にゃんこな日々

ネコ風ライフをつらつらと・・・

【映画】『沈まぬ太陽』

2009年10月29日 | MOVIE
『沈まぬ太陽』(2009年/角川・東宝)
原作:山崎豊子。
監督:若松節朗。
出演:渡辺謙。三浦友和。松雪泰子。鈴木京香。石坂浩二。

1960年代。国民航空の労働組合委員長恩地は、職場環境の改善のため会社側と断固闘う姿勢を崩さず、会社の懲罰人事により海外勤務を命じられてしまう。2年の予定のパキスタンから、イラン、ケニアと10年に渡る僻地勤務後、ようやく日本勤務となるが、帰国後まもなく自社のジャンボ機が死者520名を出す墜落事故を起こす。事故後すぐに被害者対応係となり奮闘、そしてその事故を機に会社組織の立て直しを図るべく就任した国見会長に請われ会長室に配置され会社の腐敗と戦うことになるが・・・。

原作は残念ながら読んでいないのですが、ベストセラー超大作。そしてその映画化。映画好きとしては外せない作品ですから、高い期待度で鑑賞。
3時間22分。途中10分のインターミッションを挟むという、文字通りの大作。でもその長さは全く気になりませんでしたね。なんでもこの作品・・・というか原作はノンフィクションというラインでかなりいろいろと物議を醸し出した作品なんだそうですが、この映画にはそのあたりの感覚は持ち込まない方がいいですね。モデルとなった航空会社、そして事故があったのは丸わかりですが・・・。あくまでフィクションとしてざっくり楽しんだ方がいい。そしてこれはそれを楽しませてくる。この量、この長さ・・・うまくまとめた作品だと思います。今、こんな作品が見られるとは思いませんでしたね。まず過去と比べると役者が違うよ・・・なんて思ってしまうのですが、いやいや・・・過去の大作に出演の重厚な役者たちに比べると、多少思うところは残るにしても十分でしょう。主演の渡辺謙さんは、この大作をひっぱるには堂々たるものだし、敵役の三浦友和さんがいい。この人は年齢を重ねてから本当にいい俳優さんになりましたねぇ・・・っておいら偉そうだな(笑)。ただ西村雅彦さんは、好きな俳優さんではあるんですが、この役はどうかなー?って気がしましたね。あと阿南健治さんも。私の中では三谷作品のイメージが強すぎるからかな。どうもこの作風と合わないような気がしたんですよね。あとズラマジックを使ってるものの、どうも時間軸がはっきりしない。(^^;
たぶん最初から最後まで約30年くらいの話だと思うのですが、子供の年齢からすると20年くらいか・・・。その20年が役者から見えてこないもんだから、どうも年月の重さが感じられないんですよねぇ。いっそのことうざくなってもいいから年代入れてもよかったんじゃないかなぁー。
とか多少は思うところもありますが、これだけのものが出来上がってるってだけですごいことなんじゃないか?って作品ですね。
しかしこの作品の内容とは関係ないですが、墜落機の機長がまさか小日向さんだったとは!?この作品にまで出演なさってるとは知らなかったからびっくりでした。

-2009.10.28 MOVIX堺-

【映画】『緋牡丹博徒』

2009年10月23日 | MOVIE
『緋牡丹博徒』(1968年/東映)
監督:山下耕作。
出演:藤純子。高倉健。若山富三郎。山本麟一。清川虹子。

九州は熊本の博徒矢野組の一人娘竜子は堅気との結婚を目前に控えたある日、父親が辻斬りに殺害される。そのせいで縁談は破断。矢野組もフグ新一人を残し解散。竜子は残ったフグ新にも堅気になるように言い残し、「緋牡丹お竜」として一人父の敵を探す旅に出たのだった。それから5年。大阪に流れ着いたお竜はそこでとうとう敵をみつけることになるが・・・。

