にゃんこな日々

ネコ風ライフをつらつらと・・・

『アリス・クリードの失踪』

2011年06月30日 | MOVIE
『アリス・クリードの失踪』THE DISAPPEARANCE OF ALICE CREED(2009年/英)
監督:J・ブレイクソン。
出演:ジェマ・アータートン。エディ・マーサン。マーティン・コムストン。

白昼堂々、誘拐されてしまう富豪の娘アリス・クリード。誘拐犯は二人の男。主犯格の中年男ヴィックと気弱そうな若い男ダニー。綿密に計算された誘拐計画。寸分の狂いもなく運んでいた計画だったが、そこには最初から小さな綻びがあった・・・。

一人の女性が二人の男に誘拐された。あらすじはただそれだけしか書けない。もちろん感想もヘタなこと書いてしまうとネタばれにしかならない。という非常につらい作品です(笑)。まあ、どんでん返し的な流れが待ってるのだろうとは思ってみていたのですが、まず一発目にえ~!?って声あげそうになりましたよ。そうですか、そう来ますか。でもってこの事実が後々すごい効いてくるんですよねぇ。お見事でございます。
登場人物は三人のみ。舞台もほとんどアリスが拉致されているアパートの一室。舞台劇のようなシンプルさが面白い。こういうのは大好きだ。

で・・・ネタばれ。












見終わって私は気付いた。タイトルがそのまんまネタばれしてるじゃないか!?(笑)。素晴らしい。

-2011.6.22 シネ・リーブル梅田-

『光のほうへ』

2011年06月26日 | MOVIE
『光のほうへ』SABMARINO(2010年/デンマーク)
監督:トマス・ヴィンダーベア。
出演:ヤコブ・セーダーグレン。ペーター・プラウボー・パトリシア・シューマン。

アルコール依存症の母と暮らす二人の兄弟。育児放棄した母に代わり不器用な手つきで幼い弟の面倒を見ていたが、遊びに夢中になっている間に弟を亡くしてしまう。
大人になった兄ニックは、恋人との別れが原因で起こした事件で刑務所に入り、最近出所し今は臨時宿泊施設でアルコールとジム通いの日々を過ごしていた。弟は妻を交通事故で亡くし一人息子マーティンと暮らしていたが、薬物中毒から抜けられずに生活保護に頼っていた。ある日母の死がきっかけで再会する二人。そこで兄ニックは母が残していた遺産のすべてを弟に譲るが・・・。

私はあまり後ろ向きな生き方を描いた作品は好きじゃないし、そんな登場人物にイライラするんですが、この作品の登場人物は後ろ向きと言うよりは人生を投げてしまった哀しみに溢れている。悲しいくらいに優しくて、優しすぎて不器用だ。弟に母の遺産のすべてを譲ったのは、彼の息子マーティンのことを思ってのことだろう。でもその優しさが仇となる。もう弟!なにやってんだよ!って呆れかえったんだけど、彼もまたとことん不器用な人間で、どうしようもなく弱くて脆い人間なんですよね。
デンマークって幸福度世界一で世界最高水準の社会福祉国家らしい・・・。だからこその作品って気がします。原題の「SABMARINO」って水の中に頭をつけて溺れさせる拷問のことを言うそうなんですが、まさしくソレですよね。水の中に頭つっこまれたら苦しいけど、手を離してもらえればまた息が出来る。必死に泳いだりしなくても死にはしないんですよ。泳ぐことを放棄しても生きていける・・・いいのかな?悪いのかな?弟は泳ごうとして泳ぎ方を間違えた。兄ニックはイヴァンを庇ったことで、もう頭を水につっこまれることはないだろう・・・そう思ったのかもしれない。弟のことを知り、少し泳いでみることにした兄ニックに、暖かい手が添えられる。
リアルな原題の意味を知ってこの作品の下敷きを考えることが出来たんですが、映画のタイトルとしては邦題の「光のほうへ」の方が好きですね。

-2011.6.21 梅田ガーデンシネマ-

『木漏れ日の家で』

2011年06月24日 | MOVIE
『木漏れ日の家で』Pora umierac(2007年/ポーランド)
監督、脚本:ドロタ・ケンジェジャフスカ。
出演:ダヌタ・シャフラルスカ。クシシュトフ・グロビシュ。

