goo blog サービス終了のお知らせ 

にゃんこな日々

ネコ風ライフをつらつらと・・・

【歌舞伎】『二月花形歌舞伎』昼の部

2012年02月15日 | STAGE
『二月花形歌舞伎』昼の部
「慶安の狼 丸橋忠弥」
丸橋忠弥:獅 童
野中小弥太:愛之助
由井正雪:染五郎

慶安四年。大名家取り潰しによって溢れる浪人を取り締まるために浪人狩を始める幕府。そんな幕府に弓を引き天下転覆を目論む由井正雪に傾倒しその謀反に組する丸橋忠弥だったが、彼の友人野中小弥太は、彼に仕官を勧め由井正雪との付き合いを断つように何とか説き伏せようとする。しかし二人の立場は相反し、謀反の事実を知った小弥太は忠弥を売ることになるが・・・。

え?なんか全然歌舞伎じゃない。花道が全く使われず、大向こうさんすらない。色気のないなんとも男っぽい物語・・・と思っていたら、なるほど、もともと新国劇なのね。それにしても獅童さんうまくなったよねぇ←偉そう(笑)。映画『日輪の遺産』で、いきなり演技力あがってないですか?な印象を受けて、無茶苦茶渋くてかっこいいじゃないかって思ったんだけど、いやホントにうまくなりましたよねぇ。友と自らの大義に揺れ動く渋い役がステキでした。ラストの殺陣もいい!でも、獅童さん槍落っことしちゃったよ。まあ長い殺陣のシーンだからね。しかしまさかの展開。小弥太が忠弥と共に謀反者とされた時点から少しづつあがる萌え度(笑)。そして忠弥が紐を取り出した時点で展開が予想されましたが、一気に萌えポイントが高くなる(笑)。獅童さんと愛之助さん顔近過ぎ!間違いなくあれは確信犯的な演出だな。ラストかっこよすぎです。


「大當り伏見の富くじ」
紙屑屋幸次郎:染五郎
鳰照太夫:翫 雀
黒住平馬:獅 童
信濃屋傳七:愛之助
雪舟斎:歌 六

紙屑屋幸次郎。元は質屋佐野屋の若旦那だったが、店が潰れ今では紙屑屋として生活していた。ある日島原の花魁道中と行き当たり鳰照太夫に一目ぼれ。その夜河原掃除に当たった幸次郎はその最中大金の入った皮財布を拾い、その金を持って鳰照太夫に会いに行くがそこで身請けの金を落としたという話を聞き自分が拾った金がその金だと確信した幸次郎は金をすべて渡し、鳰照太夫との逢瀬は一夜の夢と消える。しかしその後偶然そこで買わされた富くじが一番籤となるが・・・。

こちらの作品も歌舞伎色がうすい。それでもこちらでは大向こうさんがかかり、今日はいなかったわけではないのねとちょっと安心する(笑)。あり過ぎると困るけどなかったらないで物足りないんですよね。明治に作られた世話物喜劇「鳰の浮巣」という作品を元に新たに書かれたものいうことで歌舞伎色が薄いんですね。知り合いがこの作品には新感線テイストがあるっておっしゃってたんで、いのうえ歌舞伎のイメージで出かけたんですよね。そしたら、確かに新感線テイストかもしれないけど、そのテイストは小六魂の方でした(笑)。いや、嫌いじゃないからいいんだけどね小六魂でも。しかし歌舞伎に小六魂持ってこられるとは思わなかった。「慶安の狼 丸橋忠弥」でビシッと決めてた染五郎さんと獅童さんの打って変わってのはじけっぷり。染五郎さんは先日観た夜の部の「研辰の討たれ」の方がはじけてたっぽいですが獅童さん好きなんだねきっとこういうのって思うくらいに楽しそうだった(笑)。この二人のノリについていけない真面目な愛之助さんという図式が生まれ、それはそれで観ていて面白かった。
ラストはまさかまさかのグランドフィナーレ。マツケンサンバでも始まるのかと思っちゃったよ。こうなるとカーテンコールは当たり前。人生二度目の歌舞伎でのカーテンコールを経験させていただきました。昼公演も観に行ってよかった。歌舞伎は東京公演の方が多く、いつも悔しい思いしてたんですが、今回は、いやあこれ観られないお江戸の方残念だねぇって思うくらいに楽しい公演でした。

