ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

スポーツの話 箱根駅伝 その3 監督の役割

2016-10-28 19:56:24 | 日記
スポーツの話 箱根駅伝 その3 監督の役割

 箱根駅伝の勝利には、監督の指導力が大きな要素になります。コースの状況、レース展開、気象条件、相手選手力関係などの把握が、熟練監督の持ち味です。短期間で自校の選手を成長させることは可能でも、他校の選手の分析までは手が回らないものです。監督1年目では、なかなか成果をあげることはできません。監督が役割について、嘉納さんとトット記者が話し合います。

記者「監督の仕事には、どんなものがあるのですか」
嘉納「箱根駅伝で良い成績を収めるには、スカウトと育成、そして実践的強化の3つの部門があります。良い選手を獲得し、選手の素質を伸ばす練習をします。最後の本番で力を発揮する精神的トレーニングをするわけです。でも、これらをすべて監督でやろうとする無理が生じます。今の箱根駅伝は、役割分担をしながら行っています」

記者「名監督の条件は、どんな点ですか」
嘉納「そうですね。選手の指導だけでなく、選手の獲得が上手な方ですね。長距離では、高校のレベルが向上しています。強い高校生が入ってくる大学が、箱根駅伝でも上位を占める傾向になっています。もちろん選手の走力だけでなく、人間的性格なども加味してスカウトをしているようです。監督と高校の関係も大切です。大学の都合で監督を替えると、高校と大学の関係が崩れてしまいます。次の年から、良い選手が入ってこないということも生じかねません」

記者「継続的に良い選手を受け入れて、伸ばしていく。伸びなければ、高校の側も良い選手を送り込んできませんよね」
嘉納「はい、選手が不足しているチームでは、練習が不十分な選手でも能力のあると思われる選手に20kmの区間を託することになります。これは監督の立場からすると、とても不安なことなのです。いわゆるブレーキをおこす選手は、この手の選手に起こるわけです。繰り返しの練習の中で、安定した能力を確認したいのです。この確認が、監督の仕事にもなりますし、次の大会の資料にもなるわけです。」

記者「ある人数の選手が競い合い、安定した能力が発揮出来る環境をつくっていくわけですか。選手もうかうかできませんね。地方から来る選手も多いと思うのですが、故郷を離れても自分の能力を発揮出来るものなのですか」
嘉納「箱根を走る選手は、高校時代にトラックの5000mで14分40秒から50秒で走らないと勧誘されません。さらに同じ14分40秒でも、関東と地方の選手では、地方の選手のほうが価値があるといわれています。伸びしろが、大きいのです。ここ数年、東洋大学が安定した成績を残しています。福島や東北の選手を勧誘した成功の事例といわれています。地方の選手は、高校の先輩でなくとも、同じ県出身者がいるだけでも落ち着いて練習に取り組めるのです。高校2年に有力な選手がいる場合、あえて3年生を勧誘して、有力選手に自校の情報を送ることもします。狙いはもちろん、有力な2年生の選手を勧誘することです」

記者「選手が安心して練習できる環境を整えているわけですね」
嘉納「はい、もっとも最近は高校生の間でも情報交換は盛んです。有力大学の勧誘情報は、すぐに広がります。高校生の側でも、大学の戦力を分析し、自分が走れる大学を選ぶ選手もいます。大学の選手も、メールで練習の情報交換をしています。この練習情報は、高校生のほうにも伝わります。高校生の選択肢は、かなり広いものになっているともいえます」

記者「大学での練習は、どのようなものなのですか」
嘉納「早稲田が全盛のときは、中村監督がリディア-ド方式で練習を進めていました。この方式は、目標とする大会に10週間ほどかけて準備していくのが特徴です。厳しい練習を積み重ねて、あえて体調を落とすのです。その後、疲労回復をしながら状態を仕上げて本番に臨む方式です。でも、今の長距離は瀬古や宗兄弟の時代に養われたノウハウを絶対だと考えないほうが良いようです」

記者「すると、どんな状態で仕上がるのが良いのですか」
嘉納「箱根の中継で解説者が『軽く仕上がっている』とか『重く仕上がっている』と言うことがあります。身体が重く仕上がっている場合、試合運びを慎重に進め、無駄な動きがなく、中盤から軽くなり良いレースができるのです。逆に、軽く仕上げると、前半から飛ばしすぎてしまったりします。余計な動きや無駄な動きが、多くなるわけです。箱根駅伝のような長丁場の場合、身体を重く仕上げることが鉄則とされています。これはグリコーゲンが燃焼し、脂肪をエネルギーに転換するまでの時間とも考えて良いかもしれません」

記者「監督の仕事は、難しいということが分かりました。今は、どのような方が監督になっているのですか」
嘉納「箱根駅伝がこれだけ注目され、テレビの視聴率だけでなく、大学の経営までに影響を与えるビックイベントになりました。監督も多面的能力が求められています。そのためか、箱根駅伝に出る大学の監督は、外部から招聘されることが多くなっています。確実に選手を勧誘し、素質を伸ばし、大会で勝つノウハウを持つ人材は限られてきます。箱根駅伝が注目されていますが、実力では1月1日のニューイヤー駅伝のほうが、はるかにレベルの高い大会なのです。この駅伝は、秒単位の走りが要求されます。箱根駅伝の監督は、実業団で実績を積んできた選手が指導者になり、実業団の知恵をもっている人になります。実業団の練習内容は、ただ長く、速く走る練習だけではなく、地味に効いてくる練習内容が多いのです。監督の仕事は多肢にわたります。その中で優秀な成績を上げる監督に注目をしていきたいものです」
記者「監督をこのような視点から見る方法もあったかと感心しました。箱根駅伝の楽しみが増えました。ありがとうございました」

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。