先日(2/3)のNHKラジオ「マイあさラジオ~社会の見方・私の視点」で寺島実郎氏(財団法人日本総合研究所理事長)が「シルバーデモクラシーのパラドックス」というテーマで話していました。
少子高齢化が当たり前のことだという風潮の中で、考えさせられる内容でした。
2050年前後には日本の人口が1億人を割るだろうという予測が出たそうです。その頃には人口の4割の4000万人が65歳以上になるとのこと。異次元の高齢化となります。そして、シルバーデモクラシーといわれるその所以は、今日のように18歳に投票年齢を下げても有権者人口の5割を65歳以上が占めることになるからです。しかも、現在のように若者があまり投票行動に参加しないとなると、有効投票の6割を高齢者が占めるとの見方ができます。それは「老人の老人による老人のための政治」となってしまうようです。果たしてそれで良いのか?という問題です。
このようなことは日本だけの問題ではなく、欧州でも「シルバーデモクラシーのパラドックス」ということが話題になるようです。最近の世界を見ても、例えばイギリスがEUの脱退を決めた国民投票でも、またアメリカのトランプ大統領を選出した選挙でも、どちらかというと高齢者の票で国の進路が決定されてしまいました。未来に大きな責任をもっているはずの若者の意見が通らなくなってきて、意志決定が高齢者のものになっているという問題です。つまり、世代間のギャップが問題になってきています。また、金融資産の保有高も高齢者が若者よりはるかに多いことも問題です。
このようなことを念頭に、シルバー世代(高齢者)によるシルバーデモクラシーを不健全なものにしないことを考えていかなければなりません。寺島氏が提案するのは、高齢者が世の中に参画するような過ごし方を考えていくことが大切という趣旨でした。キーワードとしては、「(高齢者の)移動と交流」とのことでした。私たちも考えて、参画型の生き方を心がけたいものです。(土)