ポーランド ワルシャワ郊外の森に囲まれた古い家に愛犬フィラデルフィアと暮らす91歳の老女アニェラ。
この家で育ち、この家で恋し、結婚し、一人息子を育てたアニェラ。
彼女の日常は朝目覚め、時計のねじを巻き、口紅をさし、紅茶とトーストの朝食をとる。そしてテラスから双眼鏡で隣家の様子を眺める。
話し相手は愛犬フィラ。ゆったりと流れる日常に少しづつさす陰り。物忘れをすることが増え、めまいを起こす時もある。不安を覚えた彼女は息子へ同居を求めるが嫁が納得しないと断られる。そんなある日隣人がしつこく家を売ってくれと持ちかけてくる。断るアニェラだったが、ある夜息子が勝手に家を売ろうとしていることを知る。

全編モノクロームの映像で綴られた物語。モノクロームなのに暖かいのか、モノクロームだから暖かいのか・・・。映像がとても心地良い。美しく撮りましょうというお手本のような映像です。今と昔が重なる映像が素敵です。
なんでも原題は「死んだ方がまし」というそうで、なんとも愛想のないタイトルですよねぇ。最近の邦題はどうよ?という話がもう何年も前からありますが、この作品の邦題は素晴らしい。邦題の方がこの作品にあってるんじゃないかって気がします。
実年齢も91歳、現在は95歳の現役女優ダヌタ・シャフラルスカの演技ももちろん素晴らしいですが、相手役のフィラデルフィアが最高に素晴らしいです。表情までしっかり演技するワンコなんてそうそういないですよ!彼の演技がしっかりしているからこそアニェラの一人語りが生きているというのも過言ではないはずです。ぜひとも助演賞をあげたいと思っていたら、なんとグディニャ・ポーランド映画祭で特別賞をもらってるんですね。
ラストの彼女の元へ紅茶が運ばれるシーンに私は胸がキュンとなり、そしてとても暖かいものに包まれたような気分になった。

-2011.6.21 シネリーブル梅田-

『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』

2011年06月23日 | MOVIE
『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』X-Men: First Class(2011年/米)
監督:マシュー・ヴォーン
出演:ジェームズ・マカヴォイ。マイケル・ファスベンダー。ケヴィン・ベーコン。

国際情勢が緊迫するなか、CIAエージェントのモイラは、対ソ連強硬派のヘンドリー大佐を調査中にヘルファイア・クラブでミュータントを目撃したことで、オックスフォード大学の遺伝子学の新任教授チャールズ・エグゼビアに協力を求める。テレパシー能力を持つチャールズの協力でヘルファイア・クラブのリーダーであるショウの狙いは第三次世界大戦を起こし、世界を自らの手中に収めることだとわかる。そしてショウを追うチャールズたちの前にかつてユダヤ収容所でショウに母親を殺された金属を自在に操るエリック・レーンシャーが現れる。共通の敵ショウを倒すために協力することになるチャールズとエリックは、ミュータント集団であるショウたちを倒すために自分たちもまたミュータントを結集する。

私はこの作品のシリーズを一本も見ていなかった。もちろん原作も読んでいない。だからこの作品を見にいこうなんて気は全くなかったんですが、あまりにもまわりが楽しそうにこの映画のことを語ってるものだから、シリーズ未見でも大丈夫かと尋ねたところシリーズの前章だから大丈夫とのことで映画館へと出かけた。
うん。確かに面白い!このシリーズ未見でも全く違和感なく、わかりやすく単品でも十分に楽しめる作品となっていた。しかもミュータント同志の戦いという完全SFなのに、近未来とかではなく60年代、しかもキューバ危機!?驚きの設定です。その設定が無理ない!・・・わけないんですが、もういいじゃないそんなことは!というノリでドドーン!といっちゃいます。若者にはそそられない私が、かっこいいじゃないのエリック!となったマイケル・ファスベンダー。なぜ?と思ったらやたらと指摘されている老け顔。なるほど。で、これ見たらやはり1作目、2作目見たくなりますよねぇ。ってことで劇場から帰って速攻レンタルに走り、1作目、2作目視聴。いやん・・・面白いじゃないですか。でもマイケル・ファスベンダーがイアン・マッケラン?一瞬めまいが・・・。チャールズもテレパシー使い過ぎた設定なのね・・・などと考えちゃいましたよ。(^-^;
1、2、ファイナルと見たから、もう一度この作品見たいな・・・なんて思ってるんですがね。だってウルヴァリンのカメオとか、前作未見だから楽しめなかったとこ結構ありそうなんですもんねぇ。

