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にゃんこな日々

ネコ風ライフをつらつらと・・・

【その他】「講談まつり」

2012年12月24日 | STAGE
「講談まつり」(2012.12.23 動楽亭)
-演目-
旭堂南舟さん 赤穂義士外伝「松浦壱岐守」
旭堂南青さん 義士銘々伝「赤垣源蔵徳利の別れ」
客席参加座談会 「忠臣蔵の嘘と誠」
旭堂南左衛門さん 義士銘々伝「三村の薪割り」
旭堂南北さん 「夜もすがら検校」

えーっと・・・とうとう講談まで行っちゃいました。以前から興味あったんですけどね。私に落語にハマるきっかけを作った友人からのお誘いで、しかも「忠臣蔵」。そそられますって・・・。
行ってびっくり満員御礼。ところが、主催側の講談師さんたちの方がこの入りに驚いているというなんとも妙な会となってました(笑)。

まずは落語で言うところの前座さんにあたるのかな?落語と同じく羽織なしの旭堂南舟さん。「松浦壱岐守」。松浦って言ったからこれ歌舞伎でいうところの「松浦の太鼓」なのかな?と思ってたら全然違いました。あまり面白い話ではないですね。(^-^;
次は旭堂南青さん。男前です。追っかけがついたっておかしくないんじゃないの?というくらい男前です。講談だからつかないのかな? お話は有名な「赤垣源蔵」これは映画やドラマでも必ず入れられている話だし、単品で映画もあるくらいですから、完全に話は知っている。いい話ですよねぇ。前のご婦人泣いちゃってたよ。

続いてガラっと雰囲気は変わって、南舟さん司会進行で南左衛門さん、南北さんとで「忠臣蔵の嘘と誠」という座談会。まずなぜ吉良は浅野をいじめたか?一番多いパターンが賄賂が少なかった。というものらしいんですが、実際、浅野さんはこの回だけではなく以前もこの饗応役ってやってるから違うだろう。塩の精製方法を教える教えないというのもあるけど、これもどうかなあってことだったんですが、ここで話には出なかったんだけど、「仮名手本忠臣蔵」では浅野の奥方に吉良が横恋慕というのなんだけど、この場で話に出たのはお小姓説!?奥方ではなくお小姓に横恋慕だそうです。世の腐女子が喜びそうですな。でもここで一つ問題が吉良さん一体いくつなんだ?ってこと。ま、結局は原因はっきりしないんですよね。
そしてもひとつの嘘がこの座談会の前にご婦人を泣かせた「赤垣源蔵徳利の別れ」。これ実は赤垣源蔵って下戸だったって(笑)。しかも兄もいないとか(笑)。
嘘でも誠でも物語を完全に知っていてもつい見てしまう「忠臣蔵」。すごい物語ですよ。

座談会後に登場は旭南左衛門さん。ご本人がNHKの染五郎さんの「細川の血達磨」に出たという話をなさって、「ああ!」と初めて気づいた(笑)。そうだそうだこの人だったよ。
「三村の薪割り」主人公は三村次郎左衛門。誰この人?って感じなんですが、四十七士の一人らしい・・・。講談で聴くと面白いけど、これは映像にはなりにくい物語ですね。映像で見て面白いか?と言われると面白くないもん(爆)。やっぱ映画にしろお芝居にしろ、ちゃんとそのあたりは考えられているんですねぇ。講談で聴くとすごく面白かったんですよ。でも絵ではみたくない。絵で見て面白いとは思えない。

トリは旭堂南北さん。なぜかこの方だけ「忠臣蔵」とは関係のない「夜もすがら検校」というお話。うーん・・・。忠臣蔵で盛り上がってる私にはちょっとイマイチだったな。

とりあえず初講談。堪能しました。これで講談も経験したからもういいや(笑)。浪曲は聴いたことあるし・・・。落語はもちろん歌舞伎も文楽も経験済み。能も行ったしな。あとは・・・大衆演劇だけか。案外これが一番ハードル高かったりする(笑)。

