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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「続・夢幻章伝」22

2021年02月19日 | 物語「続・夢幻章伝」
マツバはオムライスが好き。
ピーマンは嫌い。
お肉は好き。

いろいろ忘れていたことを、店番の人(マツバの父親)は思い出す。

マツバに会うのは、何年ぶりか。

幼いころ
もう、この西一族の村では育てていけないと、
南一族に住む自身の家族に託し、

それでも

遠目に、何度も様子を窺いに行った。

対面したこともあるが、
やはり、いたたまれない空気になって
いつも、逃げ出すように去って行った。

そんな、自身の娘。
真都葉。



「はっ。どっちかと云うと肉の方がおいしいわね!」
「だってA5ランクだもん、キコキコ」
「新しい肉と云うのが判るもんだな!」
「そりゃそうよ。うちは狩りの一族だもの」
「その上、焼くだけだしね!! オムライスとは訳が違うわ!」

自分の手作りオムライスにケチを付けておる。

アヅチとマツバとへび呼ロイドと、コトハ。

アヅチは、コトハの雰囲気も慣れているようで
4人で和気あいあい。

「よかった・・・」

店番の人(マツバの父親)は、呟く。
様子を見守る。
暖かく。

「デザートも付くのよね、叔父さん!」

「はいっ」

厨房へと引っ込む。

「それにしても、久しぶりねぇ、マツバ」
「あんたも相変わらずねぇ」

爪楊枝を探しながら、コトハは云う。

「もっと西に寄ったらいいじゃない」

コトハはへび呼ロイドを見る。

「なんかこんなのと、旅をしているのなら」

「このへび呼ロイドと云う同僚を探す旅だ」
「スタンプラリー、食い倒れ含む」

「ふぅん」

対等に話していますが、コトハの方が3つ年下です。

「西に寄れと云われても、そう云うわけにはいかないのよ」

マツバは、コーヒーに砂糖を入れる。

「そうだよねぇキコキコ。さっきの気絶とか、」
「私も忙しいから」
「豆の収穫とかな」

へび呼ロイドの言葉を遮るマツバに、
現実的なアヅチ。

マツバはコーヒーに砂糖を入れて、混ぜる。

「こっちも暇だからさ」
「コトハはふらふらしてるからでしょ。勉強しなさいよ」
「勉強嫌いだし」
「そんなんで、今後どうするのよ」

ミルクをコーヒーに入れ、砂糖を入れる。

「マツバ砂糖入れすぎキコキコ」

「今後ねえ、どうしようかしら」
「豆の収穫の手伝いに来るとか?」

アヅチの勧誘。

「ゆっくり考えればいい」

デザートをテーブルに並べながら、マツバの父親が云う。

「話に入ってこないでよ。そして、スプーンないじゃない」

反抗期って怖い。

「私はいつの日か永久就職ね」
うんうん、とコトハは頷く。
「はあ。」
「女子の夢キコキコ」
「兄貴みたいな話題になりだしたな」

アヅチの兄、モモヤ。
そんなだったっけ。

「狩りのあとも、清潔にしてる人がいいわ」

コトハの希望。
自分は狩りに行ってないから、そんなこと云っちゃうコトハ。

「とにかく、清潔できれい好きな人がいいわ」
「あんた部屋汚いじゃない」
「だからよ」
「えー。でも、いたな。なんか風呂に入らないやつ」
「ちょっ! 誰よ」
「えぇえ、いたかなぁキコキコ」

待てよ、と、アヅチはシンキングポーズ(考える人)

最近、誰だったっけ、と
頭を巡らせることが多いね、アヅチ。

「なんか、いたよな。風呂に絶対に入らないってやつ」

「そんな話題あったかしら」
「あぁ、うん。前回の旅のとき」

1週間ぐらい前の話。

「思い出しなさいよ、気になる」
「気になるキコキコ」

うんうん頭をひねらせて、アヅチ。

「あっ、思い出した! 東一族の公衆浴場に寄ったときだ!!」
「えっ、東一族にそんな人がキコキコ!!」
「絶対入らないって云ってた。タツキの方じゃなくて、」
「ええっと、誰だったけ?」
「うーん。誰かいたようなキコキコ」

「でも、云えることがあるわね」

コトハが云う。

「それ、きったな(汚い)!!」




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