-2012.2.15 大阪松竹座-

【歌舞伎】『二月花形歌舞伎』夜の部

2012年02月11日 | STAGE
【歌舞伎】『二月花形歌舞伎』夜の部
『義経千本桜』すし屋
いがみの権太:愛之助
弥助(維盛):染五郎
梶原平三景時:獅 童
鮨屋弥佐衛門:歌 六

『研辰の討たれ』
守山辰次:染五郎
平井九市郎:愛之助
平井才次郎:獅 童

『義経千本桜 すし屋』
この演目大好きなんですよね。生まれて初めての歌舞伎は2007年の吉例顔見世興行の京都南座。その時の演目がこの『義経千本桜 すし屋』だったんですよ。そのときのいがみの権太は菊五郎さん。それ以来この話が好きで文楽で『義経千本桜』の通しで見ることが出来たおかげで『義経千本桜』はどの段も好きなんですが、この「すし屋」は一番引き込まれる物語ですよね。落語の『猫の忠信』でも、この段が語りたいってあるくらいですからね。
菊五郎さんの権太はもちろんよかったですが、今回の愛之助さんの権太もいい。やんちゃっぷりがいい感じで似合ってました。それにしても歌舞伎のお話って身代わり・・・って多いですよねぇ。

『研辰の討たれ』
こちらは以前シネマ歌舞伎で見たんですが、実はその時、その前に見た『鼠小僧』がおもしろすぎたせいか、なんだかイマイチだったんですよね。だから今回は、さて?という感じで見たんですが、シネマ歌舞伎版より面白い!ま、断然生の方に軍配あがっちゃうっていうのはあるかもしれませんが、シネマ歌舞伎版では奇を衒いすぎた感じがあって、あまり物語の面白さって感じなかったんですよ。でも今回は一幕、一幕流れがあって、宿屋の闇夜のシーンなんかはシネマ歌舞伎ではダンスなんて形にしてたりしたんですが、普通にドタバタの今回の方が面白かった。しかもびっくりしたのが宿屋から逃げ出すときに辰次が水桶にはまるんですが、まさか本当に水が入っているとは思わなかった。そして最後の幕「善通寺大師堂裏手の場」では、三階席だから全く見えなかったんですが、二人に見つかった辰次が花道を逃げる!そしてどうやら一階席の中を逃げ回っているようで・・・。舞台に戻った三人・・・と言っても染五郎さんは気絶させられてのびてる役だったからいいけど、あとの二人はちょっと息があがっちゃった感があって、リアルに笑えた。その後なんだかんだと二人をかわす辰次。刀を持って構えたかと思ったら「あ、襟が・・・」と刀を離して直す。その時袴の紐がほどけてたのを、どうやら客席から指摘があったらしく「え?紐?ああ・・・」と言って再び刀を離して直す。愛之助さんと獅童さんがその客席に「もう!」って感じで注意してたのが生ならではで面白かった。とにかくここでは染五郎さんノリノリの野放し状態(笑)。楽しそうだし楽しいし・・・観に行ってよかった!

そして本日一番びっくりしたのが歌舞伎なのにカーテンコールがあったこと。
舞台が終わって私の隣にいた二人の女性が、「歌舞伎はないのかな?」とか言いながら拍手を続けてた。普段普通のお芝居を観に行かれてて歌舞伎は今回初めてなのねなどと思っていたら、その二人だけじゃなくパラパラと拍手が続いている。それがなぜかだんだん大きくなって・・・それでもまさかないだろうと思っていたら、幕があいて三人が!いやあマジで驚きましたね。本当にまさかのカーテンコールですから。しかも一階席で「ブラボー」の声があがっていて、それを聞いた染五郎さんが拍手をちょっと静止して、その声を再度促して再び「ブラボー!」。歌舞伎好きの人に言わせると「ブラボー」はないだろうってことなんでしょうが、今回に限ってはありじゃないかなって思います。本当に『研辰の討たれ』楽しかったもん。まさかのカーテンコールを体験出来て、本当に今日観に行けてよかった。こういうのがあるから生の舞台って楽しいんですよね。