【舞台】『ぼくに炎の戦車を』

2012年12月09日 | STAGE
『ぼくに炎の戦車を』
作・演出:鄭義信。
出演:草剛。チャ・スンウォン。広末涼子。香川照之。青木崇高。

1924年。朝鮮・京城から少し離れた地方都市。旅から旅へと永住の地を持たない芸人集団男寺党の若き親方淳雨は学校の教師をしている日本人直輝と出会う。朝鮮を理解しようとし朝鮮の白磁器に魅せられている直輝。互いに惹かれあい国籍を超えて義兄弟の契りを交わす二人だったが、二つの国、そして朝鮮の中での階級差別。それらに翻弄される二人と彼らを囲む人々。

結構良席だったんだけど、字幕を読むために視線を舞台からはずさないといけない位置だったのでちょっとしんどかった。それでも物語は充分に理解できたし、観終わってとても感動した。ここまで壮大な物語を笑いどころ満載で演出しているのはさすがだ。そのおいしいところをしっかり持って行っているのが青木崇高さん。いいわ彼。滑舌もいいし声もいい。舞台出身の人なのかと思ってたらなんと初舞台。これからもぜひとも舞台で見てみたい俳優さんです。草剛くんはがんばっているんだけど、やはりちょっとがなりたてるセリフがつらかった。チャ・スンウォンさんは、魅力的ですねぇ。で、もう何がいいって香川さんすごすぎ。ラストに全部持ってっちゃった感ありありですよ。すごいなぁ。力技で持って行きます。
いい舞台です。いいお芝居です。ホントに感動しましたよ。でもね私の中ではこの作品と「焼肉ドラゴン」だったら「焼肉ドラゴン」なんですよ。こっちの方が壮大だし豪華だし、物語も大きいんですけどね。言いたいこともわかるんですよ。でもね、小さな町の小さな焼肉屋。彼らも「ぼくに炎の戦車を」の主人公たちと同じく歴史に翻弄される人々なんだけど、彼らの物語の方が私にはズキズキきた。「ぼくに炎の戦車をよこせ、決して心の戦いをやめないぞ」と宣言するこちらの主人公よりも、一生懸命働いて、働いて、ただ働いて、すべて運命だと受け入れて・・・それなのに運命はまだ過酷なことを主人公に強いる。それでもまたなお、哀しいくらいに瞳に優しさをたたえて「こんな日は明日が信じられる。たとえ昨日がどんな日でも。明日はきっとえぇ日になる」と運命の中で生きていく主人公の生き様の方が私の心を抉った。やはりこれは「ぼくに炎の戦車を」の主人公が日本人だから、私としては感動を覚えなかったのかな・・・。どうしても書生の理想論って気になっちゃうんですよねぇ。ってこの作品を貶しているわけじゃないですよ。ただ私には「焼肉ドラゴン」の主人公が凄すぎたんです。

-2012.12.9 梅田芸術劇場メインホール-

【文楽】『仮名手本忠臣蔵』

2012年11月04日 | STAGE
『仮名手本忠臣蔵』
第一部
大 序 鶴が岡兜攻めの段・恋歌の段
二段目 桃井館本蔵松切の段
三段目 下馬先進物の段・腰元おかる文使いの段・殿中刃傷の段・裏門の段
四段目 花籠の段・塩谷判官切腹の段・城明渡しの段
五段目 山崎街道出合いの段・二つ玉の段
六段目 身売りの段・早野勘平腹切りの段

