にゃんこな日々

ネコ風ライフをつらつらと・・・

【落語】福樂の底力Vol.20

2013年10月27日 | 落語会
福樂の底力Vol.20(2013.10.25 動楽亭)
-演目-
林家染八さん「道具屋」
桂福楽さん「源平盛衰記」
林家小染さん「親子酒」
対談 小染さん福樂さん
 中入
桂福楽さん「死神」

『落語心中』を読んでからずっと生で『死神』が聴きたくって仕方なかった。でもこの噺は江戸落語なんで関西でかかるのはめったにないらしいのですが、前日の24日友人が『死神』かかるよとメールをくれた。そしてありがたいことに25日は13時半で仕事が終わる。ところが・・・台風。仕事終わってから一応「今日やりますか?」との確認の電話をして、今のところはやる予定ですとのことで、一度家に帰るのも面倒なので、天王寺で献血をして時間をつぶす(笑)。そして時間が来たので動楽亭へ。
どうやら動楽亭が初めての人が何人かいらっしゃったようで、その方々は一様に「この椅子寝るで」とおっしゃってる(笑)。私の後ろに来られた方達もそんなことおっしゃってて、そして・・・微妙に酒臭い感じが・・・。失礼だとは思ったんですが、座席を移動する。だって折角の『死神』万難を排して聴きたいですからねぇ。

開口一番の染八さん。なんと20日の須磨名谷亭と同じ演目『道具屋』でマクラも同じデイリースポーツ。さすがに1週間のうちに二回同じなのだと楽しめないですね。(^-^;

『源平盛衰記』って初めて聴くんで、一体どんな噺なのか?講釈っぽいのかな?って思ってたら、なんなんですかコレ(笑)。地ばなしってやつだそうで、まぁ、「平家物語」を下敷きにした漫談って感じ?『死神』以上に関西ではかからない噺のようです。ということは貴重な体験したってことだな(笑)。

続く小染さん。たぶん初めてなんですよね。マクラはお酒の話。そしてそのマクラが長いから落語しないのかと思っちゃったよ。で、いきなり酔っ払いになって『親子酒』。屋台のうどん屋での唐辛子のシーンがいいわ。私ここ大好きなんですよね。

そして続いて対談なんですが、お題は「お酒について」。福樂さんは禁酒なさってるそうですが、小染さんは毎日飲まれてるとか。落語家さんってお酒好きの人多いようですね。福樂さん曰く以前スマップの草ナギ君が酔っぱらってという事件があったけど、あんなので報道されてたら関西の落語家は一体何人捕まってるかっておっしゃってました。

中入後はいよいよトリの『死神』。マクラで福樂さんが枝雀師匠が落語は緊張と緩和と言ってましたが、この噺は緊張ばっかりで、ラストもすっきりしなくって、しかもわかりにくい。だから終わったら「おしまい」って言いますからね。とおっしゃりネタへ。いいなぁ福樂さん。ちゃんと笑わせるとこも作ってて、最後はちゃんと「おしまい」って(笑)。自分で火を消しちゃうというオチじゃなかったので、確かに「おしまい」いりますね(笑)。
念願かなった生の『死神』満足です。

【映画】『地獄でなぜ悪い』

2013年10月17日 | MOVIE
『地獄でなぜ悪い』(2013年)
監督:園子温。
出演:國村隼。堤真一。二階堂ふみ。長谷川博己。

ヤクザの組長武藤の妻しずえが刑期を終え出所してくる日が近づいていた。そしてその日に合わせてしずえの夢である娘ミツコを主役にした映画を完成させるつもりだったが、肝心のミツコが男と逃亡。プロを使っての撮影が不可能となってしまった。しずえの出所まで時間がない。武藤は機材を集め、組員たちを使って映画を撮影すると言い出す。そんな中逃げていたミツコが組員たちにみつかり連れ戻されるが、偶々一緒にいた公次は監督ということにされてしまう。困り果てた彼がみつけたのは映画マニアグループのリーダー平田。映画が撮れる!狂喜する平田のハイテンションで映画の撮影が始まる。

園子温監督作品を観るのはこれが初めて。好きな國村さんが主演だから観たいとは思ってたんですが、園監督作品だしなぁ~・・・と最初は躊躇してたんですが、娯楽映画でコメディ映画だと聞き、じゃあ行ってみるか!といそいそと映画館へ。うわ~!なんじゃこりゃ!な面白さ。「仁義なき戦い」だし、ブルース・リーだし、「キル・ビル」だし。まさかこの作品でここまで楽しめるとは思ってもみなかった。一人真面目にヤクザ映画してる國村さんはかっこいいし、妙なテンションの堤さんもいいわ。決めるとこはさすが決めちゃってくれてかっこいいし。そして長谷川博己さん、『八重の桜』の尚之助さま、好きだったんですよねぇ、あの物静かな佇まい・・・それが、それが・・・「尚之助さまぁ~~~!!!」ガラガラガラと見事に崩壊致しました。すごい。
映画が終わったあと私の斜め前に座っていた60代くらいのカップルの男性の方が「なんやこれ・・・」とボソッとひとこと。席を立つ二人の空気の重いこと重いこと。なんちゅう作品を観に来てしまったんだ感満載(笑)。それが反対に面白くって。うひょうひょとこの作品を楽しんだ私は、顔が綻ぶのを抑えられなかった。好きだなぁこういうの。

