スイスは、観光立国としても有名です。この国の魅力は、美しい山村になります。アルプスの山並みと牧畜などの農業が相乗効果を上げているのです。一見牧歌的風景ですが、この景色は意図的に維持保護されている面があります。スイスでは、農業に手厚い保護が行き渡っています。この保護政策により、農耕地を始め、環境保全や家並みの保存が計られているのです。手あつい保護が、四季折々の美しい山村風景を生み出しているともいえます。
そこで、日本がスイスに学ぶ観光の知恵を少し垣間見てみました。スイスの観光数は、人口の840万人を超える900万人になっています。この国の山村は、農業や観光業が盛んです。公共交通機関が充実したために、あらゆる山村へのアクセスが可能になっているのです。この交通網を利用して、世界各国から人々がアルプスのトレッキングやキャンプに訪れるわけです。最近、農家で目立ってきたのが、コテージやキャンプ場の副業です。裕福な農家が、、野外活動の起業家に土地や建物を提供して、事業を委託しするケースが増えています。スイスの国民所得は、世界で最も高い国の一つです。農家も高い所得の恩恵を受けているのです。
中世の家並みを見学する旅行客や登山客が、絶えずやってきます。世の中には、本物と偽物があるといわれています。スイスは、できるだけ本物をに近いものを提供しているようです。本物の基準は、長い歴史を経ても価値を落とさないものになります。スイスの風景や自然は、この基準に添うものでしょう。今では当たり前になったガソリン車の使用を禁止した最初の観光地でもあります。そして、電気自動車を観光用に利用した村など、世界に先駆けて取り入れた観光政策は良く知られています。自然景観を保護する努力は、現在も精力的に続けられています。最近では、農地や周辺の野山に生息する多様な生物の維持にも目配りをしています。もちろん、景観を維持して自然環境の保護に力を入れている農家には、多額の補助金が支給されています。
農山村には、農道や林道の補修や除雪の公共事業があります。景観の維持には、住宅地の維持管理など土木建設事業もあります。これらに関わる村人は、農業や観光以外にも、収入があるわけです。農業と観光で収入を得て、さらに公共事業に携わることで収入を増やしているのです。自分たちが従事した林道の補修や除雪が、さらに観光業を助けるという相乗効果を上げているともいえます。スイスは官民を挙げて、交通機関のインフラ整備をして、環境保全や家並みを保存して、四季を通して観光客を招き入れているのです。この政策が続く限り、農山村の人々には雇用が途絶えることはありません。高い所得が、保証されていくわけです。スイスの人々は、中学や高校を卒業するだけで、家業の農業や観光業を受け継いで、裕福な生活を享受できる仕組みになっています。
最後に、日本がスイスに学ぶ点は、まず農業で稼ぐ点でしょう。農業で生活を支える程度の収入を得た上で、民宿などの観光業ができるようにします。日本には、スイスにはない里山があります。日本の植生は、ヨーロッパなどと比較にならないほどの豊かさを誇っています。昆虫や動物も固有の種が数多くいます。イギリス固有の動物はゼロといわれています。日本は何と130の固有種がいるのです。植物も2900種に及んでいます。しかも、これらの動植物の種が里山という環境で共存してきたという歴史があります。スイスがアルプスと自然を目玉にするのであれば、日本は里山と自然、そして人間の共生を軸に観光を展開してはどうでしょうか。世界のトレンドは、自然と人間の共生に流れています。その流れに乗って見るのも面白いようです。
蛇足ですが、里山や森林に入れる林道の建設と維持が必要になります。山村における灌漑設備の補修も重要です。これらの継続的補修には、住民も行政もお金と労力を支出するになります。農民が「結い」のような仕組みを作りながら、里山を維持してきたわけです。現代版、「結い」をつくり、日本の自然をアピールすると同時に、稼ぐ力を取り戻したいものです。