にゃんこな日々

ネコ風ライフをつらつらと・・・

【映画】『マリと子犬の物語』

2007年12月30日 | MOVIE
『マリと子犬の物語』(2007年/東宝)
監督:猪股隆一。
出演:船越英一郎。松本明子。広田亮平。佐々木麻緒。宇津井健。

山古志村に住む石川家の兄妹亮太と彩は、母を数年前に病気で亡くし父と祖父と4人で暮らしていた。ある日散歩に出かけた兄妹は1匹の子犬と出会う。マリと名付けられた子犬は石川家の家族としてすくすく育ち、3匹の子の母となる。4匹の犬たちと仲良く暮らす石川家だったが、2004年10月23日マグニチュード6.8の大地震が山古志村を襲った。倒壊した建物の下敷きになった祖父と彩を助けたのはマリだった。しかし救助隊は人間を助けるだけで手一杯でマリたちを救助することは出来なかった。残されたマリたちを想いなんとか助けようとする石川家の人たちと取り残されながらも健気に生き抜こうとするマリと子犬たち。

動物と子供にはどうあがいても勝てません。しかもフィクションだけど、マリと子犬たちの話は実話だそうで、余計に勝てません。もうただただ感動。予告編見ただけでウルウルきてた私はマリが出てきただけで泣きそうでした(笑)。
この作品ってどうなんだろう?あまり評判聞かないけど・・・。私はこれ無茶苦茶いいって思ったんですけどねぇ。見せどころがうまいんですよ。リアル仕立てじゃないドラマですよっていう作りが随所にみられるんですが、それがいい。コミカルなところはいかにもなコメディの動きをして、泣かせどころは「ハイ!ここ!」と言わんばかりに見事に泣かされます。くるぞくるぞ・・・というあざとさがない。マリと冷蔵庫のシーンには拍手しそうになりましたよ。普通ああいう場面の挿入はしないと思うな。娯楽作品として見る側を全然しんどくさせない作りなような気がします。
しかし・・・マリもすごいけど、何なのこの彩役の子。すごすぎる。何者!?うますぎるよお嬢ちゃん。お兄ちゃん役の子も上手いんだけどね。上手い子役二人にかわいすぎるマリ。私は『ALWAYS 続・三丁目の夕日』よりも断然こっちの方がいい!

-2007.12.30 アポロシネマ -

【映画】『魍魎の匣』

2007年12月28日 | MOVIE
『魍魎の匣』(2007年/)
監督:原田眞人。
出演:堤真一。阿部寛。椎名桔平。宮迫博之。田中麗奈。黒木瞳。

昭和27年。連続バラバラ事件が起こり世間を賑わせていた。探偵の榎木津礼二郎は柚木陽子(元女優美波絹子)からいなくなった娘を探して欲しいとの依頼を受けていた。そして作家である関口巽と京極堂の妹であり記者である中禅寺敦子は、不幸を匣に封じ込めると評判ながら、莫大な寄進を集める謎の教団の陰謀を暴こうと調査をしていた。そんな中榎木津が探す陽子の娘加菜子が列車に轢かれ美馬坂幸四郎が所長をする巨大なはこ型の研究所へと運ばれることに。そしてそれぞれの事件がつながっていく・・・。

うむ・・・。
これ原作読んでない人わかりにくかったんじゃないかなぁ。なんせイケイケドンドンで進んでいきますもんね(笑)。見事ですよ。まぁ確かにあの原作を2時間そこいらの映画にまとめようってのが無理ありありなわけで・・・。原作好きな私は、もうなんじゃこりゃ?な世界だったんですが、「ほぼ日」でこの映画について語る京極さんの話を読んで大きく納得。なるほどね。抜粋しますと「財産略取に絡んだ、密室からの人間消失による不可能誘拐事件と、梗概は書かれる。」ところが「映画では、そこが、ぜんぶ「ない」。」「ミステリーとしていちばんの核になる部分だけ抜き取っちゃった。」
原作者ご本人があっけらかんとこうおっしゃってるんだから原作と比べると・・・なんてたかがファンが言っちゃあいかんだろ。ってな気になる(笑)。ま、原作者が楽しんだんだから原作ファンも楽しんでいいんじゃないかってな気になってるわたくし。しかし物語は別としてキャラはやはり原作を踏襲して欲しかったなぁ。っていうか京極堂のキャラ榎木津とかぶっちゃってるから榎木津がはじけきれてないんですよ。抑えろよ京極堂!(笑)。次回作ってあり得るのかしら。でも順当にいけば次は『狂骨の夢』なんだけど、映画として原作とは別物で映像化するなら『鉄鼠の檻』の方が面白いかも。見たて殺人だしね。でも1作目、2作目と評判はイマイチになっちゃってるから次はないかなぁ・・・。