-2010.6.12 MOVIX堺-

『メアリー&マックス』

2011年06月15日 | MOVIE
『メアリー&マックス』MARY & MAX(2008年/オーストラリア)
監督・脚本:アダム・エリオット。
声の出演:トニ・コレット。フィリップ・シーモア・ホフマン。

額にある痣にコンプレックスを持ち、引っ込み思案で学校でも一人ぼっちの少女メアリー。彼女はシェリー酒好きで万引き癖がある母親と死んだ鳥の剥製作りが趣味の父親とオーストラリアで暮らしていた。「友達が欲しい」その思いで彼女がひらめいたのはアメリカに住む誰かさんに手紙を送ること。早速電話帳で選んだのは少し変わった名前のマックス・ホロウィッツさん。ある日アメリカに住む社会になじめず人付き合いも苦手とする肥満体の中年男マックスの元に予想もしなかった少女からの手紙が届く。そして孤独な二人の20年に渡る文通が始まる。

予告を見て妙に気になって、ネット上での評判も無茶苦茶いい。これはさっさと観に行かなければと映画館に急ぐ。
年齢も性別も住んでいる環境も全く違う二人が互いに抱えた孤独というものだけを共通にして繋がっていく。子供らしい質問、生活の話をマックスに伝えるメアリー。そのメアリーの言葉に時にはパニックを起こしながらも真摯に考えきっちり応えようとするマックス。二人の関係がすごくいい。しかしメアリーの行動がマックスとの決裂を生む。マックスのためにと思った行動だったが、それはコンプレックスを克服して有頂天になったメアリーの独りよがりでしかなかった。とんでもない間違いを犯してしまったと悲嘆に暮れるメアリー。彼女の描写に胸が痛くなる。メアリーと決別して、心に隙間を感じながらも日々変わることなく生活するマックスはある日気付く。そしてメアリーを許すという手紙を大事にしていたフィギュアと一緒に送る。「欠点は選べないけど友達は選べる。」マックスは自分の間違いにも気づき再度メアリーと友達として選ぶ。マックスの手紙にも泣けるのですが、ここでこの荷物に気付かなかったメアリーに届けるのが広場恐怖症で外に出られないお向かいさんというのに胸が熱くなった。誰もみな完全ではない。不完全だからこそ補いあい、慈しみあうのかもしれない。そして決して一人ではない。ラストの天井一面に張りめぐらされた手紙。スクリーンがにじんで見えて仕方なかったよ。

-2011.6.4 シネ・リーブル梅田-

『クロエ』

2011年06月07日 | MOVIE
『クロエ』CHLOE(2009年/加・仏・米)
監督:アトム・エゴヤン。
出演:ジュリアン・ムーア。アマンダ・セイフライド。リーアム・ニーソン。

大学教授の夫を持ち、自らも産婦人科医として成功しているキャサリンだったが、ある日夫の携帯電話の教え子からのメールを盗み見る。その日から夫の浮気を疑い始め、その思いだけでいっぱいになってしまう。そして偶然に出会った若く美しい娼婦クロエに夫を誘惑して欲しいと持ちかけるが・・・。

最近はアクションものが多くなっていたリーアム・ニーソンの大人っぽいドラマ。しかも若く美しい娼婦に誘惑される夫。なんていうおいしい役なんだから、観に行かない訳にはいかない。と珍しく公開初日に観に行ったのですが・・・。劇場入り口で前の回を見た友人と出会い、「イマイチ情報」をいただいての鑑賞。うん。確かにおっしゃる通り。リーアムさえ見られればいいやと思っていたものの、ちょっとだけ期待してたリーアムのエロも少なく(爆)、かなり残念な結果に・・・(^-^;
面白い物語で、きっちりきれいに撮られているのに、とにかく残念な作品だ。何が残念って肝心な登場人物の背景が全く描かれてないものだから、なんか行動がチグハグなんですよね。クロエの行動の理由を明らかにさせる描写・・・ありきたりかもしれないけど、子供の頃母親に虐待された描写とか、いつも一人でいた過去の描写とかを入れればクロエの行動に意味が出てきただろうし、キャサリンが夫とセックスレスになった経緯もセリフだけじゃなく、女性として年齢的な衰えに愕然とするとか怯えているとかっていうの映してたらもっと深みが出ただろうに・・・。
脚本の手抜きか・・・。役者が手を抜いてないだけにホントにもったいない作品だ。
2009年の作品なのに今公開ってことは、もしかしたら昨今のリーアム人気を当て込んだか?などと思うリーアムファンであった。