-2012.2.11 大阪松竹座-

【歌舞伎】『東雲烏恋真似琴』

2012年02月01日 | STAGE
『東雲烏恋真似琴(あけがらすこいのまねごと)』(2011年8月新橋演舞場)
作、演出:G2。
出演:中村橋之助。中村扇雀。中村獅童。中村勘太郎。中村七之助。中村福助。

堅物の御家人藤川新左衛門は、友人関口多膳から自分が間夫である花魁小夜が上司により身受けされてしまうのを防ぐために、おまえが変わりに間夫だと言い身受けを阻止してほしいと頼まれる。ところが新左衛門は、初対面の小夜に一目惚れ。上司の言葉のままに小夜を身受けすることになるが小夜に心を奪われた新左衛門に否やがあるわけもなく、小夜も新左衛門の真の心に惹かれ、あっさりと多膳を袖にする。しかし小夜は吉原が火事になり逃げ出したところで偶然出会った多膳に切り殺される。必死に小夜を探す新左衛門は小夜の死体が見つかっても小夜の死を信じようとはしなかった。そんな新左衛門の元に小夜そっくりの人形が届き・・・。

何気にCATV点けたらこの作品が放映されていて、途中からだったんだけど、あまりにも面白かったので最後まで見てしまい、衛星劇場のサイトを見たらもう一度放映されると書いてあったのでしっかりと録画予約して本日視聴。
まず人形師の左宝月が登場。彼はかの有名な左甚五郎の弟子ということで、宝月の作った人形にも何かおこるのか?と聞かれるときの甚五郎のたとえ話が、落語の「ねずみ」に「竹の水仙」ってのに笑った。さすが「江戸の青空」なんていう落語モチーフの芝居作るG2さんだ。前回見たときはちょうど人形が届いたあたりからだったので、面白い!と手放しで見たんだけど、最初から見ると、宝月の登場をもう少しコンパクトに出来たんじゃないのかな?って気はする。左甚五郎の・・・っていうのが2回もいらないんじゃないのかな。でもこの話は面白い。前半はちょっとシリアスに、人形登場からは少しコミカルに、そしてラストへの流れはオカルトチックで、わくわく楽しめる。妖しい人形の福助さんもいいですが、扇雀さん扮する関口多膳がかっこいい。小夜斬っちゃっう悪役なんだけど、悪じゃないんですよねぇ。扇雀さん男前すぎです。
こうして見逃してしまった舞台がCATVで見ることが出来るなんて有難いですよねぇ。

-2012.2.1 CATV録画-

【舞台】『90ミニッツ』

2012年01月20日 | STAGE
『90ミニッツ』
作・演出:三谷幸喜。
出演:西村雅彦。近藤芳正。

ある一室。一人の男がどうやら不動産屋と土地の購入について電話で話をしている。そこにかかるデスクの内線。すぐに終わる用件だからとすぐ折り返すと電話を切ると、やってきた一人の男。交通事故で運ばれてきた9歳の少年の父親だ。部屋にいた男は整形外科の副部長。用件は簡単なこと。息子さんには手術が必要でそのために同意のサインをいただかなくてはいけない。ところが父親は住んでいる地域土着の信仰から輸血は出来ない。手術するのはいいが輸血はダメだとサインを拒む。話は長くなりそうだと判断した医師は不動産屋へ電話はまた改めてかけ直すと伝え、二人の話し合いが始まる。

