ファンタジアランドのアイデア

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いじめの克服と希望の進路実現  アイデア広場 その1234

2023-09-20 17:56:18 | 日記

 先日、知人にいじめのことで、相談を受けました。知人の子ども(悟君 仮名)は、高校3年になってから、クラスの友達から悪口や無視などのいじめを受けるようになったそうです。担任に相談しても、なかなか改善が見られないという情況が続いて困っているとのことでした。3年生の半ばになり、進路を決め、それに向かって勉強をしなければならない時期になっています。いじめが気になり、勉強に集中できずに困っているという内容でした。一般的にいじめについては、教育委員会などに相談すると、カウンセラーやスクールロイヤーなどが支援してくれることになります。ところが、私立高校に通っているので、教育委員会ではなかなか支援が難しいというのです。確かに、私立高校の監督部署は、学事課という部署が担っています。そこで今回は、進路実現という視点から、いじめの克服を考えて見ました。
文部科学省の問題行動・不登校調査によると、いじめ件数は2021年度に61万5351件になり過去最多になりました。いじめの問題と並行して不登校も、過去最多の24万人を超えました。この24万人の不登校という数字は、10年前からほぼ倍増したことになります。
 2020年度(51万7163件)より2割近い9万8188件の増加だったことになります。認知件数を学校種別にすると小学校は50万562件(1000人当たり79.9件)、中学校9万7937件(30.0件)、高等学校1万4157件(4.4件)、特別支援学校2695件(18.4件)でした。コロナ禍で休校が増えた2020年度を除いて、認知件数は増加し続けています。特に小学校が2015年度から急増しています。1000人当たりでは2013年度17.8件、2014年度18.6件だったところから、2015年度23.2件、2016年度36.5件など急拡大している。2015年12月文科省から「いじめの認知件数がゼロであった学校においては事実を児童生徒や保護者向けに公表し、認知漏れがないかを確認すること」と通知されたことの影響が大きくなっています。ある意味で、いじめのない学校はないということを、文部省が認めていることになります。
 いじめの内容別に分類すると、各校種とも「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が最も多く、中学校では62.2%、小学校・高等学校も6割近かった。次いで多かった「軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする」は特に小学校(25.0%)、特別支援学校(24.1%)、中学校(14.3%)で多くなっています。他の校種に比べて高等学校で、は「パソコンや携帯電話等で、ひぼう・中傷や嫌なことをされる」(17.3%)、「仲間はずれ、集団による無視をされる」(15.8%)などが多くなっています。「パソコンや携帯電話等で、ひぼう・中傷や嫌なことをされる」は2万1900件だったが、2014年7898件、2016年1万779件、2018年1万6334件、2020年1万8870件など毎年増加しているのです。
 いじめられている子どもにとって、学校は勉強するどころではなくなります。いじめが続くかどうかは、いじめられた子どもが、父親、母親と相談できるかどうかが、一番のポイントになります。父親や母親と相談できる子どもは、いじめられにくいという経験則があります。いじめを受けた時、その辛さを両親に打ち明けられ、親子が協力してこの課題に向き合う姿勢が大切になります。両親としっかり話し合い、その課題に立ち向かうことで、辛いいじめを克服していく力が育っていきます。「いじめという困難そのもの」よりも、「その困難をどう受け止めるか」という「態度」が重要になります。話し合いや課題に向き合う場合、いじめの事実を裏付ける確かな物証を確認する作業も大切になります。家族力が低下していると言われていますが、このような話し合いのできる家庭は強いと言えます。
 なお、悟君のクラスの先生が、対応してくれない理由がなかなかわからないということでした。いじめの相談を受けた先生は、事実確認をするのが難しいこともあります。いじめにあった場合、被害者は、「いつ、どこで、だれに、何を、なぜ」を正確に言えるようにしておかなければなりません。これが、正確に伝えられないと、いじめた相手に確認ができないのです。正確に伝えられないと、自分の気持ちだけになってしまいます。でも、高等学校では、パソコンや携帯電話等で、ひぼう・中傷や嫌なことをされることが多くなっていいます。この通信記録は、重要な証拠になります。このような事実を、担任に提出することも一つの選択肢になります。
 いじめに負けた子ども達は、ほとんど「現在」を生きようとはしません。新しい試みを恐れるあまり、過去の適応様式を繰り返してしまいます。結果として、よりいじめが悪化する方向に流れていきます。「過去の不幸」を嘆き、昔の生活や「過去の栄光」ばかりに心を奪われてしまうのです。いじめを克服する子ども達は、「今、この時」を生きています。自分の「過去」を十分に踏まえながら、現在を認識し、その中で学校生活を送ります。いじめにあえば、うつ状態になることもあります。不眠や食欲不振が、よく現れます。そんな時の態度が、方向を決めます。眠れるようにはなったのですが、まだ食欲が出ませんと言う子どもがいます。これは、ネガティブな態度です。もう一方で、まだ食欲は出ないのですがおかげさまで夜はよく眠れるようになやましたと言う子どもがいます。これは、ポジティブです。望ましいケースは、後者です。自分がもっている「プラス面」に目を向けられるように、常に志向していくことが壁を乗り越えるカギになります。