第二部
七段目 祇園一力茶屋の段
八段目 道行旅路の嫁入
九段目 雪転しの段・山科閑居の段
大 詰 花水橋引揚の段

通し狂言「仮名手本忠臣蔵」通しはやっぱり通しだろう。ということで初日に一日国立文楽劇場へはりついてきました。
映画やドラマで描かれる「忠臣蔵」のお話はもちろん知っている。でもこの「仮名手本忠臣蔵」って大星に塩谷判官。高師直と時代と名前が違うということだけで、あまり知らなかったんですよね。ほとんど同じだと思っていたら・・・違いました。
師直が塩谷判官を責める理由が、師直の塩谷判官の妻への横恋慕だけじゃなく、その前に同じ役目の桃井若狭助が塩谷判官の妻へ言い寄る師直を邪魔したせいで師直に愚弄されそれ以前より苛められていたことに腹を据えかねて殿中で斬りつけると重臣加古川本蔵に打ち明け実行するつもりだったというのがあるんですよね。加古川の機転の賄賂により師直の矛先は塩谷判官へ。おまけに塩谷判官の妻からはふられるし。でもやはり塩谷判官は短慮だと思う。
で、殿中で殿様が大変なことになっているのに腰元おかるとデートなんてしていたために、城には入れず、屋敷にも戻れず出奔というなんともな登場の勘平が、第一部のメインキャスト。その後なんとか武士の対面を保ちたいと願うが、その気持ちがおかるの身売りになり、義父与市兵衛の死につながり結局は自らも自刃。それでも血判状に名前を連ねさせてもらえるので、彼の思いは遂げられるんだけど、第一部のこの一番いい場面の語りが源大夫さんで、浄瑠璃がわからない私がこうやって文句つけるのっていいのか悪いのかわかんないんだけど、声が小さく迫力がなく聞きづらかった。字幕読まないとわかんないんだもん。
そして一部終了。いつもの気分で前もっての時間確認していなかったもんだから、終了した時間見てびっくり。16時すぎ!2部は16時半開演。あわてて向かいのコンビニへ食糧調達しにいって2部に備える。
第二部は七段目「祇園一力茶屋の段」いやあ、実は私これって大石・・・じゃない大星さんが遊興するだけの場面だとばかり思ってたんですよ。(^-^; なんのなんの、一番の見せ場なんですね。歌舞伎でよくこの段が演じられる理由がわかりましたよ。ここで終わりって言っても納得しちゃうくらいにたっぷりな見せ場。しかもここではおかるが蓑助さん。寺岡平右衛門が勘十郎さんで、由良之助が玉女さん。と私にとっては豪華なお三方。一番うれしい段だったかもしれない。しかし、まさか寺岡平右衛門がおかるのお兄さんだったとは・・・。この設定は「忠臣蔵」には引き継がれてませんよね。
道行旅路の嫁入は舞踊仕立てとなっていて、一輔さんの小浪の動きがきれいだった。そして山科閑居の段。加古川本蔵キターッ!かっこいいなぁ。主役やん。この段歌舞伎で見たいなぁ。そして討ち入り場面はなく大詰の「花水橋引揚の段」とりあえず最後の決め!って感じであまりなくってもいいかも(爆)な段で終了。
堪能した。次は歌舞伎が見たいな。でも歌舞伎は通しじゃなくっていいや。「早野勘平腹切りの段」「祇園一力茶屋の段」「山科閑居の段」だけでいいから見たい。・・・と思ってそういえばと、古いDVDデッキを確認したらあった!「早野勘平腹切りの段」勘平は菊五郎さん。よしなんとかDVD-RAMに移して次の休みには見られるようにしよう。
そして最近の私は文楽、歌舞伎ときたら落語となるもんだから、ぜひぜひ落語の「七段目」も聴きたい!どこかでやらないかなぁ。

-2012.11.3 国立文楽劇場-

【歌舞伎】『七月大歌舞伎』(昼の部)

2012年07月27日 | STAGE
『七月大歌舞伎』(昼の部)
「双蝶々曲輪日記」引窓
南与兵衛後に南方十次兵衛:梅玉
母 お幸:東蔵
女房 お早:孝太郎
濡髪長五郎:我當

新領主から亡父と同じ郷代官に任じられた出仕した与兵衛の留守宅に、濡髪長五郎が訪ねてくる。与兵衛の継母であるお幸は長五郎の実の花だった。突然の訪問に喜ぶお幸だったが、長五郎は人を殺めたため母に永の暇乞いにやってきたのだった。やがて郷代官になった与兵衛が戻る。なんとしても逃がしたい母、その気持ちを汲む与兵衛。その気持ちに甘えるわけにはいかぬとお縄にかかろうとする長五郎。

いい話だ。こんな物語だったのね。それにしても与兵衛の梅玉さんいいわ・・・。以前CATVで見た『京乱噂鉤爪』では古田新太さんに似てる・・・というインパクトが強く、それ以外でもどちらかというと表情の動かない役が多い印象があったんですが、なんかすごくいい人でお茶目で・・・。こういう軽い感じの役もなさるんですね。
しかし、あの後長五郎がどうなったのかが気になる。この後の話調べてみよう。

