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今日の筆洗

2016年09月16日 | Weblog

 中国での民主主義国家樹立を目指した革命家・孫文は、一九一八年に来日した際、活動を支えてくれた日本の実業家に会って、こう言いつつ蓮(はす)の実を四粒手渡したという▼「古来中国では蓮は高潔な君子の交わりを意味します。どうか花を咲かせてください。この実が花を咲かせる頃には、中国の革命も成功し、東洋の平和が来ると思います」(阪本祐二著『蓮』)▼静かに凜(りん)と咲く蓮の花に託した平和への強い思い。この方の「蓮」の字にも、そういう意味が込められているそうだ。戦中、戦後と激動を続けた台湾の祖母が、平和への願いを託して名付けたという蓮舫さんが、きのう民進党の新代表に選ばれた▼だが、一度無残に散った政権交代の花の残像がつきまとう。参院選後の世論調査を見ても、「アベノミクスで景気がよくなるとは思えない」という人が56%も占めているのに、政権への支持は高く、民進党への期待の熱は高まらぬ▼話を蓮に戻せば、この植物には不思議な力があるという。開花の時、寒ければ自ら発熱して花の中の温度を保ち、実が結びやすい環境をつくり出しているというのだ▼そんな自ら熱をつくり出す力を、民進党の「蓮」が発揮できるかどうか。歯切れのよい熱弁も指導者には不可欠だろうが、何より聞きたいのは、「これならば、私たちの生活も温まる」と思わせる筋の通った政策だろう。