 いじめられても、反発できない「弱い」子どもが増えていることも事実です。自分には力がないとか、能力がないと自信を喪失しているようです。でも、ここで視点を変えることができれば、面白いことになります。能力がないと思えば、いじけるだけです。これは、ネガティブです。「無能」を力と思えば道は開けるのです。無能の力は、「教えを乞う力」であり、「失敗を許される力」であり、「助けてもらえる力」に変わるのです。「教えを乞う力」は、質問を自由に出きる力に変わります。「失敗を許される力」は、何度でも課題に挑戦する力になります。「助けてもらえる力」は、協力を求める力でもあり、助け合う力にもなります。「協力」は自分に能力がないからこそ、困ったときには協力し合うことに抵抗感を持たない得難い特質に変わるのです。このところ話題になっているソーシャルスキルの中には、援助を求めるスキルが重要な位置を占めています。援助を求めるスキルを学べる場は、最先端のソーシャルスキルを教える場にもなります。
 ひどい負傷をすると、二度と幸せを感じることはできないだろうと思うものです。でも、最初の非常につらい適応の時期を過ぎるとほとんどが以前と同じくらいの幸福度に戻ることが多いのです。人は、誰でも有効な心理的免疫システムを持っています。それが、逆境を乗り越えさせてくれます。ひどい負傷を、陰湿ないじめに置き換えることもできます。幸福は、回復してきます。今は便利な時代になり、回復させるためのトレーニングもあります。それは、学校や家、そして通学路の中で起きたことを毎日リストアップするのです。いじめにあうと、ネガティブな行動やネガティブな考えが増えてきます。いわゆるネガティブな「心の声」の働きが空回りし始めると、うつ病や不安症のリスクが高まります。ネガティブな「心の声」の働きが空回りし始めると、小食や過食症などのリスクが高まります。何かが起きてネガティブに感じたならば、出来事(無視された)、気持ち(無視されて落ち込んでいる)、思い込み(また友達に無視されるかもという不安)を理解することです。この3つのサイクルが、自分にネガティブな影響を与えていることを理解すると、解決の道がでてきます。無視されても、相手にしなければ良いのです。相手にしないで、自分が今やるべきことを優先するわけです。仲良くすることに多くのエネルギーを費やすよりも、未来の進路の実現に時間とエネルギーを使うわけです。自分の気持ちと向き合うときには、「出来事、気持ち、思い込み」を見直すと自分を取り戻すことができます。ネガティブになっているとき、意識的に「出来事、気持ち、思い込み」を振り返って、自分を上手に見つめ直すことです。見直すことで、クラスの変化や自分の心の課題にフレキシブルに対応できるようになります。フレキシブルな対応が、心の安定をもたらし、感情を上手にコントロールできようになります。
 「出来事、気持ち、思い込み」の見直しには、自分がポジティブに切り替えることが求められます。世の中には、ポジティブに考えられる人を育成する方法もあります。その一つの事例は、「三つのよいこと」」を書くことがあります。この実験は、一週間毎日「三つのよいこと」を書き出した人たちの追跡調査になります。一週間毎日「三つのよいこと」を書いた人は、幸福度が高く、落ち込む回数が少なかったのです。さらに、一カ月後、三カ月後、六カ月後の追跡調査でも幸福度が高く、落ち込む回数が少なかったと報告されています。三つのよいことを書くのを止めた後も、幸福度、楽観性ともに高い状態が続くということなのです。ネガティブ志向の強い人には、有益な手法になるかもしれません。
 私の結論から述べると、悟君は、クラスの人を無視して、勉強に邁進することです。そして、学年主任や担任には、悟君が勉強しやすい環境を整えてもらうことです。クラスで嫌なことがあった場合、図書室で勉強できることを認めてもらえれば、勉強ははかどるでしょう。また、卒業しなければ、大学受験は無駄になります。今は、卒業のために授業を大切にすること、未来の職業に向かっての勉強を優先することになるかもしれません。
今は9月8日です。希望の進学先に願書を出して、入学試験を受ける時間は差し迫っています。一般に、私立大学の一般選抜は、多くの大学で1月上旬から、早いところでは12月下旬から出願が始まります。試験が行われるのは、1月下旬から2月中旬にかけて。 私立大学では試験日程を複数回設けているところが多く、後期入試や2期募集(3月入試)という名で3月頃まで試験を実施する大学もあるようです。120~150日後には、試験に臨まなければなりません。クラスの中の悪口や無視を意識すればするほど、悪いサイクルに陥ります。進路実現に希望があるならば、この悪いサイクルを抜けることが必要になります。試験勉強も必要です。また、進路の仕事内容を、より深く知る時間も必要になります。悪口や無視を気にするより、未来の仕事のほうに気をまわすことが大切になります。今のクラスの良くない状況をできるかぎり避けて、希望の進路にエネルギーを集中してほしいものです。

備考 

 私立高校の監督課は、福島県庁の学事課になります。いじめがひどい時には、そちらに相談することも一つです。もう一つは、スクールロイヤーと相談することです。スクールロイヤーとは、学校で起こるいじめや保護者とのトラブル等を法的に解決する弁護士のことです。学校内で問題が起きた際に、文部科学省と教育委員会、弁護士会の連携のもと、学校に弁護士が派遣される制度をスクールロイヤー制度ということになります。でも、私立高校は、文部科学省と教育委員会から、少し離れています。直接は、難しいと思いますが、弁護士の知見を拝見することはできるかもしれません。なお、いじめの事実を証拠として提出できることが大切になります。これがないと、言い合うだけになってしまうこともあります。