実は私この作品、ただただ三谷作品で西村さんに近藤さんだ!絶対に観る!その思いだけでチケットを確保。その後この作品の情報はまったく入れていなかった。それがよかったのか悪かったのか・・・。幕が開きテロップが流れる。「この作品は実際に起こった事件を元にしており・・・でもその団体や個人を・・・」なんて感じで始まったもんだから、一瞬私は固まった。この時点でこの作品は違う・・・そう感じていたのですが、いやあ、まさかここまで重いとは思ってもみませんでしたよ。さすがに三谷作品なんで笑いはありましたが、全編通して重い。二人の男の駆け引き、駆け引きされるのは一人の少年の命。そもそも駆け引きしていいものではないですよね。でも常に人の命って駆け引きされてるんじゃないのかな・・・とふと思う。この作品のテーマは「倫理」なんだそうですが、こうして突きつけられると、難しいなぁって思いますね。実際に起こった事件を知ったとき、正直「バカじゃないのこの親!?」って思った。その当時だけじゃなく今でもそう思うだろうと思うんだけど、でもそれって私の価値観なんですよね。この親が自分の価値観で救えたかもしれない子供の命を救わなかったのとどこが違うのだろう?なんて考えると病気になりそうなので考えませんけどね。つまりはこの作品、真剣に考えると考えるだけ、頭の痛くなる作品です。舞台冒頭から舞台中央の前方に一筋の水が流れていて、どうやらそれは少年の命を表しているそうなんですが、それよりも何よりも私は、あの落ちた水の行方が気なって仕方なかった。(^-^; 西村さん近藤さんのお二人は息のあった丁々発止。二人の演技のまとまりにこのテーマ。ほんと重かったよ。雨だったこともあるんですが、劇場を後にする私の気持ちはなんとなくどんより・・・。家に帰ってきて思わずニコニコ動画にあがってた落語を聞いちゃったよ。

-2012.1.19 シアタードラマシティ-

【観劇】文楽初春公演

2012年01月04日 | STAGE
文楽 初春公演
第2部
「義経千本桜」
  道行初音旅
  河連法眼館の段

「壺坂観音霊験記」
  土佐町松原の段
  沢市内の段
  山の段

今回の二作品とも見たことある作品なんですよね。
本来ならば、見たことがない作品を選ぶ方がいいんでしょうが、どうしてもねぇ、勘十郎さんの忠信が見たいと思ってしまうわけですよ。それにこの「義経千本桜」は文楽でも歌舞伎でもどちらでも好きな話なんですよねぇ。物語として一番好きなのはやはり「すしやの段」なんですが、文楽だと狐が出てくると結構面白いんですよね。だから「本朝廿四孝」も好き。うどんも天ぷらよりきつねだな(笑)。
「壺坂観音霊験記」これは泣ける。しかも「山の段」は大人気の嶋大夫さん。いや、おもいっきり声かかってたもんだから・・・(^-^; 正月ならではのハッピーエンド。「お初にお目にかかります。」うん確かにそうだな。泣いて笑って、いいお話です。
来月の松竹座は「すしやの段」をやるそうなので、見に行きたいな・・・。そして4月の文楽公演は落語「胴乱の幸助」でおなじみの(笑)「桂川連理柵」。これは見ないと!昨年は文楽ちょっと足が遠のいて2回しか行けなかったんで、今年は以前のように年4公演と文楽鑑賞教室の5回、行きたいな。

-2012.1.3 国立文楽劇場-

【観劇】『江戸宵闇妖鉤爪』

2011年01月02日 | STAGE
本当は表題の作品だけじゃなくって、大阪松竹座「寿 初春大歌舞伎」の夜の部を観に行ったんですが・・・(^-^;
夜の部の演目は
一、八陣守護城 湖水御座船の場
二、廓文章 吉田屋
三、江戸宵闇妖鉤爪
の三作品。
まず八陣守護城は、徳川家康に毒酒を飲まされて船で帰郷する加藤清正のお話・・・って登場人物の名前は替えられてますけどね。これは以前文楽で見たのですが、文楽より地味に感じたなぁ・・・。
次の廓文章 吉田屋は、吉田屋の夕霧に入れあげて借金を作り感動されてしまった藤屋の若旦那伊左衛門が、夕霧が病と聞き吉田屋にやってきて・・・という最後はめでたいお話。これも以前文楽で見てるんですよね。すねまくりの伊左衛門は文楽の方がかわいかったな・・・。
となぜか、この二作は文楽の方がよかったって感じてしまった。
ま、これは今日のメイン江戸宵闇妖鉤爪に気持ちが行ってるからかも・・・(^-^;

