな13型でした。ご覧のように風防が無く、針も失われている状態で価格は500円でしたが、これが程度の良い個体であれば数万円はする稀少な時計です。機械を見てみると、各部は固着して不動状態ですが、致命的な錆や欠品は無いようですので、もったいないのでOHをしてみることにしました。果たして動くでしょうか?

Dscf189791すべて分解してみたところ。機械は大丈夫そうですが、ケースは真鍮素材にニッケルメッキ製で、腐食が激しくすでに終っています。手前のテンプはチラネジ付きですが、まだ耐震装置が無いタイプです。

Dscf189983 真ん中のニ番車やゼンマイが入っている香箱車は軸が固着しておりました。すべて洗浄してから注油で組んでいきます。組立の途中でご覧のようにスムーズに回転するかを確認しながら作業を進めていきます。

Dscf190159

輪列を組んでいきます。ピンセット先が四番車で画像の裏側に秒針が付きますが、この個体は風防ガラスが欠落していたため、秒針を取り付けるホゾが曲がっていましたので慎重に修正しておきました。

Dscf190353 ガンギ車を組み込んだところでスムーズに作動するかザラ回しで確認しておきます。最後にアンクルとテンプを取り付けて・・おぉ、動きましたね。時計の組立で一番感動する瞬間です。テンプの振り角も大きいですね。各部には適切なオイルを選択して(今回は4種類)注油しています。

Dscf190684 左側に見える時計ですが、上が9型で女性用ですね。下は戦前から製造されていた流れの新10B型でしょうかね。これ、あとリューズ(巻き芯)があれば仕上がるのですが、手巻き式で非防水ですから、一番痛みやすい部分で、ジャンクの多くは部品取りをされています。どなたか作ってくれないかしら? と言うことで、機械は復活しましたが、スモールセコンド用の針がありませんので時計としては機能しませんね。ケースは研磨をしてメッキをすれば使用可能ですし風防も何とか見つかりますから針があれば復活するんですけどね。そのうちヤフオクにでも出たら良いのですけどね。とにかく、復活できてラッキーでしたね。