基本シリーズものの第一作目って、案外地味だったり作りが暗めだったりするんですが、この作品は一作目からかっちりとお竜のキャラもしっかり出来上がってるし、サブキャラの熊虎の親分のキャラもしっかりと出来上がってるんですよねぇ。ま、ちょっとまだメイクもお竜さんへのデレデレも抑え気味ではありますが(笑)。で、この手の作品で主役に助っ人する役ってのは絶対にかっこいいもんで、それが健さんなんだからかっこいいのは当たり前。でもねぇ、私はこの作品で好きなのはフグ新の山本麟一さんなんですよぉ。なんかねぇ、もうずっとこのシリーズ通してお竜さんにくっついていて欲しかった。それとあほボンの山城新伍さんもいいんだぁー。もうねぇ、かわいすぎ(笑)。この当時純子さん23歳。山城さん30歳。なのに「ぼく吉太郎23歳。お姉ちゃんきれいなぁー」とお竜さんになつくんだけど、23歳で納得しちゃうくらいにかわいい(笑)。この作品以外ではこの方が「お姉ちゃん」と呼ぶのは全然違う意味になっちゃうんですけどね。私の中では山守親分のイメージしかない金子信雄さんですが、この作品では熊虎親分と対立するもののいい役で、このシリーズって結構「え?」っていう感じの人がいい役だったりするんで、それもこのシリーズの面白いところですよね。
この作品は以前レンタルで観ているんですが、やはりスクリーンで観るのはいいですねぇ。

-2009.10.23 大阪ミナミ映画祭(ウィンズ道頓堀)-

【映画】『悪夢のエレベーター』

2009年10月21日 | MOVIE
『悪夢のエレベーター』(2009/日活)
監督:堀部圭亮。
出演:内野聖陽。佐津川愛美。モト冬樹。斎藤工。

とあるマンションのエレベーター。
ここに閉じ込めらてしまった4人。関西弁のやくざ風の男、これからジョギングに出かけるのだという冴えない中年。妻の出産に立ち会うために帰りを急ぐ若い男。やけに陰気なゴスロリの少女。ジョギングに向かう予定の中年男に他者の心が読める超能力があるとわかってから次々と4人の秘密が暴かれていくのだが・・・。

実はこの作品、私の中で全くの無視だったんですよね。なんせ監督が堀部さんだし・・・。基本私はタレント監督の作品は観ない!って決めてるんですよ。なんか個性が強すぎるってイメージがありましてね。真面目な作りの作品が少ないっていうイメージもあるし・・・。ところがなんでもこの作品は『キサラギ』風だと聞き、その手の作品は結構好きなので、こりゃ行かなければ・・・といそいそと出かけたのですが・・・。
「おぉー・・・」面白いじゃないですか。つなぎが粗かったりするんですけど、堀部さんらしい堅実な作りですごく好感が持てる。で、タレントでも真面目な人の作品は真面目なんだ(笑)。しかも・・・物語がいいですねぇ。ドンデン返し・・・はわかってたんですが、まさかそう来ますか・・・。ラストが気持ちいいか悪いかは別として、映画を終わったあとの感覚は、「面白かったじゃないかぁ」と気持ちよかったですね。ただ・・・あの管理人だけは・・・。なんであんなに気持ち悪いんだ?なんであんなに気持ち悪くしないといけないんだ?
そうそう、この作品って2008年に舞台で上演されてるのね。そう言えば『キサラギ』も元は舞台だとか・・・。舞台でかっちり作られる作品っていうのはこうして映画にしたときも手堅く行くとはずれなし・・・なのかな。

-2009.10.20 MOVIX堺-

【映画】『さまよう刃』

2009年10月15日 | MOVIE
『さまよう刃』(2009/東映)
原作:東野圭吾
監督:益子昌一。
出演:寺尾聰。竹野内豊。伊東四朗。山谷初男。酒井美紀。

もうすぐ帰るから・・・一本の電話を最後に中学生の長峰絵摩は消息を絶ち、荒川で無残な遺体となって発見される。
たった一人の家族最愛の娘を失った長峰の元に一本の電話がかかってくる。犯人は18歳の二人の少年伴崎敦也と菅野快児であると。そして伴崎の部屋にはビデオテープがあるはずだと・・・。半信半疑で伴崎の部屋を訪れた長峰がみつけたビデオには、二人によりおもちゃのように凌辱されている絵摩の姿だった。自らの手で少年たちを裁くことを決意する長峰・・・。

これはもうどう考えても長峰への感情移入しか出来ない。もう何年も前から取り沙汰されている悪法・・・少年法。これを前にして法に委ねろなんて無理としか私には言いようがない。しかもあのビデオ・・・。私には裁判員は無理だな。彼らが犯した罪に対して冷静になんて判断できない。私には死刑判決しか浮かばない・・・。そしてその彼らに対して自らが裁きを付けた長峰が被告だったら・・・。とにかく情状酌量を考えるだろう。無罪にしてやりたい気分だ・・・って単純に思ってしまうストーリー展開でした(苦笑)。
とにかく淡々と物語が進む・・・起伏がない。でも眠くならないのは、しっかりと作りこまれているからだろうとは思うのですが、なんか深みがないんですよね。くぅ・・・難しすぎるぜこの問題は・・・という核がない。
どうやら原作はもっと深いようで・・・。原作読もうっと。