江戸宵闇妖鉤爪
元は言わずと知れた江戸川乱歩の「人間豹」
この作品の二作目『京乱噂鉤爪』が以前BSだったか・・・で放映されて録画して見てすごく面白かったんで、この第一作目がすごく観たかったんですよねぇ。
時は幕末、この女と狙った女を百日という日を定めて殺める人間豹恩田乱学。商家の娘お甲を手にかけ、それから一年後女役者お蘭を手にかける。二つの事件の犯人が人間豹恩田乱学と知った明智小五郎に、恩田乱学自らが挑戦状をたたきつける。

二作目の『京乱噂鉤爪』の方が物語としてまとまっているような感じがしましたが、それでもやはり面白い!
小五郎の妻女がお文!その名前だけで感動するなよ・・・って話ですが、やっぱ感動しますよ(笑)。
生で見る宙乗りいいですわぁ。3階席だったもんだから「キタキターッ」って感じがあって間近なので感動!

さて、明日はDVDに落として残してある『京乱噂鉤爪』をもう一回みようかな。

-2011.1.2 大阪松竹座-

【観劇】『NINAGAWA 十二夜』

2009年07月12日 | STAGE
『NINAGAWA 十二夜』
原作:ウィリアム・シェイクスピア。
脚本:今井豊茂。
演出:蜷川幸雄。
出演:尾上菊五郎。尾上菊之助。中村時蔵。中村錦之助。他。

あらすじはこちらウィキペディアをご覧ください。役名は違いますが、物語はそのまんまです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%81%E4%BA%8C%E5%A4%9C

で、その役名の一部を番附より。
琵琶姫(ヴァイオラ)・獅子丸(シザーリオ)
斯波主膳之助(セバスチャン)
丸尾坊太夫(マルヴォーリオ)
捨助(フェステ)
大篠左大臣(オーシーノ公爵)
織笛姫(オリヴィア)

うまくつけてますよねぇ。まずこれに感動しました(笑)。
一幕・二幕通して3時間強。休憩が35分もありますが、全然ダレなくって面白かった!いやぁ、行ってよかったですよ。3階席での鑑賞ですので、もちろん花道は舞台ギリギリのところしか見えません。でも今回の舞台鏡が使用されているので、客席側が舞台に映るんですよね。おかげで花道も見える。これは有難かったですよ。
物語は無茶苦茶わかりやすいし、琵琶姫が双子の兄と生き別れになったことで男装して男として生活するんですが、これは歌舞伎という世界ですので全く違和感なし(笑)。二役の早変わりも歌舞伎の見せ場の一つなんで、すごく面白い。
で、こうして歌舞伎という世界になっても、やはり蜷川演出だなぁー・・・とすごく感じた。考えると蜷川さん演出作品って『藪原検校』『エレンディラ』『から騒ぎ』と生で見るのはこれが4本目。DVDだと『タイタス・アンドロニカス』『間違いの喜劇』『オセロー』『リア王』の4本見ている。だからすっかり馴染んでいるのか、すごく見やすかった。でもなんか不思議だったシーンが・・・。冒頭なぜ『藪原検校』でもあった、座頭たちが綱持って歩くシーンがあったんだろう?(^^;
とにかく楽しかった。演出がどうこうってとこまではさすがにわかりませんが、なんとなく蜷川演出は私好きなんでしょうね。太鼓でターミネーターのテーマ聞けるとは思わなったし(笑)。

でもこの舞台がどうこうって話じゃないんですが、最初は男だと思ってて、それが実は女性だったからってカップルになるってどうよ?(笑)。まあ、この頃、お小姓ってつまりはそういう相手でもあったらしいですから・・・それに日本は昔は男色は何ともなかったらしいですから・・・何ら問題ないのかもしれませんが・・・。シェイクスピアの時代も違和感なしだったのかな・・・。

-2009.7.12 松竹座-

【観劇】『忠信三変化』

2009年05月03日 | STAGE
『忠信三変化』というタイトルの物語ではございませんで、能・文楽・落語でそれぞれに描かれる「忠信」のお話を一度に観られるってやつだったんですけどね。
文楽四月公演が『義経千本桜』の通し狂言だったんで、これはぜひとも行かなければ!といそいそと出かけました。