「棒しばり」
次郎冠者:又五郎
太郎冠者:染五郎
曽根松兵衛:錦之助

狂言の「棒縛」を元にした作品で、盗み酒をする次郎冠者、太郎冠者を置いて出かけなければいけない主人松兵衛は、一計を案じ、次郎冠者を棒で縛り、太郎冠者を後手に縛りつけて外出。ところが二人は縛られたままでもなんとか酒蔵に入り込み盗み酒をする。
というなんとも愉快な舞踏劇。これはとにかく楽しい。こいうのを生で見るとやはり歌舞伎役者さんってすごいなと思いますね。

江戸絵両国八景「荒川の佐吉」
荒川の佐吉:仁左衛門
大工 辰五郎:又五郎
仁兵衛娘 お八重:孝太郎
鐘馗の仁兵衛:歌六
成川郷右衛門:梅玉
相模屋政五郎:吉右衛門

やくざの子分となり三下稼業の佐吉が、親分子分の成行きから目の不自由な子卯之吉を育て、やがてその子と別れることになる人情話。いい話だ・・・。仁左衛門さんはやはり男前だなぁ・・・と見惚れていたら・・・。ここでもまた梅玉さん!シブい!かっこいいなぁ。仁兵衛の子分清五郎役の錦之助さんをばっさりたたっ斬って、花道を行く場面ではクラクラきました。ああ・・・でも私の心は吉右衛門さんなんですよねぇ。大親分の貫録抜群な吉右衛門さんは素敵だ。いい男三人にクラクラくるなんて贅沢な芝居なんだ(笑)。それにしてもこの佐吉っていい男だねぇ。卯之吉と別れることになったときに、今まで卯之吉のために目で楽しむことはしないようにしてきた。だけど江戸の最期に花見をしたいと言う場面で心が熱くなった。
仁左衛門さんの佐吉。梅玉さんの成川。吉右衛門さんの政五郎。こんな贅沢な配役でこの作品を観られて本当によかった。堪能した。

実は今回、夜の部を見てから、やはり昼も観たいな・・・とチケットを確認したら三階席の空きが少なく、何気に見た一階席が無茶苦茶いい位置が残ってた。そして・・・思わずポチしてしまった。てもここで見てしまうとやはりこの位置で見たいと思ってしまうんですよねぇ。よし!決めた次回から、吉右衛門さんは一階席で観る!ただし関西に限る(笑)。

-2012.7.25 大阪松竹座-

【歌舞伎】『七月大歌舞伎』(夜の部)

2012年07月19日 | STAGE
『七月大歌舞伎』(夜の部)
「義経千本桜」渡海屋・大物浦
渡海屋銀平実は新中納言知盛:吉右衛門
女房お柳実は典侍の局:魁春
相模五郎:錦之助
武蔵坊弁慶:歌六
源九郎判官義経:梅玉

頼朝に追われ、都落ちをした義経主従が逗留する船問屋の渡海屋。船の用意が整ったとの知らせに海に向かう一行。しかし実はこの渡海屋の主は平知盛だった。そして知盛は配下を率い義経を討たんと出陣する。形勢は知盛に不利となり瀕死の知盛だが、なおも義経に挑みかかる。しかし義経に助けられた安徳帝は知盛を諌め、覚悟を決めた知盛は自ら海へと飛び込む。

この渡海屋・大物浦は知盛の入水シーンが無茶苦茶かっこいい。まず初めて見たのは文楽でだったんですが、文楽でもかっこいいんですよ。そして2か月ほど前に衛星劇場でも放映されてて、それで見て(もちろん知盛は吉右衛門さん)、吉右衛門さんの知盛にクラクラ来てたんですが、今回は生!もうねぇ・・・かっこよすぎです。後ろ向きのダイブ・・・怖いでしょうねぇ。でも見せるためにはあの形じゃないと決まらない。「すし屋」も好きですが、吉右衛門さんは権太より知盛の方が似合ってるような気がする。


「襲名披露口上」
歌昇さんの三代目又五郎、種太郎さんの四代目歌昇襲名披露。
3月に京都南座でも見ているから2回目なんですよね。歌舞伎役者さんの口跡は何度聴いてもかっこいい。しかも「お久しぶりです。さっき海からあがってきました」と何ともお茶目な吉右衛門さん。やっぱ好きだなぁこの方。