-2011.6.4 梅田ガーデンシネマ-

『プリンセストヨトミ』

2011年06月05日 | MOVIE
『プリンセストヨトミ』(2011年/日本)
監督:鈴木雅之。
出演:堤真一。綾瀬はるか。岡田将生。中井貴一。

実地検査のために大阪を訪れた会計検査院の調査官松平、鳥居、ゲーンズブールの三人は、順調に調査を行い、予定通り空堀商店街にある財団法人「OJO(大阪城跡整備機構)」を訪れる。調査は無事終了。ところが、松平が携帯を忘れOJOに戻ると、さっきまでいた職員たちが一人もいなくなっていた。翌日再びOJOを訪れた松平たちにOJOの職員長曽我部は昼食に出たのだと言い張る。納得のいかない彼らは徹底的にOJOを調べるが、結果はこれが事実なら大阪中全ての人間が嘘をついていることになるものだった。そしてあり得ない結論にますます不信を募らす松平の目の前にとんでもない事実が明らかにされる。

この作品が面白かった。最高だぜ。大好きだ。という方はこのままブラウザの戻るボタンを押してお帰り下さい。以下貶してますので・・・(^-^;










えっと・・・なんですかねぇ。コレ。ファンタジー?とは違うな。なんだ・・・えっと茶番?(笑)。はっきり言ってなんなんだよ・・・な物語です。実は私、過去の豊臣の時代と今がリンクして、クーデターというか、関ヶ原再びみたいな、すっごく壮大な物語を期待しておりました。結果・・・綿々と受け継がれている・・・だけなんですよね(笑)。だからどうした?と(笑)。いや、でもこの作品大阪人は楽しめますよ。ロケーションが自分の知ってる場所ばっかりだから、背景見ているだけで楽しいです。もうそれだけでございます。あ・・・父と子の物語もありかな・・・。プリンセスはあまり意味ないです。ま、この作品見て大阪外の人が、ロケ地探訪なんかで大阪観光していただけるとありがたいなと言う程度の作品じゃないか・・・などとまで思ってたりします。さ!あなたも大阪城へ来て綾瀬はるかがたこ焼きを落としたベンチでたこ焼きを食べよう!

-2011.6.1 MOVIX堺-

『処刑剣 14 BLADES』

2011年06月02日 | MOVIE
『処刑剣 14 BLADES』錦衣衛(2010年/中国)
監督:ダニエル・リー。
出演:ドニー・イェン。ヴィッキー・チャオ。ウーズン。ケイト・ツイ。

皇帝の意に沿わぬ者たちを悉く速やかに始末する任務を帯びた秘密警察“錦衣衛”。彼らは幼い頃から厳しく鍛え上げられ、自らの意思を持つことは許されなかった。中でも最も優秀な者には“青龍”の称号が与えられ、最強の武器“14本の剣”が授けられた。
ある日、大臣が謀反を企んでいるとの命を受けた青龍は部隊を率い大臣宅を急襲するが、それは宦官・ジアが皇帝の叔父チン親王が仕組んだクーデターのために皇帝の証し(玉璽)を奪う策略だった。罠に落ち追われる者となった青龍は、玉璽奪回のため立ち上がる。

実は私ドニー・イェンって全然認知してなかったんですよね。人気のアクション俳優なのね。先日観た『孫文の義士団』で初めて見た俳優さんだったりします。(^-^; で、以前観たときから誰かに似てるなぁ・・・って思ってたら、そうそう市川亀治郎さんに似てるんだ!とリンクしたとたん、妙な親近感が沸いてきた(笑)。ま、そんなことはどうでもいいんですが、映画の感想はと言いますと、うん。面白かったよ。って感じかな(笑)。派手だしかっこいいし、途中だれることもなく観られた。でもなんか物語の流れがありきたりなんですよね。物語に厚みがない・・・いや、登場人物に厚みがなって感じか。もっと個々の人物を掘り下げて描いていたらもっと面白かっただろうに・・・と思う。あと、アクションはいいんだけど、やはり私はやたらワイヤーやらCG使ってるのってあまり好きじゃないんだなとしみじみ思った。で、ラスボスがチン親王じゃないのも物足りなさの一つかもしれません。やはりサモ・ハンとのガチ対決観たかったな。と言いつつ、実はチン親王がサモ・ハンだと映画を観ている間は気付かなかったんですが。(^-^;

-2011.5.31(シネマート心斎橋)-