にゃんこな日々

ネコ風ライフをつらつらと・・・

【映画】『母なる証明』

2009年12月04日 | MOVIE
『母なる証明』Mother(2009年/韓国)
監督:ポン・ジュノ。
出演:キム・ヘジャ。ウォンビン。チン・グ。ユン・ジェムン。

小さな田舎町。細々と漢方薬を売りながら、違法だがこっそりとハリ治療も行い貧しいながらも溺愛する息子トジュンと二人貧しくとも幸せに暮らす一人の母。彼女の毎日のすべては少し知的障害気味な息子トジュンと共にあった。そんなある日この町で起こるはずのない殺人事件が発生する。殺害されたのはこの街で認知症でアル中の祖母と暮らす女子高生アジョンだった。殺害現場からトジュンのサインの入ったゴルフボールが発見されたことでトジュンは警察に連行され、殺人犯として逮捕されてしまう。息子の無実を信じ、一人必死にトジュンの容疑を晴らそうとする母・・・。

どう考えてもネタばれなしでこの先書けそうにないので改行します。






知的障害を持つ息子にかけられた殺人容疑、ただ一人息子の容疑を晴らすために奔走する母・・・という話だとだけの前情報でこの作品を観にいった。だから最初、事件が起こるまでにトジュンに必死になる母の態度がなんか、すごくうざかった。いくら知的障害があるからってそれはないだろう?っていうか障害があるからこそ、もうちょっとちゃんとしなきゃいけないんじゃないのか?だから事件に巻き込まれるんだよ・・・なんて気で観ていたんですが・・・。あれ?もしかしてこのお母さんも少し知的障害あるの?って気になってきた。ま、知的障害とまではいかなくても、普通よりは愚鈍かな・・・と。だから父親の存在が全く生きてるんだか死んでるんだか、誰なんだかが描かれていないんじゃないのかな・・・と。美しい顔の息子・・・それだけが彼女の自慢なんだろうな。と思ってたら5歳の時に無理心中!?ってことは・・・?。ま、いいや。田舎町の貧しい学問すらまともに受けられない女性・・・というのはこんな感じなのか・・・と思うことにして、このあとどうなる?と映画に集中してたらいきなりトジュンとつるんでたやくざなジンテがいきなり味方になって事件は急展開。そしてそのあと衝撃の事実が!?「え!?」思いっきりスクリーンみつめて固まっちゃったよ。これはびっくりするなっていう方が無理ですぜ旦那(って誰だよ)。固まったまま呆然としていたらこれまた「えぇー!?」な展開。でもこれはねぇ、私にはこの母親を責めることは出来ない。重いよ。ほんとすっごく重いよ。でもねぇ・・・。これが血なんだろうな・・・って。血ってほんと重くて汚いんですよ。どろりとした血の関係を持つ人間にとって、その血の交わりのない他者はどうでもいいんですよ。どうでもいいっていうのは語弊があるかな・・・うーん・・・。つまりこの作品の母親で言うと、彼女は自分の罪の重さは十分に理解しているんですよね。でもどれだけ重い十字架を背負うことになったとしても、彼女は息子を守ることを選んだ。それが彼女の業であり人生だから。
私にはこのどろりとした血の関係が全くないんですが、そのどろりとしたものを肯定はしないけど否定もしない。
だから、この映画のこのラストはかなり賛否両論のようですが、重く苦しさはありましたが私にはすんなりと受け入れられました。でもやはりラスト嫌なことは忘れられるという太ももにあるツボに自らの手でハリを刺す母・・・。そして本当に何もかも忘れたように踊りに興じる。普通では絶対に耐えられるはずのないくらいに重たい十字架。最初に感じた息子に対するうざいくらいの対応と、ちょっとお母さんあなた愚鈍すぎないかい・・・と感じた描写がここにきてきれいに繋がった。

まさかこんなに息苦しいくらいに重くのしかかってくる映画だとは・・・。
ま、でもこれは見逃さないでよかったと思える作品でしたね。

-2009.12.2 梅田ブルク7 -