「とりあえずは、落ち着いて聞いてほしい」
ツイナは云う。
「俺たち、理容院に来たわけではない」
「ええ」
「髪を切りに来たわけではない」
「ええ。私は砂先生の、」
「先ほども!!申した通り!! ちょっとさらわれた人を!!」
ヨシノのいつもの調子を防ごうと、ツイナの口調がでかい。
ノギとケヤは首を傾げる。
「ちょっとさらわれるって、どう云うこと?」
「やって返されるってこと??」
「わは、女限定だよ!」
「はっは~!!」
砂一族。昼間からすごい。
「ははっ。とりあえずは、落ち着いてお茶でも飲まないか」
まあまあ、と、ケヤはお茶を運んでくる。
理容院のお客スペースに、4人は坐る。
「はあ、よかった。この砂漠の中、喉が渇いていて」
「本当よね、ツイナ」
ツイナとヨシノは、ありがたくお茶を受け取る。
ノギとケヤは、お茶を飲む。
「あら、おいしい」
ヨシノもお茶を飲む。
「ずいぶん薄めなのねぇ」
「水出しだから、抽出されてないんだよ」
「暑いのに、熱いのもなぁ」
「とりあえずは、飲んでも大丈夫??」
もはや飲んでいるツイナに、ヨシノが云う。
「これ、毒だけど」
「ぶ、ぶっふぅううううー!!」
衝撃の、逆流。
「わぁお、兄さん!」
「だから、薄めだって!」
「死ぬほどの毒じゃないんだけど」
「ちょっと興奮作用が出るくらいよ?」
「姉さん判るねぇ」
「こっちポジだね」
「コ●でしょ?」
「そう、コ●」
「何それ、何それ、コ●って!!」
ツイナは、洗面台借りて、めっちゃうがいした。
「何って、」
「ねえ?」
3人は顔を見合わせる。
「某飲料の、●カよ」
「なんてこったい!!?」
「いや、今は入ってないけど」
ねぇ~、と云いながら、3人はお茶を飲む。
「まあ、しかし。薄いな」
「抽出時間も短かったんだって!」
「長くやりすぎると、法律に触れるわ」
いや、すでに触れています。
砂一族でも砂一族以外でも、真似してはいけません。
「砂一族のおもてなし、受け取ったわ~」
ツイナは、もう一度、めっちゃうがいした。
「じゃあ、話を戻すけど」
改めて、ツイナは咳払いをする。
「最近、この村で急にいなくなった人とかいる?」
「それは、」
「どうなのかな~??」
「うち、人数は少ないけど、」
「いたり、」
「いなくなったり」
「ラジパンダリ、」
「・・・芸人?」
把握していないのか。
「砂一族の村をまわって、情報収集するかぁ」
「そうするしかないわよね」
「気を付けろよ~」
ノギが云う。
「俺たち、他一族大好きだから。なあ」
うんうん、と、ケヤが頷く。
「ひとりで村をあるこうもんなら、みんなに抱きしめられちゃうぞ」
「こっちにおいで~、ってな」
ごくり。
「それは、」
「獲物的な・・・」
砂一族怖い。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「ドキドキするわぁ」
うふふと、ヨシノ。
「俺もドキドキするわぁ」
本当に、ツイナ。
「新元号発表ばりに!!」
新元号は「令和」!!(2019年4月1日執筆)