-2009.10.14 MOVIX堺-

【映画】『私の中のあなた』

2009年10月15日 | MOVIE
『私の中のあなた』My Sister's Keeper(2009/米)
監督:ニック・カサヴェテス。
出演:キャメロン・ディアス。アビゲイル・ブレスリン。ソフィア・バジリーバ。

アナ・フィッツジェラルド11歳。彼女の姉ケイトは幼いころから白血病と戦っていた。そしてアナ自身も姉ケイトを救うためにドナーとして遺伝子操作でこの世に生を受けたのだった。その彼女がある日突然、姉ケイトのために手術を受けるのは嫌だ。自分の体は自分で守る。と弁護士を雇い、両親に対し訴訟を起こした。その訴えに両親は衝撃を受ける。ケイトの病気を発病してからずっとケイトの治療と延命にすべてを捧げていたと言っても過言ではない母サラの衝撃には計り知れないものがあった。

いくら親子兄弟でもドナーとなれるかどうかというのは、かなり確率の低いものらしいというのは知っていましたが、そのために遺伝子操作でドナーと成り得る子供を作るということが実際にあるということにまず衝撃を受けました。「神をも恐れぬ行為」どうなんでしょうか?そのことの是非をこの作品は問うているわけではないのですが、私は最初この作品の予告を見たとき、そこがメインの話なのかな?と思ってたんですよね。姉ケイトのために必要な存在としてその家にいるアナ・・・その思い・・・なのかな・・・と。

この先ネタバレありです。




しかし劇中描かれるケイトの闘病生活を目にしたとき、ケイトのためだけに私はいるんだ。なんて思いをアナが持つはずがない・・・そう感じました。アナはアナとしてケイトと共にその家にいました。まだまだ子供だと言い切られてしまう11歳にしてアナは献身的にケイトの看護をしていた・・・そしてケイトはアナにあるお願いをする。そのお願いは確かに悲しいお願いなのかもしれない。でもそれは本来そうでなければならないものなのかもしれません。どんなことをしてもケイトを助けたいと必死になる母サラを否定することは出来ないかもしれないけれど、いつしかサラの心には、ケイトを長生きさせてあげたいという思いよりも自らのケイトの喪失の恐怖への思いの方が強くなっていたのかもしれませんね。ケイトに抱かれ泣きじゃくるサラ・・・。人は生きてきた年数ではなく、残りの年数で大人になるのかもしれません。
お涙頂戴の悲しい物語では決してありません。でも涙の止まらない物語です。

-2009.10.14 MOVIX堺-

【映画】『クヒオ大佐』

2009年10月15日 | MOVIE
『クヒオ大佐』
監督:吉田大八。
原作:吉田和正。
出演:堺雅人。松雪泰子。満島ひかり。中村優子。新井浩文。

アメリカ空軍の制服に身を包み、ハワイ生まれでイギリスのエリザベス女王ともカメハメハ大王とも血縁関係にあたるジョナサン・エリザベス・クヒオ大佐と自らを名乗り、結婚話を餌に次々と女性を騙す男。そんな男の目下のターゲットは弁当屋を営む永野しのぶ。彼女は完全にクヒオに騙されていた。それでもまだ新たなターゲットを探すクヒオは博物館学芸員の春に目を付けていたが・・・。

冒頭、いきなり『仁義なき戦い』風だったから、一瞬本当に『クヒオ大佐』が始まるのか?と不安になっちゃったよ。どういう意図なんだよアレは・・・。でも思わず笑いそうになっちゃったじゃないか。
しかし本編は笑えるような笑えないような・・・微妙。面白くない訳じゃないんですが、笑わせている所って大真面目に結婚詐欺しているクヒオとそれに騙されている女性じゃなくって、クヒオの詐欺に気付いた男性とのやりとりなんですよね。だから物語の視点が一体どこなのか?ちょっといい加減かな。クヒオの生い立ちもわずかに匂わせているものの、だから何?って感じだし。もっと大笑いさせていただけるのかと思っていただけに、ちょいと肩透かし・・・って感じですね。それでもクヒオを演じる堺さんの怪演、珍演は十分に楽しませていただきましたが。
しかし、これって実話で1億円ほど荒稼ぎしてたとか・・・。こんなので騙されるんだねぇ。

-2009.10.10 MOVIX堺-