tomitaikyoブログ

富退教(富山県退職教職員協議会)事務局からの情報発信です。会員の親睦を中心に教育現場への支援など様々な活動をしています。

ポピュリズムを超えて・・・

2017年02月03日 | 日記

 アメリカのトランプ大統領に世界がかき回されている今日の世界ですが、近年はポピュリズムといわれるような大衆迎合的な政治が横行しているように思われます。民主主義の政治においては陥りやすい一面と言えるでしょう。そして、ポピュリズムに陥ると、少数者に対する圧政や弾圧へとつながりやすいと考えられています。

 このようなことについて、先日(1/13)NHKラジオ「マイあさラジオ~社会の見方・私の視点」で、中島岳志氏(東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授)が「ポピュリズムを超えて」と題して紹介していました。※今ならNHKオンラインで視聴できます。

 氏がポピュリズムに陥らないための参考にと紹介したのが、タイトル「アメリカのデモクラシー※トクヴィル(フランスの政治思想家)1835年著作」でした。トクヴィルは民主主義の負の側面として、「多数者の専制」という問題点があるのではないかと指摘したとのことです。多数決を最終決定とする民主主義では、一部の少数者がどうしても圧迫されていき平等という名において平準化することが求められてしまい、個人の自由が奪われていくのではないかと指摘したわけです。

 トクヴィルは、このようなポピュリズムを避けるためには、中間団体というものに着目しなければならないと考えたようです。それは、行政(国家等)と個人の間にある社会的な領域という中間団体、例えば労働組合や町内会などの中間団体に人々が参加することで公共精神というものが生まれていき、本質的で妥当な民主主義が確立されていくのではないかとトクヴィルは考えたとのことです。特に身近な社会(地域社会)や他者とかかわることで、自分と意見が異なる人に対してどのように合意形成を図っていけばよいかとの努力が生じ、公共という観念が生まれるのではないかと考えたようです。

 どうやら、私たち国民一人一人には、身近な社会への対応から他者の気持ちを汲み取っていくプロセスが必要なのでしょう。

 日本では一般的に否応なしに参加させられてしまうコミュニティといわれる社会や、趣味の会のようなアソシエーション的団体などへの参加は、私たちの民主主義を洗練させるためにも、やはり良いトレーニングの場なのかもしれません。(土)