-2013.10.11 MOVIX堺-

【映画】『そして父になる』

2013年10月13日 | MOVIE
『そして父になる』(2013年)
監督:是枝裕和。
出演:福山雅治。尾野真千子。リリー・フランキー。真木よう子。

野々宮良多と妻みどりは6歳になる一人息子慶多と、何不自由ない平穏な日々を過ごしていた。そんなある日、慶多を出産した病院から重要な話があると呼び出される。そしてそれは同じ日に出産した斎木雄大とゆかり夫婦の間の子琉晴と出産時に取り違えられていたということだった。病院側はこういう場合、やはり血のつながった親子が一緒の方がいいから子供の将来のためにも早急に子供の交換をすると野々宮、斎木両夫婦に伝える。子供を交換する方向で交流を持ち始める両家だが・・・。

実は、この作品全くスルーの方向でした。ところがスピルバーグがリメイクするというニュースを聞き、これは観なければと映画館に急いだ(笑)。
この物語は自分が今まで育ててきた子供が実の子ではなかったという事実を突きつけられるて翻弄される家族の物語ではなくって、夫として父として、そして息子として、人間としてパーフェクトに生きる方法、方向はこうだと決めてかかって自分を律してきた主人公野々宮良多の成長物語なんでしょうね。あと、みどりもか・・・。人って本当の優しさとか暖かさを確信したときに、自分自身も優しくなれるし、あったかくなれるし、成長するんじゃないかな・・・。そしてごく普通に繰り返される日常ではその人の優しさには気付かない。この物語で一番優しい人間は6歳の慶多だと思う。たった6歳で父親、母親の望ことを自分の心と体で受け止めて、きっと自分の思いっていうのはずっと後回しにしてきたんじゃないかな?あのカメラに収められた写真を見て良多が慶多の思いに気付くシーンでは、私も良多と共に泣いていた。この作品を観終わって、私はさて?この家族たちはどうなるのだろう?と考えた。元通り子供を交換することなく暮らす?でもそれもある意味きついものが今後あるような気がした。そしてネットのレビューで、その後はやはり交換するだろうという意見を読み、やはりそこだろうな。と感じた。そうすると私はこの作品の中で好きだなぁと思った、野々宮夫婦と琉晴の撃ちあいのシーンが蘇った。慶多はきっとこういうことしなかっただろう、やろうとしてもきっとみどりがお父さんは仕事してるから静かにね。なんて諭してたように思う。ところが琉晴が来て、みどりの気持ちもそういう部分がなくなったんじゃないかな?本当にやりたい気持ちで琉晴と遊んだんじゃないかな?「次はお父さんだ」という外の声を聞いて仕事をしていたのに、応戦する武器を探す良多。自分の心に素直に動いたシーンだと思う。でもこれ慶多が家に戻って、こんな遊びするかな?って考えるとしないような気がするんですよね。気付いてしまったそれぞれの思いは変えられない。前に進むしかないとすると、やはり交換するんだろうな・・・。

-2013.10.7 MOVIX堺-

【舞台】『真田十勇士』

2013年10月08日 | STAGE
『真田十勇士』
脚本:中島かずき。
演出:宮田慶子。
出演:上川隆也。柳下大。倉科カナ。葛山信吾。山口馬木也。賀来千香子。里見浩太郎。

徳川と豊臣の合戦が始まろうとしていた慶長19年。
大坂城入城前に、徳川家康からの呼び出しに応じた真田幸村は、徳川方には付かないことを宣言する。その様子を伺っていたはぐれ忍びの猿飛佐助と由利鎌之助は幸村を追い大坂へやってくる。幸村の家来になりたいという二人。そしてここに真田十勇士が揃うことになる。

で、ここであらすじ止めといてネタばれにならないように・・・としないといけないんだけど、もう公演終わってるし、ネタばれしないと感想書けないので、ネタばれありです。ま、一応改行しておこう。







真田十勇士って私、知ってるようであまり知らないんだけど、この作品では猿飛佐助が、太閤秀吉の隠し子ということで秀頼の兄という設定になってます。で、豊臣の血を根絶やしにしたい徳川にはそれがバレてないから、佐助だけでも逃がそうってことになって、それに大坂城下に入り込んでいた徳川の間者であるハナという女性が絡んで・・・って感じなんだけど、ふと『南総里見八犬伝』を思い出しちゃったよ。みんな死んで二人逃げ延びるからね。あっちは逃げる二人が主役だから結構スムーズにいくんだけど、こっちは逃げる二人主役じゃないからねぇ(笑)。ある意味話として邪魔なんですよね。
どうやらこの作品賛否両論って感じのようなんですが、どうも否の方が多いっぽいな。かくいう私も否なんですけどね。
まず舞台の流れが悪い。イメージとしてはホント商業演劇って感じ。真っ当すぎるくらい真っ当すぎて、けれんみがない。面白くないんですよね。
佐助が太閤秀吉の隠し子っていう設定は別に悪くもないし、最後二人を逃がすってのも悪くはないんですよ。でもその流れがなんだかグダグダ。変に説明しようとしているから、その設定がすごくつまんなく感じる。それにさ、自分の弟だからと最初名乗らずに秀頼を守ろうとしてた佐助がさ、秀頼から言われて、豊臣の血に家康が気付いてないからおまえは生きて逃げろって言われて「よし」ってのはどうよ?登場人物として誰一人かっこよくないんですよね。2ちゃんねるにこの本でいのうえさんの演出で観たいというのがあって、私もそれはちょっぴり思いましたね。でも十人・・・いや十一人か・・・というキャラを使うのは舞台ではかなり無理があるのかもしれません。映画だとシーン簡単に変えられるし抜けるけど舞台ではそれぞれ登場させないといけないから難しいんだろうねぇ。
ま、里見さんの殺陣を生で観られたし、粟根さんはそれなりにかっこよかったし(笑)、それなりで納得しておきましょうかね。

-2013.10.5 梅田芸術劇場-