にゃんこな日々

ネコ風ライフをつらつらと・・・

【映画】『母べぇ』

2008年02月24日 | MOVIE
『母べぇ』(2008年/松竹)
監督:山田洋次。
出演:吉永小百合。浅野忠信。檀れい。坂東三津五郎。

戦争の足音が序々に高くなりつつあった昭和15年。ドイツ文学者の滋と妻の佳代そして娘の初子、照美と4人幸せに慎ましく暮らす野上家に深夜、特高により滋は治安維持法違反で検挙されてしまう。決してお父さんは悪いことをしたから捕まったんじゃないと二人の娘に言い聞かせ滋のいない家を守る佳代。年が明けても滋は戻らず、日本は太平洋戦争へと突き進み、過酷な世情の中でもただひたすら夫の帰りを信じ二人の娘を育て守りぬいた一人の母親の物語。

この作品を観に行った同僚(60歳の女性)は、悪くはなかったんだけど、なんだかあの時代(戦時中)を描いている割に結構みんな小奇麗だし、緊迫感がなくって拍子ぬけしたと言っていた。
うん。確かにそれは言えると思う。でも藤沢作品3部作でも見せた山田監督のディテールへのこだわりがこの作品では一挙に無くなった。なんてことはないと思うし、なくなるはずもないと思うんですよね。ということはつまりこれはわざとじゃないかと私は思う。もんぺはいて竹やり持って・・・なんていう実際に一般庶民が巻き込まれた戦争中の描写なんてのはNHKあたりの歴史ドラマでやってもらってたらいい。つらいだの苦しいだの悲しいだの・・・そんなの当たり前に心の中に持っていて、それでもとにかく真っすぐに生きていかなければならない、生きてきた人たちの姿を通し、「な、これからどうするかわかってるよな」って言われたような気がする。
しかしあのラストのセリフは痛い。最後の最後にあれ持ってきますか。だから山田監督なんだなぁ・・・とは思うんですけどね。(^^;
この作品のすべてがあのセリフに集約されてるような気がします。
60を過ぎてこんな小さな子供たちの母親役ってどうよ?という意見がたくさんありますが、私はそんなに違和感なく見られましたよ。この映画撮影前に吉永さんがそのような年齢的なことを山田監督に伝えたら大丈夫です。この時代のお母さんたちは疲れてましたから。ってなことを言われたとか(笑)。だからいいんじゃないですかね。それよりも私はいくら特別出演とは言えラストの大人になった長女初子が倍賞千恵子さんってのに違和感ありありでした。(^^; 

2008.2.18 アポロシネマ -