にゃんこな日々

ネコ風ライフをつらつらと・・・

【観劇】『文楽4月公演』

2009年04月27日 | STAGE
第1部 
『寿式三番叟』
通し狂言『義経千本桜』
 初段 堀川御所の段
 二段目 伏見稲荷の段
     渡海屋・大物浦の段


第2部
通し狂言『義経千本桜』
 三段目 椎の木の段
     小金吾討死の段
     すしやの段
 四段目 道行初音旅
     河連法眼館の段


通し狂言ということで、分けて見るよりは・・・ということで第一部、第二部通しで鑑賞。さすがにちょっと疲れましたが、やはりこれは一日通して正解でしたね。

まず第一部の『寿式三番叟』
詳しい説明は省きます。とりあえず目出度い演目だそうで・・・(笑)。
三番叟二人の連れ舞がすごいです。完全に見入ってしまいますね。三人遣いでこれだけ動けるというのはすごい。この三番叟は玉女さんと勘十郎さんだったんですが、これは人形の役どころの違いなのか?人形遣いさんの個性なのか?全く違った個性だったのがすごく面白く私の中での新な発見でした。

『義経千本桜』 渡海屋・大物浦の段
まさか、平知盛が壇ノ浦で生き残っていて、一門の恨みを晴らそうと義経主従を待ち構えていた・・・なんて話があったなんて全然知らなかったので、ある意味驚きました。でもねぇ、やっぱり悲しい物語なんですよねぇ。あぁ、でも知盛の最期はかっこよかった。

第二部
以前、歌舞伎で「すしやの段」を観たことがあって、この物語にはすごく感動したんですよ。物語の流れを知らないで観てたものだから、ラストの展開には泣けました。だから一番見たかったのが「すしやの段」なんだけど、「椎の木の段」「小金吾討死の段」「すしやの段」と続けて見たことによって、物語の流れに大きく納得。で、やっぱり「すしやの段」いいわぁ。とにかく泣ける。でもって蓑助さんかわいい!・・・じゃなくって蓑助さんのお遣いになるお里がもう最高にかわいい!というか蓑助さんのお遣いになる娘は本当に最高です。無表情な人形の表情がすごくかわいく見えるんだから不思議です。

「道行初音旅」「河連法眼館の段」
もうねぇ、勘十郎さんかっこよすぎます。狐忠信、とにかくおいしいとこどりの役ですね(笑)。ただ「道行初音旅」の扇子キャッチは今年の一月に『おおさか・元気・文楽』で見た清十郎さんの方が距離が長くてかっこよかったような気がする(笑)。
まず歌舞伎版の「道行初音旅」を観てこの演目が気に入ったんですが、こうなると今度は歌舞伎版の「河連法眼館の段」が観てみたいなぁ。

-2009.4.19 国立文楽劇場-

千秋楽の4.26 幕見で「道行初音旅」「河連法眼館の段」再度鑑賞。蓑助さんの静御前はやっぱりかわいくって、勘十郎さんはやっぱりかっこよかった。

【映画】『君は海を見たか』

2009年04月05日 | MOVIE
『君は海を見たか』(1971年/大映)
原作・脚本:倉本聰。
監督:井上芳夫。 
出演:天知茂。山本善郎。寺田路恵。中山仁。内藤武敏。

土佐清水市の海底展望台の開発に関わる設計技師増子一郎は、妻亡き後の一人息子の正一の面倒も妹の弓子に任せっきりで仕事に追われていた。家に帰っても仕事の続きで息子の話すらまともに聞かない一郎。一郎の出張中のある日正一は身体の異状を訴えた。そのまま大学病院へと移された正一の精密検査の結果はウィルムス腫瘍という腎臓に出来る特殊な小児がんだった。医師から聞かされた話は、症状はかなり進行しており、手術をしても余命3か月くらいであろうと言うことだった。しかも正一は2か月も前に身体の異状を一郎に訴えていたのだった。息子の話をきちんと聞いてやらなかったことに苦悩する一郎。息子に残された時間をどこまでも一緒に過ごそうと決心する一郎。そして海を見たことがないという正一を連れて、正一から父親を奪ってしまっていた一郎の職場である土佐の海へ連れて行くことにする。

どこまでも市井の人の似合わない俳優の一人である天知さんの唯一のパパ作品である。
しかし普通の優しいいいパパでないあたりにこのキャスティングの妙があるんですよね。子供と向き合えない不器用さは案外この人だから、うまくこの作品に醸し出されているのかもしれない。なんでもこの作品は、この映画化の前にテレビドラマで放映されていて、その時の父親役は平幹二郎さんだそうで、子供の正一役は映画版と同じらしい。そこでふと思うのですが、この子役の子、天知さんの方が似てるんじゃないか?と。もしかして似てるってこともキャスティングの一つ?などと思ってみたりもする。
難病モノ・・・の作品の割りにこの作品は、「ほら泣けよ」な所が全くない。そのくせつまらないか?というとそうでもない。悲しいけれど優しい作品である。
しかもこの天知茂という俳優さんの不思議なところは、子供というアイテムが加わるとなぜか今までの臭みが消えるんだ(笑)。『眠狂四郎 無頼剣』の愛染の成功は弥彦屋の末娘を絡ませたところにあるんじゃないかと思っているくらいです(笑)。
苦悩するのはお得意。そこに子供というアイテム。そしてかっこつけなくていいという肩の力を抜けるお芝居。天知さんのいいところを引き出すにはもってこいの作品ではないか?と(笑)。
一部、どう見てもそれは聞き込みの刑事だろう?な雰囲気の場面はありますがね。

-2009.3.29 CATV録画 -