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今日の筆洗

2016年09月24日 | Weblog

  阪神大震災の時、役所がこんな掲示を出したという。<容器をご持参の上、中央公園にご参集ください>▼庵(いおり)功雄・一橋大教授は近著『やさしい日本語』で、これでは外国人の住民には伝わりにくいから、<入(い)れるものを持(も)って、中央公園(ちゅうおうこうえん)に集(あつ)まってください>と書くべきだったのではないかと指摘している。なるほど「ご持参」や「ご参集」ではなく「持って」「集まって」ならば、外国の人のみならず子どもたちにも分かりやすい▼災害では情報の分かりやすさが命を左右する。例えば大雨のたびに耳にする「避難準備情報」。「要援護者ら避難に時間がかかる人は避難を始め、それ以外の人は避難準備を始める」との意味だが、どれほどの人が理解しているか▼台風10号で、お年寄りが犠牲になった岩手県岩泉町の施設では、職員らが避難準備情報の意味を誤解していたという。政府が過去の水害の被災地で調べたところ、四割の住民が避難準備情報と避難勧告・指示の違いを理解していなかったともいう▼町田市は、避難準備情報を住民らに緊急速報メールで伝える際「お年寄りやお体の不自由な方、また、小さなお子様がいる家庭では直ちに避難してください」との文を添えているそうだが、こういう取り組みが広まることで救える命があるはずだ▼少しでも易しい言葉で伝えようとする試みは、優しい営みでもあるのだ。