-2007.12.24 MOVIX堺 -

【観劇】『吉例顔見世興行』

2007年12月17日 | STAGE
『吉例顔見興行』昼の部
第一 将軍江戸を去る 一幕三場
幕末、西郷と勝により江戸城無血開城の約定が交わされ江戸は戦火を免れたが、上野寛永寺で恭順の姿勢を取る徳川慶喜だが、血気に逸るものたちに動かされ一度は決めた水戸への退隠を延期しようとしていた。そんな慶喜を諌める伊勢守の言葉にも耳を貸さず、慶喜との目通りを願いやってきた山岡鉄太郎とも会おうとはしない慶喜に、山岡は怒りを挑発する言葉を聞えるように発し目通りを許されると斬られることも覚悟の上で、慶喜を諌め水戸への蟄居を促す。

なんでもこの作品は昭和になってから創作され、初演されたものだそうで、そのせいか私の抱いていた歌舞伎とイメージが薄く普通のお芝居のように楽しめました。しかもこの物語いいですわ。登場人物が全部男というなんとも男くさい・・・もちろん物語も男くさい物語です(笑)。二幕目の山岡が慶喜を諌める場面は無茶苦茶渋い。これぞ男泣き。キュンときます。

第二 勧進帳
これぞ歌舞伎ってやつですね(笑)。物語は有名なんであらすじは割愛。この話弁慶が主役なのはわかってましたが、まさかここまで義経の出番が少ないとは(笑)。なんかただ弁慶に殴られるだけみたい。しかも弁慶酒飲んで踊っちゃうんですねぇ。知らなかった。ラスト飛び六方で花道を行く弁慶かっこいい。三階で見える花道短いのが残念でしたが、それでも生で観る六方かっこいい!これは何回見ても楽しめるだろうなぁ。機会があればまた生で観てみたい。

第三 義経千本桜 一幕 すし屋
源氏に敗れ追われる身となった平維盛がすし屋弥佐衛門に匿われ弥助と身分を偽りすし屋で奉公していた。ところがそれが頼朝の家臣梶原景時に知られ間もなくこの店へやってくるという。なんとか維盛を逃がそうと考える弥佐衛門だが、悪行三昧で弥佐衛門から感動された息子権太が事の次第を知り、訴人をするために維盛を追う。やがて梶原景時の一行が維盛の首を差し出せと弥佐衛門の元にやってくるが・・・。

この物語いい!維盛を隠居所へ逃がす中盤から終盤にかけての展開はもう最高に面白い。段の名前が「すし屋」ってなんとも間が抜けた名前なんだけど、面白い!もうちょっとネーミングどうにかなんなかったのかって思うくらいです(笑)。畳みかける面白さ。そしてラストは泣けます。マジでウルウルきちゃいました。『義経千本桜』って文楽でもあるんですが、これと同じ「すし屋」の段もあるんだろうか?あるんだったら観てみたいな。

第四 二人椀久
大阪の豪商椀屋久兵衛が遊女松山太夫に入れあげて家運を傾け、家族に座敷牢に閉じ込められ、その後気がふれて町をさまよい水死したと言う実話を元に浄瑠璃、芝居などにされたものの、舞踏版。気がふれて町をさまよう久兵衛が夢の中で愛しい松山太夫と出会い昔を偲んで恋模様を演じる。
というお話なんだそうですが、舞踏ということで、話がわかるようなわからないような・・・(^^; しっとりとした出だしに、さすが歌舞伎の役者さんってこういうのまでやらなきゃいけないんだよなぁ、手の動きとか裾さばきとかきれいだなぁ・・・と思ってみつつ、途中ちょっぴり睡魔が・・・。中盤華やかな頃を思い出しているらしい踊りの所で持ち直しました。どうやらしっとり系の日本舞踊は私には鑑賞無理と判断出来ました(笑)。
歌舞伎初体験な一日。堪能致しました。
次回は大阪松竹座。今回は四人でワイワイとこんなにラフに観ていいの?な鑑賞だったのですが、今度は一人。しかも1階席と座席は豪華になってます。さてどうなることやら・・・(笑)。

