にゃんこな日々

ネコ風ライフをつらつらと・・・

『必死剣 鳥刺し』

2010年08月24日 | MOVIE
『必死剣 鳥刺し』(2010/)
原作:藤沢周平。
監督:平山秀幸。
出演:豊川悦司。池脇千鶴。戸田菜穂。吉川晃司。小日向文世。岸部一徳。

東北の海阪藩では、藩主右京太夫の愛妾連子が右京太夫の寵愛をいいことに藩政に口を出し、農民達は重すぎる年貢に苦しみ、家臣たちも悪政に眉を顰めていたが、連子の言いなりで藩を思う忠臣さえも切腹させてしまう右京太夫に誰も何も言えずにいた。そんなある日行われた城中での能楽鑑賞後、引き上げる連子を一人の武士が刺殺した。彼の名は兼見三左ェ門。最愛の妻を病で亡くし、死に場所を求めての蛮行だった。しかし本来ならば打ち首も当然の彼に下された処置は1年間の閉門と降格。寛大な処置を不思議に思いながらも再び城勤めに戻った兼見に下された密命は右京太夫の従弟である隼人正による謀反を食い止めることだった。

地味に堅実に物語が進む。本来あまり地味な作品というのは途中、睡魔に襲われたりしがちなんですが、この作品は地味ながらも着実に物語にのせられて、じっくりと映画に引き込まれる。物語として面白い話か?と聞かれるときっと面白くない話だと言ってしまうだろう。だけど、その面白味のなさがこの作品のよさと言えるのかもしれない。主人公兼見三左ェ門は、手練の剣士であるが、ごく平凡に日々を謹厳実直に過ごし、全くヒーロー然としていない。だからこそ終盤の死闘シーンがすごく生きてくる。このシーンの評判がよかったんですが、『丹下左膳 百萬両の壷』での、豊川さんの殺陣があまりにもひどかったので、私としては半信半疑だったんですよね。でも・・・さすがここまでのメジャー級の作品になるとがっちり殺陣作りこんできてますねぇ。見直しました。死に場所を求めた人間が、新たな希望を見出し、もう一度生きてみようと思ったときに、その夢が消える・・・。物語は本当に切なすぎるんですが、日本人らしい物語という気がします。私はこういうの好きですね。
ただ、あの連子役の人だけは・・・どうにかなんなかったんですかねぇ・・・。(^-^;
あと、あの「鳥刺し」って技の発動がわからない。

-2010.8.4 MOVIX堺-

『クレイジー・ハート』

2010年08月24日 | MOVIE
『クレイジー・ハート』Crazy Heart(2009年/米)
監督:スコット・クーパー。
出演:ジェフ・ブリッジス。マギー・ギレンホール。コリン・ファレル。ロバート・デュバル。

かつて一世を風靡していたカントリー歌手のバッド・ブレイクは、今では落ちぶれ酒におぼれ、なんとかマネージャーのとってくる田舎の場末のステージで歌っていた。そんな彼の前にジーンという女性記者が現れる。互いに惹かれやがて愛し合うようになる二人。バッドの生活も変わるかと思われたが・・・。

ジェフ・ブリッジスがいい。落ちぶれたカントリー歌手がすごく似合っている。そして歌もまたうまい。かつての弟子で今は売れっ子歌手のトミー役のコリン・ファレルも歌うまい。しかしなんでハリウッドの俳優たちってこんなに器用なんでしょうねぇ。私はこういう音楽モノ映画を観たときに必ず言っているんですが、劇中の曲に心ひかれない音楽モノ映画はやはりいいことはない。この映画の曲はどれもいい。私がカントリーも好きだから余計かもしれませんが、劇場出て思わずサントラ買いそうになっちゃいましたよ。今でもやっぱり欲しいんですけどね。
で、ラストはちょっぴり切ないですが、私はこのラストだからこそいいんじゃないかなって思います。人って誰かを・・・何かを必要とするとき、しんどくっても何とか一歩を踏み出す。そしてその一歩は、必要とした人には届かなくても、確かに歩き出した彼には彼を必要とする人たちがいる。見終わったあとさわやかな気分になれる映画ってやっぱりいいですね。

-2010.7.24 シネマート心斎橋-