・能『忠信』
吉野山中に身を隠していた義経が金峯山寺の僧兵から夜討ちをかけられ、家臣の佐藤忠信が防ぎ矢をし、義経を吉野から脱出させ、自らも追手を斬り散らして義経の後を追う。

能にこんな派手な演目があるとは思いませんでした。短い物語でしたけど、短さもちょうどよく(笑)、すごく楽しめました。

・文楽『義経千本桜』河連法眼館より狐忠信の段。
本物の忠信が義経の前に現れたことで、偽忠信の正体が、義経が静御前に預けた"初音の鼓"の革に使われた狐の子だとわかる。今まで静御前を守ってくれたこともあり、親を思う子狐の思いに打たれた義経はその鼓を忠信に化けた狐に与える。

ちょうど「私はその鼓の革の狐の子です」という告白場面からだったのですが、ラストのあの大がかりなのはさすがにここでは無理だし、どうするんだろう?と思っていたら・・・おぉ!鼓を加えた狐の人形に早変わり!この狐に早変わりして、去っていく玉女さんが「どう?やったね」という感じの表情をなさったような気が・・・。人形遣いさんは皆さん絶対に表情を出さないので、気のせいかなーとも思うのですが・・・でもなんかうれしそうな気がした。なんでも今回、狐忠信を遣うのが初めてだそうで、あながちあの表情は私の気のせいではないかも(笑)。

・落語『猫の忠信』
若くて美人の師匠お静の元へ浄瑠璃の稽古に通う次郎吉は、次の会の出し物『義経千本桜』の話を稽古仲間の六さんとしていると、お静に気のある次郎吉に六さんは同じ仲間の常吉がお静ともういい仲だと告げる。確かめるために稽古屋へ行った次郎吉は確かにお静といちゃつく常吉の姿を見た。これには腹の虫が治まらない次郎吉は町内でも有名な凛気持ちの常吉の女房に知らせに走るが・・・。

面白かったぁ!
でもこの演目は『義経千本桜』を知らないと多分面白くないでしょうね。ネタ元がすべて『義経千本桜』ですもんねぇ。まず六さんが『義経千本桜』をやるなら自分は「すしやの段」が語りたいという。そらそうだろうなぁやっぱり。と知ってるから納得行くんだけど知らなかったらわかんないよね。じゃあこの段は、ここは?って話が進むんだけど、ここは特に知らなきゃなんだかわかんないと思う。そしてラスト。鼓が狐なら三味線は・・・ってことで猫なんですよねぇ。
歌舞伎と文楽は演目で繋がってるんですが、落語も結構繋がってるんですよねぇ。いろいろ知ることによって面白さが増える。なんかうれしいな。

なんでもコレ昨年の11月に『船弁慶三体』というのがあって、それの第2弾だそうです。で、第3弾が好評につき今年の11月に、『船弁慶三体』の再演があるそうで、これはぜひとも行きたいですね。

-2009.5.1 山本能楽堂 -

【観劇】『蜉蝣峠』

2009年05月03日 | STAGE
『蜉蝣峠』
脚本:宮藤官九郎。
演出:いのうえひでのり。
出演:古田新太。堤真一。高岡早紀。勝地涼。木村了。梶原善。他。

蜉蝣峠で無為に日々を送る一人の男。自分が何者なのかもわからず、誰に言われたかも忘れたが、ここ蜉蝣峠で待つように言われたからとただ待っている男"闇太郎"。たまたま蜉蝣峠を通りかかった元役者の銀之助は、その不思議な男闇太郎を連れてろまん街へ。街はならず者が集まり、立派組と天晴組による勢力争いが日々繰り広げられていた。

