にゃんこな日々

ネコ風ライフをつらつらと・・・

【映画】『パリ3区の遺産相続人』

2015年12月17日 | MOVIE
『パリ3区の遺産相続人』MY OLD LADY(2014年/英・仏・米)
監督:イスラエル・ホロビッツ
出演;ケビン・クライン。クリスティン・スコット・トーマス。マギー・スミス。

長年疎遠だった父が亡くなり遺産相続することとなったパリの高級アパルトマンを、早く売り払い借金を清算し、人生をやり直すつもりでニューヨークからやってきたマティアス。ところが、その物件には一人の老女マティルドとその娘クロエが暮らしていた。マティルドの話によるとそのアパルトマンはフランス独特の不動産売買制度「ヴィアジェ」、月々の支払は普通に購入するよりも安いが、本当にその買い手のものになるのは、その所有者が死亡した時で、それまでは売買もできないし、月々の支払いも続けていかなくてはいけないというものだった。パリに来るために有り金を使い果たしたマティアスは、マティルドの好意?によりしばらくはこのアパルトマンで生活することになるが・・・。

手持ちのお金すらほとんどないマティアスが、マティルドに内緒で家具をこっそり古道具屋に持ち込んでお金にするところや、マティルドの主治医に彼女の健康状態を確認しに行くシーンなんかを見ているとおしゃれなコメディっぽいんですが、実はマティルドとマティアスの父は不倫関係だったという事実がわかるところから、少しシリアスになる。このあたりから確かに元々はこの作品舞台劇だったというのが納得の流れになっていきます。まんま舞台を見ているようなセリフの応酬に自分語り、物語としては少し重たいのかもしれませんが、舞台劇であるという感覚がその重さを感じさせない。そして本来だったら、マティルドあなた最低だよ・・・ってなっちゃうんですが、憎めないんですよねぇ。マギー・スミスの巧さもあるのかもしれませんが。
マティルドが子供のような無邪気さで犯していた罪。その罪が生んだクロエの孤独とマティアスの心の傷。マティルドの罪を犯していたと同じ無邪気さが二人を結びつける。あ、だから原題は「MY OLD LADY」なのか。ほっとするラストです。
そうそう、この作品で私初めて知ったんですが、ケビン・クライン歌うまいんだ!もっと聴きたいくらいでしたよ。

-2015.12.15 シネリーブル梅田-