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今日の筆洗

2016年09月15日 | Weblog

 道路の開通式での話である。落選中の政治家。本来テープカットの役目ではなかったが、そこは政治家のずうずうしさで巧みに割り込み。お偉いさん方とテープ前に並ぶことに成功した▼さてテープカット。無論、この人にはテープを切るハサミが用意されていない。どうしたか。指でジャンケンの「チョキ」をつくり、何食わぬ顔でテープを切るふりをしたそうだ。驚くことに後で写真を確認するとチョキだと気がつかぬほど普通のテープカットに見えたという▼二十五年ほど前、当時の先輩記者に聞いた。大笑いする一方で、政治家とはどこまでも体裁や人の目を気にする生き物であることを教えてくれる話でもある。あの政治家には「チョキ」だろうと何だろうとテープカットに加わっているように見えればよかったのである▼台風の被災地視察で水たまりをおんぶされて渡った内閣府政務官の話である。かつての自民党議員にはスーツ姿に高級靴で田畑の仕事を手伝い、有権者を感激させる「技術」があったが、遠い昔のことか▼長靴を忘れ、おんぶ姿が被災地の人の目、心にどう映るかが分からなかったとは、未熟である▼巧みな政治家なら、長靴なしで水たまりを歩いただろう。わざと転び、「大丈夫だ。さあ行こう」と言ったかもしれぬ。それが良い政治家とは限らないのだが、少なくとも誰の心も傷つけはしまい。