-2007.12.16 京都南座 -

【観劇】『夢のひと』

2007年12月17日 | STAGE
『夢のひと』
作:わかぎゑふ。
演出:マキノノゾミ。
出演:升毅。渡辺いっけい。神田沙也加。安倍麻美。

舞台は昭和10年の大阪にある女郎屋「梅川」。ここに下宿する風変わりな三越の社員久我山。まさか久賀山が女郎屋に下宿しているとは知らずに大阪赴任のため下宿を紹介してもらうためにやってきた彼の友人で軍人の牧岡。そして広島から売られてきた少女千代と「梅川」の女郎を母親にここで生まれここで育ち、そして自分も女郎として生きる明美。戦争に翻弄される時代の中の二組の男女の物語。

この作品は1年前に初演された作品だそうで、「すごくいいよ。」とお勧めいただいての観劇。すごく泣けるからハンカチは必携と言われていたので、怒涛のごとく押し寄せる悲劇のお話だとばかり思ってました。(^^; ところが・・・やっぱりこの作品も松竹新喜劇テイスト。おもろうてやがて悲しくって、でも希望があって・・・。やっぱりいいですわ。升毅さんって硬軟なんでも出来る人なんですねぇ。この作品ではすごくいい役でかっこよかった。渡辺いっけいさんは・・・「顔でかい」ってのが今回の印象でして(笑)。まぁ、この方も上手いのは当たり前な俳優さんですもんね。しかも役柄は「あぁ、いっけいさんだ」とこれまたぴったりの役柄で(笑)。なんかねぇ、この人ってドラマで犯人の役とかもやってるんですけど、優しくっていい人で真面目。っていうイメージが私の中では固定されてるんですよねぇ。キャストの名前見て一番危ぶんでいた神田沙也加さんが無茶苦茶よかったのがびっくりでした。(^^; 『ドラゴン・ヘッド』で目眩を覚えたのが嘘のようです(笑)。まぁ、あれから5年近く経ってるんだから成長してなくってどうする?って感じですが、でもすごい。いいんだ。顔がはっきりと見える前の方の席で、くっきりしっかりぱっちりの目にやられちゃいましたよ。いい目してますよぉ彼女。これからが楽しみの女優さんです。来年は東京、北海道と公演があるようですので、近場の方はぜひぜひ。あ・・・でもこれどうだろ?関西風味って気がするんだけど。関西風味がお嫌いでなければどうぞ(笑)。
夢のひと

-2007.12.14 吹田メイシアター -

【映画】『やじきた道中 てれすこ』

2007年12月07日 | MOVIE
『やじきた道中 てれすこ』(2007年/松竹 )
監督:平山秀幸。
出演:中村勘三郎。柄本明。小泉今日子。

時は太平、大阪では「てれすこ」と呼ばれる不思議な生物が捕獲され大きな話題となっていた。その頃江戸では、品川の遊郭の花魁お喜乃に頼まれ新粉細工職人の弥次さんがせっせと偽物の切り指を作っては遊廓に通っていた。「あなたのために・・・」と客をだましては必死に金を集めるお喜乃。ところがそんなお喜乃が、沼津の病気の父親に会うために、一緒に逃げてくれと弥次さんに縋ってきた。満更でもない弥次さんに、舞台で大失態をやらかした喜多さんが自分も一緒に連れて行ってくれと頼み、二人してお喜乃の足抜けを手伝うことになる。無事遊廓を抜け出した三人の沼津を目指す珍道中が始まる。

