にゃんこな日々

ネコ風ライフをつらつらと・・・

【映画】『インビクタス-負けざる者たち-』

2010年02月11日 | MOVIE
『インビクタス-負けざる者たち-』Invictus(2009年/米)
監督:クリント・イーストウッド。
出演:マット・デイモン。モーガン・フリーマン。トニー・キゴロギ。

1994年南アフリカ共和国。黒人初の大統領となったネルソン・マンデラは、長年のアパルトヘイトにより根強く残っている人種差別、経済格差をなくし、南アフリカをひとつの国として正常に機能させるべく奔走していた。そんな時マンデラは南アフリカのラグビーの代表チームであるスプリングボクスが前政権の体質を色濃く残しているチーム故に黒人たちから忌み嫌われ、1995年南アフリカ開催のワールドカップを控えているにも関わらず惨敗を繰り返していることを知る。そこでマンデラは代表チームのキャプテン、ピナールと面談し、南アフリカをひとつにする布石としてスプリングボクスのワールドカップ優勝への思いをピナールに託す。

なんてストレートで気持のいい物語なんだろう。なんでもイーストウッドの作品としてはちょっと物足りなくない?なんて話もあるそうなんですが・・・。でもこの作品はヘタにとるとベタついた甘ったるいものになる可能性はすごく含んでいると思うんですよね。それがまったくベタつかずに、さわやかに心に響くものになっているのは、やはりイーストウッドだからなんじゃないかって思います。余計なセリフ、余計な描写がない。スプリングボクスが勝ち進むことによって、白人、黒人両者の気持が軟化していく様の描き方がすごく気持ちよかった。ボディガードたちのラグビー。車のラジオでオールブラックス戦の中継を聴く白人たち。そのラジオの音をゴミ収集しているフリをして聴いている黒人の少年。最初はあっちへ行けと追い払っている白人たちですが、試合の描写と入れ替わりに映る彼ら。一緒にコーラを飲んでいるシーンでウルってきちゃいましたよ。
映画なんだから試合の結果はわかっている・・・それなのに、スプリングボクスを必死に応援してましたよ。(^-^; それだけ素晴らしい試合シーンでした。
「勝つ」のじゃなく「負けない」いい言葉ですよね。

-2010.2.8 TOHOシネマズなんば -

【映画】『ゴールデンスランバー』

2010年02月02日 | MOVIE
『ゴールデンスランバー』(2010年/)
原作:伊坂幸太郎
監督:中村義洋。
出演:堺雅人。竹内結子。吉岡秀隆。劇団ひとり。香川照之。

仙台出身の金田首相の凱旋パレードが行われる日、大学時代の友人森田から久しぶりに呼び出された青柳は彼の言うがまま彼の車に乗っていた。
そこで森田は青柳に意味不明なことを話し出す「おまえオズワルドにされるぞ」。やがて起るパレード中の首相の車の大爆破。白昼人々の前で首相が暗殺された。なぜかその直後警官に囲まれる青柳。「逃げろ!」森田の言葉に車を飛び出した青柳の長い逃亡劇が始まる。

なんでいきなり?な展開にしばらく呆然となる。え?こんなのあり?なんで青柳なの?なんなのあの女?なんで首相が爆殺?などと考えるときっとこの映画からは取り残されるだろう。そんなこたあどうでもいいのさ。首相が暗殺を企ててる奴らにとって手ごろな有名人で年齢的にもちょうどいいんじゃないかい?って感じの青柳がターゲットにされ、暗殺の意図やらバックやらがわからないように・・・それこそオズワルドにされちゃって、彼のようにわかんないまま殺されるところをとにかく生き延びてやるぞ!の必死の逃亡劇だけがわかってりゃいいじゃない。ってな作品ですな。でも面白い。ご都合主義だけど面白い。いや、だからこそ面白いのかもしれない。なんなんだよあんた?な人たちがいっぱい(笑)。それはそれで楽しい。

-2010.2.1 アポロシネマ-

【映画】『おとうと』

2010年02月02日 | MOVIE
『おとうと』(2010年/松竹)
監督・脚本:山田洋次。
出演:吉永小百合。笑福亭鶴瓶。蒼井優。加瀬亮。小林稔持。加藤治子。

東京郊外で小さな薬局を営む吟子には、身内から厄介者扱いされている鉄郎という弟がいた。夫の十三回忌の法要の席を泥酔し無茶苦茶にして以来音信普通となっていたが、一人娘小春の結婚式に突然に姿を現す。一滴の酒も飲まないようにと言い渡し席につけるが、またしても酒を口にし披露宴を台無しにしてしまう。激怒する身内の中ただ一人鉄郎をかばう吟子だったが、定職にも就かずドサ回りの役者稼業で、酒と博打好きな鉄郎はとうとう吟子すら怒らせてしまい吟子は鉄郎に絶縁を言い渡してしまうが・・・。

今はどうか知らないけれど、昔なら必ず親族に一人はいるんだよね、こんな奴という時代錯誤な大暴れな結婚式のシーン(笑)。酒飲んで大暴れ・・・は許そう。しかしあのシーンいくらなんでも長すぎですよ。観客は年配の方が多かったので、結構みなさん楽しんでらっしゃったようですが、現代の映画としてあのシーンはどうなんでしょうかねぇ。あれ劇場じゃなく家で観ていたら私は迷わず早送りしてましたね。しつこすぎます。ま、そのあとは淡々と着実に物語が織り込まれていてそれなりに楽しく観ることが出来ましたが、観終わって大きな問題が・・・。
なぜ吟子はあそこまで鉄郎を庇いかまうのか?がわからなかった(爆)。
いや、途中娘小春になんであんなおじさんを・・・と言われ、亡き夫が「上の二人は鉄郎君を土台にして成長したんじゃないのか?いつも下に追いやられた彼に花を持たせたいから娘の名付け親を頼んだんだ・・・」みたいなセリフで鉄郎への思いはある程度わからなくもないんですが、でもそれだけであそこまでするかなぁ?それならいっそのことベタかもしれないけど、たった二人の姉弟で、ずっと弟のしりぬぐいをしながら吟子は生きてきたってことにした方がわかりやすいような気がする。そのしりぬぐいを細かく織り込んだ方がもっと濃くなったような気がするんですけどね。そもそも小春の離婚に、二度目の結婚なんているのかなあ?たぶんこういうどうしようもない奴なんだけど気がよくって憎めなくって・・・というキャラになるとどうしても『寅さん』や『なつかしい風来坊』にかぶっちゃって物語の流れもそうなっちゃう可能性含んでるから、どっか無理やりに・・・っていう感がなきにしもあらずって気がしましたね。悪い作品ではないと思う。どこか昭和な香りなホームドラマ。美しい吉永小百合。おもろうてやがて悲しき・・・単純に観る年配の方々にはいい映画なんじゃないですかね。
私は市川崑監督の『おとうと』は未見なんで、この作品それの焼き直しなのかと思ってたんですよ。(^-^; 違うんですね。オマージュってのですか・・・。あのリボンでお互いの手を結ぶのは全くそのまんま使ってるようで、案外市川版の『おとうと』観てからの方がもう少し楽しく観られたかも・・・って気がします。

-2010.2.1 アポロシネマ -