「道行初音旅」吉野山
佐藤忠信実は源九郎狐:又五郎
静御前:芝雀
早見藤太:仁左衛門

「恋と忠義はいずれが重い かけて思いははかりなや」
一体、これ生で何回聴いているだろう?歌舞伎だと今回で2回目。文楽だと3回か・・・。これ文楽だと扇子キャッチなんて技があるから結構面白いんですよね。歌舞伎だと基本、舞踏ということでちょっぴり前半は眠くなる(笑)。ところが仁左衛門さんの藤太の登場で俄然面白くなる。以前見たときは橋之助さんだったんですが、インパクト違いすぎます。(^-^; ってか忠信よりインパクト強い。ニザさんもいいなぁ。これラストの演出が以前見たのと違うんですよね。以前は忠信は三津五郎さんだったんですが、静御前の後ろを嬉しそうに歩きながら、ついつい狐の手に戻ってしまうのをダメダメ・・・と自分を諌めながら歩くという姿がとてもかわいくって愛嬌があったんですが、今回は先に静御前が歩いていってしばらくして追いかけるという演出。まあ・・・ねぇ。又五郎さんって真面目って感じの人だかららしいと言えばらしいけど・・・。私は三津五郎さんの忠信の方が好きだな。


「天衣紛上野初花」河内山 松江邸広間より玄関先まで
使僧北谷道海実は河内山宗俊:染五郎
松江出雲守:歌昇
宮崎数馬:隼人
北村大膳:吉之助
高木小左衛門:錦之助

松江出雲守の屋敷に奉公している浪路を愛妾としたい出雲守だったが浪路が意に沿わぬことに腹を立て手討ちにしようとする、それを諌める家臣すら切り捨てようとしたところへ東叡山の門主よりの使いという僧がやってくる。しかしそれは浪路の実家から浪路を救い出すことを頼まれたお数寄屋坊主の河内山宗俊だった。

今回の河内山は初役だという染五郎さん。河内山宗俊って所謂ピカレスクロマン的な物語の主人公なんだけど、まだまだ染五郎さんってさわやかだから、ちょっと軽いかな・・・って気もしなくはない。不適なところがないとね。でも若くてさわやかなはずの歌昇さんの出雲守がなんとも傲慢な嫌な殿様で、以外にはまってたような気がする。案外彼の悪役って面白いかもしれないね。

-2012.7.18 大阪松竹座-

【舞台】『藪原検校』

2012年07月09日 | STAGE
『藪原検校』
作:井上ひさし。
演出:栗山民也。
出演:野村萬斎。秋山菜津子。浅野和之。小日向文世。山内圭哉。

江戸中期の塩釜の地。小悪党の魚売り七兵衛と醜女だが気立てのよいお志保との間に一人の男の子が生まれる。しかし、お志保と世帯を持ち改心したはずの七兵衛がお産の費用欲しさに行きずりの座頭を殺したことが巡る因果となったのかその子も盲だった。その事実に苦悩し七兵衛は自害。その子は塩釜の座頭・琴の市に預けられ、杉の市という名をもらう。手癖が悪く手が早い杉の市は、十三才で女を知り、師匠の女房にまで手を出し、やがて悪事の限りを尽し、藪原検校にまでのぼりつめるが・・・。

以前・・・えっと2007年に、蜷川幸雄演出による古田新太主演の『藪原検校』を見てるので、塙保己市がコヒさんだと知り、絶対観に行くぞモードに突入、速攻でチケットをゲット。この日が楽しみでしかたなかった。
幕があくと、舞台に張り巡らされた縄。蜷川版と同じだ・・・って考えたら脚本が一緒なんだもん、そらほぼ流れは一緒だよね。(^-^;
でも、なんか違う。こちらの方が明るい。歌?あれ?蜷川版でもあったっけ?あったような気はするが・・・。と帰ってきてDVDをチェック。あ、思いっきり歌ってる。歌うシーンも一緒だよ。(^-^; どんだけ記憶あやふやなんだよ。
で、ここで驚くべくことが・・・蜷川版の音楽宇崎竜堂さんなんだよね。この時音楽よかったんだけどなぁ・・・って、まあそれは今回の『藪原検校』の話じゃないので、おいといて・・・。
歌詞は同じなんだけど曲が違うんですよね。今回の萬斎版の方が明るい。ま、出てるメンバーも全然雰囲気違いますからね。蜷川版では物語を最初から最後まで語る座頭役は壤晴彦さん。今回は浅野和之さん。違いすぎです(笑)。重厚な壤晴彦さんに対し軽妙な浅野和之さん。この二人の対比だけでこの二作品の違いがはっきりすると思う。暗いピカレスクロマンなこの作品が、今回は妙に明るく楽しかった。初めて舞台を見る野村萬斎さんは、さすがの巧さですね。そしてわが愛しのコヒさんもまた軽妙で、いい!歌まで歌っちゃうしなぁ。堪能した。どちらの演出でもそれぞれに同じ芝居だけど全然違うものとして十分に楽しめる。ただ「早物語」は、古田さんの方がすごかった。萬斎さんの「早物語」」は遊びがあったんだけど、古田さんはガチで「早物語」語ってましたからねぇ。萬斎さんは普通にすると巧いからわざと遊びをいれたのかもしれませんけどね。
途中ちょっと噛んじゃった浅野さん。「え~・・・」って突っ込む圭哉さん。そして休憩後、「先ほどはお聞き苦しい点があり失礼しました」と一言添える浅野さん。これだけでこの芝居の雰囲気をわかっていただけるかと思います。楽しかった。堪能した。

