ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

花に付加価値をつけて売りさばく  アイデア広場 その958

2021-07-28 20:44:30 | 日記


 日本の切り花が、海外から認められるようになってきました。日本産は同じキクでも、平均相場より高い評価を勝ち取っているのです。花に詳しい方にお聞きすると、人工的に育種された花は、原種の花よりも特徴的な香りが少ないと言います。現代の花の多くは、香りのよさよりも、色や形などの視覚的な美しさに重点が置かれているというわけです。近年のコロナショック時において、癒しの効果がある香りの切り花への需要が増えているとの声も聞かれます。確かに、花の色で昆虫を寄せつける戦略は、明るい昼の時間のほうが有利になります。一方、暗夜に蛾などを引き寄せて受粉する場合、特異的な香りの成分を花から揮発する傾向があります。夜に咲く花の場合、その開花に合わせて揮発性の高い香り成分が放たれるというわけです。この開花に合わせて揮発性の香りは、多くの人間にとっても心地良い香りになるようです。そこで出てくる発想が、見た目が良く香りの効果が優れているという両面から切り花をビジネスの種にしてはどうかという提案になります。
 アフリカで、チンパンジーの生態観察を行っている研究チームがあります。このチームが、病気のチンパンジーを観察していたところ、普段は口にしない苦味の強いキク科の髄液を飲むことを見つけました。キク科の髄液を飲み、約1日後に体調が回復する様子が明らかになったそうです。チンパンジーはキク科の植物を食料としてではなく、薬として寄生虫の駆除に使ったことに驚きがあります。キク科の髄液には、セスキテルペンラクトンとステロイドグルコシドの化合物が含まれています。これらの両成分は、寄生虫の産卵の抑制作用のあるのです。チンパンジーは、経験的にそれらの知識を獲得していたのでしょう。人間の領域では、花の効果を含めて生命科学の分野は、西暦2000年以降、劇的に進展しています。医学の分野でも、西洋と東洋の両方の医薬の優れた点を上手に合わせて用いて、医療を最適化している状況が生まれています。
 花の栽培にもいろいろな制約が加わるようになってきました。そんな花の市場で、注目されている町が福島県の南部にある塙町です。塙町は、東京の大田市場に年間20万本以上のダリヤを出荷しています。2017年9月には、花井栽培の国際認証システムのMPSの仮認証を受けました。このMPSの認証は世界51カ国で運用され、花井の生産者や生産者を対象にした国際規格になります。MPSは、人にも環境にも配慮した花卉認証システムというわけです。この認証取得には、農薬、肥料、重油、電気、水、そして廃棄物などの管理が求められています。農薬や燃料の使用量を抑えた生産が、環境を配慮することも求められているわけです。生産者は、竹の粉末や貝化石肥料を入れた土壌で栽培をするなどの工夫をしています。この工夫にさらに一工夫を加えれば、面白いビジネスが成立します。
 塙町の花の生産技術を求めてやってきた企業があります。花卉(切り花)の消費は、国内ではクリスマスなや彼岸などの時に伸びます。でも、平常時は、切り花の単価が低いレベルで推移しているのです。通年を通して消費地に供給できるようになれば、安定した生産と販売を確保できます。この企業は塙町のダリヤだけでなく、浪江町産のトルコギキョウ、昭和村産のカスミソウを幅広く取り扱うようになります。国内だけでなく、海外の各所に生産されたダリヤなどの花卉類を、通年を通して消費地に供給できる体制を構築しようしているのです。数種類の花を混載することで、輸送コストを軽減しようとしています。流通コストを減らし、輸送期間も短縮することで、品質や価格競争力を維持しようとしているわけです。この企業努力の延長線上に、花の香りやその効果を高めるビジネスを求める発想が出てきてもおかしくはありません。
 植物や花に関する研究も進んでいます。40億年の生命の歴史に隠された植物のしたたかな戦略が明らかになりつつあります。ゲノム科学の進展は、生薬や漢方薬、植物成分の分野に目を見張るような進展をもたらした。その延長線上に、花の香りやその癒し効果などの研究があります。最近、甘草の全ゲノム配列を決定することにも成功しました。この甘草は、砂糖の30倍以上の甘味を持つ植物です。漢方薬に必需品になっているほどです。植物や人間が持っている全てのDNA情報であるゲノム配列が、次々と決定されてきています。植物の世界が、分かりつつあるのです。日本政府は、ゲノム編集の作物が遺伝子組み換え食品と違うという前提で審査しています。政府は変化させた遺伝子の内容の情報を届け出れば、ゲノム編集の作物を認める方針を取りつつあります。有害物質の有無などの情報を届け出れば、ゲノム編集の作物を認めることにしていくようです。人間に有効な香りやその癒し効果を、ゲノム植物から迫ることも可能になってきているわけです。
 その癒し効果の最前線に、睡眠があります。現在、多くの分野で、睡眠の質が問われる時代になっています脳には、覚醒(昼の活動状態)、ノンレム睡眠、レム睡眠という3つの状態があります。8時間の眠りのうち、6時間がノンレム睡眠、2時間がレム睡眠といわれています。深いノンレム睡眠の確保が、健康を保証することになります。睡眠不足は、脳震盪を起こしているのと同程度の悪影響を及ぼすという実験結果もあるのです。スムーズな入眠の前には、手足の指先が温かくなることが知られています。手足の指先が温かくなるのは末梢から熱を逃がすために毛細血管が拡張しているからです。手足の指先が温かくなるのは脳の熱を、放出する活動をしているためです。脳の熱を冷やして、休めて次の活動に備えているわけです。脳震畳を起こした状態では、勉強も仕事も十分に成果を発揮できないことは明らかです。
 切り花の国内生産額は、2000億円程度になり、切り花の輸出額は、100億円程度です。発想は、飛躍します。花の町「はなわ」に、ケニアとエチオピアから技能実習生を受け入れる発想がでてきます。海外の技能実習生に、ダリヤの栽培技術を身につけてもらうのです。技能実習生が一定の技術をつけたら、ケニアとエチオピアの母国に帰国してもらいます。国に帰った彼らと、合弁会社ができれば楽しいことになります。塙町で梱包してトラック,羽田空港や成田空港に運び北京や上海、広州、香港に空輸が円滑にいくようになるとします。上海や北京との取引が順調にいくようになれば、ケニアの合弁会社から直接に上海に集荷するようにするわけです。需要期が異なる海外への販路が開くことができれば、経営の安定につながります。花卉の輸出が加われば、通年の活動がより円滑になり、農家の収入が増えることになります。
 蛇足ですが、上海などの中学生や高校生は、受験競争が激烈です。その競争を乗り切るために、「孟母三遷の教え」の通り、勉強のしやすい環境に移住します。そこは、中心市内のマンションということになります。市の中心には、良い塾や予備校が揃っているのです。親は子のために、良い環境のマンションを買います。ですから、都市部のマンションは高騰を続けているわけです。そこに、脳を効果的に休めて、そして効率的に活動する脳を刺激する香りを放つ花ができれば、需要はうなぎのぼりになります。そんな花を、塙町で作ってほしいものです。