ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

細菌兵器・合成生物学・技術の二面性   アイデア三題噺 64

2018-07-18 19:02:27 | 日記

 アフリカの地方における伝染病が、世界を恐怖に陥れた事件がありました。エボラ出血熱が、一地方を越えて広がったのです。これに感染すると死亡率50%という高い確率で命を落としていきます。この時、世界の各国は感染症を用いたテロも念頭に、エボラ出血熱に真剣に取り組んだようです。エボラを細菌兵器とするテロが、可能になることを想定したのです。自爆テロリストがエボラ出血熱にあえて感染し、ターゲットとする国や地域に入国します。感染したテロリストが、都市部などの人が集まる場所を動き回ります。意図的に感染して死んでいけば、感染は一挙に拡大するシナリオを想定したわけです。この時は、最悪の結果を招かずに、エボラ出血熱の流行は収束しました。
 でも、細菌兵器の開発や利用は、現在もも進められていることは常識とされています。その事例が、旧ソ連(現在のロシア)に見ることができました。旧ソ連では、病原体を合体させたり、遺伝子を改変したりして、生物兵器を作ろうとしていました。二つの全く異なる病原体を組みあわせて、より強力な病原体を作る研究が行われていたのです。ペスト菌は、抗生物質を投与すれば、治療効果が現れます。菌の中には、抗生物質を投与すると、活性化するものあるのです。ベネズエラ馬脳炎ウイルスは、馬に感染し、脳脊髄脳炎を引き起こします。人にも感染する厄介な病気です。この病気は、抗生物質を投与すると活性化し、脳脊髄脳炎を進行させてしまうのです。
 このペストとベネズエラ馬脳炎ウイルスを合体させた新しい病原体に感染した場合、ペストの治療で抗生物質を使えば、ベネズエラ馬脳炎ウイルスが活性化し、脳脊髄脳炎が悪化します。ペストの治療をしなければ、ペストで死亡することになります。この合体した菌に感染した人は死ぬという仮説を、サルを使って実験したのです。ペストの治療をした場合も、しない場合も、サルたちは死亡していきました。仮説は、実証されたわけです。旧ソ連で行われた実験は、条約上禁止されています。でも、確実に各国は研究を進めていると考えることが常識のようです。この研究は負の側面ですが、正の側面に変わる可能性もあります。ペストとベネズエラ馬脳炎ウイルスを合体させた病原体を、ペスト患者やベネズエラ馬脳炎患者に投入すると、二つのの毒性が消去されてしまうという研究に変わるかもしれません。合成生物の技術が生物兵器への転用されるという二面性は、科学の宿命ともいえるものです。感染症の予防や治療と生物兵器の開発はメダルの表と裏だともいえます。できるだけ、表の研究に予算を投入してもらいたいものです。


シベリア抑留の時代・ロシアの女性・フェミニズム運動   アイデア三題噺 63

2018-07-18 18:28:27 | 日記

 第二次世界大戦が終了したときに、市民を含めて日本人は310万人の死者を出していました。現在のロシア(当時はソ連)は2000万人を超える死者を出していたのです。日本もソ連も男性が戦場から帰還して、日常生活が復活しました。日本もそうでしたが、戦死した男性が多かったために、結婚できない女性が増えたのです。ソ連では、戦争で受けた心身の傷を癒やすために、お洒落が有効だったようです。もちろん、結婚相手を得るために、男性の気を引く必要もあったようです。
 ソ連の女性は、絶対的男性の不足を補うために、男性と同等の労働に従事しました。職場の勤務だけでなく、妻として母としての家庭の仕事も重なりました。当時のソ連経済は疲弊していました。衣服の生産量は需要に全く追いつかず、慢性的なもの不足と闇取引が続いていたのです。ソ連と同じように、1945年から1947年の日本もこの状態が続いていました。ソ連では、多くの妊婦が体調不良を訴えながらも、臨月まで工場で働いていたのです。女性には肉体的な負担が余りにも重すぎて、精神的に好ましくない状況が続いていたようです。
 日本は1955年には戦前の一人当たりの実質国民総生産を上回り、「戦後は終わった」という流行語が生まれました。順調に回復した日本と違い、ソ連における経済は低迷していました。西側の経済が上昇基調になったときに、男女同権の主張がなされるようになりました。西側のフェミニズム運動が、女性と男性と同等の権利を得て、社会で活躍できることを求めたわけです。男性と同じ仕事ができるように、同じ給料が支給されるようにという主張です。もちろん、女性の権利である母体保護や深夜労働の禁止など条項を認めた上での男女平等でした。当時ソ連では実質上、男女平等は実現していたのです。でも、ソ連の女性が口を揃えて願ったことは、労働の過重負担の軽減だったのです。
 蛇足ですが、日本は「戦後の終了宣言」以後、三種の神器(白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫)の普及に伴い、女性労働は軽減されていきます。ソ連は、そういかなかったようです。