-2012.7.8 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール-

【舞台】『男の花道』

2012年07月05日 | STAGE
『男の花道』
演出:マキノ雅彦。
音楽:宇崎竜童。
出演:中村福助。中村梅雀。尾上松也。風間俊介。一色采子。

大坂一の人気女形、加賀屋歌右衛門は、次は江戸で興行するために一座と共に大坂を後にする。何としても成功させなければならない江戸の興行。たが、歌右衛門は目を患い、彼の目は日に日に見えなくなっていたのだった。舞台を見ていてそのことに気付いた蘭学医土生玄碩により手術を受けたことで目は回復する。歌右衛門は土生玄碩の大恩に報いるためにも芸への精進を誓う。歌右衛門の舞台は江戸でも評判を博していた。そんなある日、土生玄碩は命がけの窮地に陥ることになってしまう。

なぜ私がこの作品を観に行こうと思ったか。それはマキノ雅彦さんの演出だってことと、福助さんの歌舞伎以外の芝居を見てみたかったということだったんですが・・・。
えっと、とりあえず一言申し上げますと、これから私がこの作品の感想として書くことは、ある意味、服買いに行って入った店がシニア専門店なのに、色が悪いとかババ臭いとかって文句付けてるってことと同等だと思って下さい。
もう間違いなくこの作品はシニア向けです。商業演劇のくくりですね。小劇場系の舞台や蜷川作品なんかを観に行ってる人にはまず合わないでしょう。悪い作品ではないんですよ。でも合わない。全然違いますね。まず音楽がね・・・昭和なんですよ。竜童さんの音楽嫌いじゃないですよ。嫌いじゃないんですが、竜道さんの音楽自体がもう昭和なんですよ。で、BGMっていうのかな・・・バックの音楽が手抜きっぽい。このシーンにはこの曲ってしっかり計算されてない。これも商業演劇ならどうってことないんでしょう。たぶん当たり前。そして演出が単調。やはり映画の人なんですよね。
新国劇が好きで、商業演劇が好きで、好きな役者さん出てたらそれだけでいい。って人にはお勧めです。決して悪い作品ではないです。ただ、そうじゃない人・・・私みたいなのね。は、やめた方がいい。
パルコプロデュースってのにもだまされたんだよなぁ・・・。(^-^;

-2012.7.4 新歌舞伎座-

【歌舞伎】『團菊祭五月大歌舞伎』(昼の部)

2012年05月24日 | STAGE
『團菊祭五月大歌舞伎』(昼の部)

大阪府の半額観賞券に応募して当たった。でも半額とは言ってもいつもの三階席に比べると奮発してるんだ。それなのに、ちょこっと失敗。だって團菊祭なのに、私が選んだ昼の部でお二人は「身代座禅」でおちゃらけた姿しか拝見出来なかったんだよね。(^-^;ちゃんと調べろよって感じですが・・・。

