大学受験改革で、英語の出題が話題になっています。TOEICや英検で一定の得点を取ることが条件になるなどの案が出ているようです。民間の英語検定試験が、大学受験に使われるという大きな改革案が出てきているわけです。日本人の英語は、しゃべれない、聞けないという弱点がありました。読んだり書いたりすることは、ある程度できるのですが、しゃべることが苦手なのです。しゃべれないから、国際化に乗り遅れるという議論もあります。
そこで、国際化に乗り遅れないための語学を考えてみました。TOEICの受験者数は、1984年には6万人、1994年には44万人、2004年には143万人、そして2016年には271万人に増えています。検定試験を受ける方が、増えていることが分かります。ちなみに、このTOEICは、2016年で150ヵ国、700万人が受験しています。大部分が日本人と韓国人で占められているようです。この試験の内容は、通常の実務一般に必要な基礎的な英語力を評価するものです。職場で同僚と会話される内容が中心ということになります。学問的内容や抽象的な議論、そして政治経済の内容は出題されません。遊びの話題も避けられ、日常的職場での会話に終始するようです。
英語は、話す、聞く、読む、書くが必要されます。この4つの要素をどの程度高めれば良いのでしょうか。話すレベルは、「略式一親族、友達、子ども、親しい同僚と話す」、「正式一目上の方や初めて会った方と話す、学校の授業で話す」、「専門一専門家、研究者との会議でディスカッションする」の3段階程度になります。聞くレベルは、略式一親族、友達、子ども、親しい同僚の話を聞く、テレビドラマ、映画のセリフを聞く」、「正式一目上の方や初めて会った方の話を聞く、テレビのニュースや駅のアナウンスを聞く」、「専門一専門家、研究者の発表や話を聞く」となります。読むレベルは、「略式一非常に親しい方からのメール、コミックを読む」、「正式一新聞、雑誌、メール、ネット記事、エッセイなどを読む」、「専門一専門書、専門分野の論文、文学作品を読む」、書くレベルは、「略式一メール、シナリオを書く」、「正式一記事、エッセイ、商業文などを書く」、「専門一論文、契約書を書く」となります。
国際化で語学が必要になる場面は、正式から専門のレベルになります。大事なことは、海外の仕事で困らない語学力を付けることです。多くの方が助言する方法は、中学英語の教科書を良く音読して暗記することなのです。さらに高い会話力を付けたい場合は、高校の教科書をよく読み、全部暗誦できるようにすることだと言います。学校に出てくる文型と名詞句の組み立て方を徹底的に暗記し、自由自在に組みあわせてができるように習熟することが大切となります。この基礎の上に、専門分野のテクニカルタームを覚えていくことになります。
余談ですが、イギリスではTOEICは信用されていないようです。2014年、イギリスのビザ申請にあたって、TOEICのスコアの使用が不可になったのです。ある職種にとっては、語学力がビザ認定の条件になっています。その語学力を認定するスコアに、問題があったということです。ロンドンで行われたTOEICの試験で、組織的不正が発覚したのです。イギリスの内務省が、TOEICとTOEFLを運営しているETS(教育試験サービス)との契約を打ち切ったと言われています。