タイトルにある「てれすこ」はあってもなかってもどっちでもいいや。って感じなんですが、とにかく全編落語をモチーフにした、人情喜劇。私はこういうの大好き。喜多さんが舞台で犯した大失態は、完全に私のツボ。思いっきり吹き出しそうになるのをこらえてました。平日だからか、この作品だからか・・・はわかりませんが、全般的に観客の年齢層はかなり高め。そのせいか笑いの場所が違うんですよねぇ。この作品はもっと大爆笑がおこってもいいくらいなのに・・・。寛平さん出てきて笑って、藤山直美さんの登場で笑って・・・出てきただけでおかしいってのはわからなくもないけど・・・ねぇ。
中村勘三郎さんのノリノリ演技もいいし、柄本明さんの飄々とした演技もいい。そこにキョンキョンがこれまたいい味出してるんですよ。寅さんが無くなった今、正月の定番作品にしてほしいくらいに楽しい作品でした。
あ・・・それとこの作品ネコ好き必見です。
まず遊廓の女将役の波野久里子さんが猫を抱いて登場するのですが、どうもこの子抱かれてるのが嫌なようで、セリフを言いながらこのネコを放すと、廊下を走っていくのが早い早い(笑)。このにゃんこの姿に私吹き出しちゃいましたよ。で、そんな風に嫌がってたにゃんこさんですが、今度はしっかり演技をしてくれます。喜多さんの首つりシーンにご登場。おいしいとこ持ってってくれますよぉ。

-2007.11.26 アポロシネマ-

『新・京極噺』

2007年12月01日 | STAGE
『新・京極噺』

講壇:神田京子
『古怪談 耳袋より』収録作品『寸分違わぬ 河童のこと』より

講壇って昔演芸番組でちらっと見ただけで、一体どういうものなのかはっきりとはわかってないんですが、いわゆる語りですよね。面白可笑しく物語を語るんですよねぇ・・・。この方の芸がいいんだか、悪いんだかわかんないんですが、なんか面白くない。しかも笑わすってのをメインに持ってきてるのはいいんだけど、講壇って語りで笑わせて落とさないといけないんじゃないんですかねぇ。それなのに小細工で落とそうとして、しかも致命的なミスをやらかしちゃったんですよ。この方。(^^;
まず物語に登場の河童の話をしている一組。で、その中の一人が河童を目撃してその絵を書いた。その絵がこれだ!と見せるところで、なんとこの方マジでその絵を楽屋に忘れてきたと言う。でも、その絵がなくても何ら差支えないんだろうと思って見てたら、最初に登場の一組と違う登場人物の話の中で、前にある封筒を客席の一人に開けてもらうという流れになりその封筒の中には一枚の河童の絵。最初の絵と全く同じ絵だ!という落ちだったようなんですよねぇ。もうびっくりです。(^^;
ま、最初の絵がちゃんとあったとしても、話が見えてこないから面白くはなかったでしょうけどね。

落語:春風亭昇太
『どすこい』収録作品『四十七人の力士』より

『どすこい』読んでるからわかるっていうことより、この方は上手いし面白かった。『どすこい』の絡め方がまた上手いんだ。今話題の朝青龍の話から流れて、相撲取りを目指す小学生の話に流れ、そしてなんとも強引な形で『四十七人の力士』へ(笑)。ただ小学生が図書の時間に京極作品読むってパターンはどうよ!?いいのかそれで!?とは思うものの『どすこい』自体がそれでいいのか!?って言うような内容なんでよしとするしかないだろう。オチは原作通りなんで『四十七人の力士』のオチだけなんで、面白いわけがない(笑)。それでもこの人の落語は楽しかった。ぜひとも普通のをじっくりと聞きたいですね。

狂言:大蔵流茂山千五郎家
京極夏彦書下ろし・新作狂言『豆腐小僧』

小学校の頃に学校で生の狂言を観たことがあるんですが、そんな記憶は遠い昔(笑)。なんか面白い感じだったなという記憶しかない。だから今回は初めて見るような感覚での鑑賞だったんですが、いやぁ、面白い。わかりやすいしオチちゃんとあるし(笑)。それと狂言って物語で笑わせるのと、言葉遊び的な笑いもあるんですね。時間的にも30分ほどと見やすい長さでよかった。もう一本くらい見たいなと思えるくらいがいいのかもしれませんね。

私は京極ファンですが、なんせ俄かなもので、なんでこういう『京極噺』なんてのが生まれたのか全然わかんない。わかんないんだけど、とりあえず「講壇」「落語」「狂言」の三つを一度に観られたからいっか・・・っていうのが全体通しての感想であります(笑)。次こういうのあったら行くか?って言うと微妙(笑)。

-2007.11.29 堺市立栂文化会館-