「菅原伝授手習鑑 寺子屋」
舎人 松王丸:松緑
武部源蔵:海老蔵
戸浪:梅枝
千代:菊之助

菅丞相(菅原道真)の子供菅秀才を匿う源蔵は菅秀才の首を差し出せとの迫られ、運よく今日寺子屋へと新しくやってきた武家の子供らしき小太郎の首をはね菅秀才の首と偽り差し出すが、実は小太郎は首検分にやってきた松王丸の息子で、菅丞相の恩に報いるために松王丸が身代わりとして源蔵の元へ送りこんだのだった。
という物語なんですが、しかし歌舞伎って身代わり好きだねぇ。みんなこぞってわが子を身代わりにするよね(笑)。私の好きな「義経千本桜 すし屋」もそうだし、以前見た「弁慶上使」に「妹背山婦庭訓」も子供じゃないけど身代わりじゃなかったっけ。
今回、初生海老ちゃんなんですが、男前は男前だね。認めよう。でもなんか私は魅力感じないんですよねぇ。(^-^; やはりスキャンダルが多すぎたかな(笑)。

「身代座禅」
おねえちゃんに会いに行きたいばっかりに、怖い奥さんをなんとかごまかして出かけたけど、帰ってきたらそれがバレててさあ大変なだんなさんのお話。とまあ、ぶっちゃけるとこんな感じかな(笑)。
それにしても團十郎さんの奥方怖すぎます。そういや私この方は俳優祭の「白雪姫」の魔女と今回のこの奥方。まともな役見たことないな・・・。(^-^; 菊五郎さんは・・・こういうの好きそうなんですよね。

「恋飛脚大和往来 封印切」
亀屋忠兵衛:藤十郎
傾城 梅川:菊之助
丹波屋八右衛門:三津五郎

これは4年前にこの松竹座で見てるんですが、以前見た忠兵衛は息子さんの翫雀さんでした。さすがに似てる。でも翫雀さんの忠兵衛の方がもうちょっとコミカルだったような気がします。以前の感想にも書いたんですが、やはり私はこの話、文楽バージョンの八右衛門がいい奴の方が好きですね。なんで歌舞伎は八右衛門を悪者にしちゃったんでしょうねぇ。八右衛門を悪者にしちゃうと物語がすごく単純になってしまって、忠兵衛の哀れも浅くなってしまうような気がするんですけどね。

久しぶりの歌舞伎の一階席。やはり花道がばっちり見えるっていいですねぇ。

-2012.5.23 松竹座-

【舞台】いのうえ歌舞伎『シレンとラギ』

2012年05月02日 | STAGE
劇団☆新感線2012年春興行 いのうえ歌舞伎『シレンとラギ』
脚本:中島かずき
演出:いのうえひでのり
出演:藤原竜也。永作博美。高橋克実。古田新太。三宅弘城。北村有起哉。

対立する北と南。しかし南の王ゴダイが北が放った暗殺者シレンにより20年前に毒殺され、勢力の均衡は北に傾いていた。そんなある日、北のキョウゴクにシレンが呼び出される。理由は南の王ゴダイが生きている。再びゴダイ暗殺の命を受けキョウゴクの息子レンと共に南へと潜入するシレン。人を殺すためだけに生きているローラン族のシレン。シレンに憧れを抱き、次第にその思いを強くしてゆくラギ。しかし運命はそれぞれの愛の形を弄ぶ。

物語は重い・・・と言えば重いのかな。でも面白い。いい話だと思います。でも出来ればこれもう少しこなれた後半に観たかった。私が鑑賞したのは幕があいてから1週間なんで、新感線の舞台だとまだまだ序盤で、これからまだまだ変わるだろうなというモノだったんですよね。
そこらへんの話はもう少し後ですることにして、出演者。高橋克実さん。かっこよすぎます。超お得な役ですよ。藤原竜也さんはもう言うことなし。余裕だね。なんなんですかあのカーテンコールの笑顔。板の上の彼はホントにすごい。東京公演まで行くとこの二人もっとすごいことになってそうな気がする。あ、じゅんさんもさすが出来上がってましたねぇ(笑)。でもさすがに物語が重いのでまだちょっと遠慮がちな気もしないではない。北村有起哉さんもいいんだけど地味な役だけにあまり目立たない。でも今後目立ってくる可能性があるような気がする。あ、そうそうサンボさんファンは喜んで!この作品の彼はいい!キャラたってますよ犬だけど(笑)。ただ私が観て感じたのは役者が多すぎ。客演に劇団員。使うコマ多すぎて役がうすくなってる感があるような気がしたな。
で、ここからはネタばれがあるので改行。