端っからクドカン脚本ってことである程度の覚悟はして出かけましたよ。『大人計画』は一度も観たことないし、映画でのクドカン作品ってのも一作も観たことがない。なんか合わない予感が常にあったので。でもDVDでですが、『メタルマクベス』は観てるんですよねぇ。いや、あれは全然ダメってことはなかった。面白く観たクチです。たださすがにあのゲロネタだけは勘弁してほしかった。しかも・・・どこまでひっぱんねんそのゲロで!・・・とちょっと腹立ちました。マーライオンなんて観てて気分悪くなっちゃったよ。そんなもんで、ゲロはいやだなぁ・・・と(笑)。
ところが!いやぁ・・・なんなんだよ始まっていきなりの○ンチにチ○コって!?子供かよ!しかも古チンがフルチンでシコシコやってんじゃねぇよ!(爆)。かるーくめまいしましたね。これゲキシネなんてのになったらどうなるんだろう?考えるだに恐ろしい(笑)。まぁ、まぁ、一幕は導入部ってことでおちゃらけで、とりあえずは流そう。でも一幕後の休憩の時前を歩いてた男性が「こんなに下品だとは思わなかった」と語っているのを聞き心の中で思わず「確かに!」と同意しちゃいました。思うことは一緒なんだ。本当に下品だ。しかもあれ本当にいるのか?(爆)。二幕は全うに進んでくれたので、まずまず一安心。しかしこの作品もう一回観たいか?と言われると・・・もういいや。まぁ、全然面白くなかったか?と言われるとそんなことはないんですよ。それなりに楽しみましたしね。でも・・・下品だし後味悪いし・・・(^^;。前回の『五右衛門ロック』がすごく楽しくって気分が高揚したので、なんか今回は余計にしんどい。

-2009.4.26 梅田芸術劇場メインホール-

【観劇】『文楽4月公演』

2009年04月27日 | STAGE
第1部 
『寿式三番叟』
通し狂言『義経千本桜』
 初段 堀川御所の段
 二段目 伏見稲荷の段
     渡海屋・大物浦の段


第2部
通し狂言『義経千本桜』
 三段目 椎の木の段
     小金吾討死の段
     すしやの段
 四段目 道行初音旅
     河連法眼館の段


通し狂言ということで、分けて見るよりは・・・ということで第一部、第二部通しで鑑賞。さすがにちょっと疲れましたが、やはりこれは一日通して正解でしたね。

まず第一部の『寿式三番叟』
詳しい説明は省きます。とりあえず目出度い演目だそうで・・・(笑)。
三番叟二人の連れ舞がすごいです。完全に見入ってしまいますね。三人遣いでこれだけ動けるというのはすごい。この三番叟は玉女さんと勘十郎さんだったんですが、これは人形の役どころの違いなのか?人形遣いさんの個性なのか?全く違った個性だったのがすごく面白く私の中での新な発見でした。

『義経千本桜』 渡海屋・大物浦の段
まさか、平知盛が壇ノ浦で生き残っていて、一門の恨みを晴らそうと義経主従を待ち構えていた・・・なんて話があったなんて全然知らなかったので、ある意味驚きました。でもねぇ、やっぱり悲しい物語なんですよねぇ。あぁ、でも知盛の最期はかっこよかった。

第二部
以前、歌舞伎で「すしやの段」を観たことがあって、この物語にはすごく感動したんですよ。物語の流れを知らないで観てたものだから、ラストの展開には泣けました。だから一番見たかったのが「すしやの段」なんだけど、「椎の木の段」「小金吾討死の段」「すしやの段」と続けて見たことによって、物語の流れに大きく納得。で、やっぱり「すしやの段」いいわぁ。とにかく泣ける。でもって蓑助さんかわいい!・・・じゃなくって蓑助さんのお遣いになるお里がもう最高にかわいい!というか蓑助さんのお遣いになる娘は本当に最高です。無表情な人形の表情がすごくかわいく見えるんだから不思議です。

「道行初音旅」「河連法眼館の段」
もうねぇ、勘十郎さんかっこよすぎます。狐忠信、とにかくおいしいとこどりの役ですね(笑)。ただ「道行初音旅」の扇子キャッチは今年の一月に『おおさか・元気・文楽』で見た清十郎さんの方が距離が長くてかっこよかったような気がする(笑)。
まず歌舞伎版の「道行初音旅」を観てこの演目が気に入ったんですが、こうなると今度は歌舞伎版の「河連法眼館の段」が観てみたいなぁ。

-2009.4.19 国立文楽劇場-

千秋楽の4.26 幕見で「道行初音旅」「河連法眼館の段」再度鑑賞。蓑助さんの静御前はやっぱりかわいくって、勘十郎さんはやっぱりかっこよかった。