シレンとラギの関係は、なんとなく読めた。でもその苦悩がシレンの方が弱いような気がする。やはりここは男性の脚本家、男性の演出家故の越えられないハードルなのかもしれないけど。この物語を悲恋へと導くのがキョウゴクなんだけど、キョウゴクの裏切りの理由がちょっとしんどい。というか娘ミサギに対する近親愛がイマイチ確立してない感じがした。演じる古田さんもまだ試行錯誤中のような気がしないでもない。ここはやはり娘を欲するドロドロな欲情を必死におさえつつ・・・というのを希望。
そういや、今考えたらシレンがゴダイを毒殺してから20年というのが大きなネタばれですよね(笑)。
シレンのゴダイへの思いも微妙。愛さないと殺せないという部分でゴダイへの愛の葛藤も感じられたらまた雰囲気かわっただろうな。そうなるとゴダイのシレンへの思いもそうなっちゃうんですけどね。
とにかくまだまだそれぞれが役に対して大きな振り幅を持ってる感が強かったので、絶対後半の公演の方が面白いと思う。うらやましいぞ東京!(笑)。

-2012.4.30 梅田芸術劇場メインホール-

【歌舞伎】『秀山祭三月大歌舞伎』夜の部

2012年03月21日 | STAGE
『秀山祭三月大歌舞伎』夜の部
平家女護島「俊寛」
俊寛僧都:吉右衛門
海女千鳥:芝 雀
丹波少将成経:歌 昇

平清盛打倒の謀議を清盛に知られ、俊寛僧都、丹波少将成経、平判官康頼の三人は鬼界ケ島へと流された。それから三年、成経は千鳥という恋人を俊寛に紹介するために康頼と共に俊寛の元を訪れていた。その時都から赦免の船がやってくる。これで都に帰れると喜ぶ三人だったが・・・。

実はこれ何年のやつか忘れましたがCATVで放映されたの録画してそのまんまなんですよね。今回、『秀山祭三月大歌舞伎』でこの演目が上演されると知り、あえて見ないまま舞台を先に見たんですが、吉右衛門さんの俊寛はいいですわ。妻のいない都に戻っても・・・と一人島へ残る道を選ぶも、足元に残り離れて行く舫い綱に手をかけ未練を引き、離れがたい思いたっぷりに「おーい」と叫びながら少しでも船の近くへと思っているかのように歩む俊寛の足元に波が打ち寄せる。波に追い立てられ小島にあがり、それでもなお船をみつめる。あの間に俊寛の万感の思いがひしひしと感じられ胸が熱くなった。

「襲名披露口上」
歌昇さんの三代目又五郎、種太郎さんの四代目歌昇襲名披露。
こういう口上を生で見られる機会ってそうそうないと思うので、これはこれでうれしかった。歌舞伎役者さんの口跡ってやっぱいいですよねぇ。

「船弁慶」
静御前・平知盛:又五郎
源義経:愛之助
武蔵坊弁慶:翫雀
舟長三保太夫:吉右衛門

頼朝との不和から都を離れ落ちて行く義経と静御前の別れ。静御前を都に帰した義経主従は船に乗り込むが、そこに平知盛の亡霊があらわれ義経たちを襲う。

能の「船弁慶」を歌舞伎に移した舞踊ということで、すみません静御前の舞のところでは何度もおちかけました。なんとか必死に堪えましたが、せっかくの見せ場なのに私には全く意味がなかったようで・・・。(^-^; やはりこういうゆったりとした舞踊はダメですねぇ。でも、そのあとは面白かった!初めて吉右衛門さんの舞踊も見られたし、平知盛の亡霊が出てくるところは大盛り上がり。私にはやはりこういう派手なのが合っているようです。今回も三階席だったんですが、今回の席はなんとか花道の四分の一ほどは見えたので、ラストのいいところでおいてけぼりにならずにすみました(笑)。

能の「船弁慶」見てみたいな・・・とふと思ったものの、以前「卒塔婆小町」をご厚意で観に行ったことがあったんですが、この時ムチウチになるんじゃないかと思うくらいカックンカックン落ちちゃったもんだから、能はねぇ・・・とかなり躊躇してしまうんですよね。今回も静御前の舞のところで落ちかけたんだから、やっぱやめといた方がいいかな(笑)。

-2012.3.20 京都南座-