どどーん、と
民泊の入り口に卵みたいな形をした
ハンモックチェアが据え置かれる。
「これよ!!!」
まるで幼子に戻ったかのように
嬉しそうに座るマツバ。
「それにしても店主さん?宿主さん?綺麗な人だったな」
やあ、旅人さん。
ワタシと娘の民泊にようこそ!!
我が家のお客様になったからには、
全てに満足して帰っていってもらうつもりだから。
そこの所よろしく!!!!
「顔立ちが整っているというか、
男とか女とかそういうくくりを超越したなにかキコキコ」
「挨拶と同時に食事の仕込みに入って行ったし」
「ええ!!
お客様に出す物に一切の妥協はしない。
それが私のパパよ!!!!」
さぁ、と彼女が立ち上がる。
「そろそろお部屋に案内しましょうか」
「だな、荷物も置いて」
「そして同僚を探しに行くキコキコ」
「………同僚、そうかそうか」
「アヅチ忘れてたでしょキコキコ」
「そんな事はねぇよ!!!
俺はこのオレンジジュースの美味しさにだな。
って、そろそろ行くぞマツバ!!」
行くぞ~、と後ろを振り返るアヅチ。
「おい………マツバ?」
そこには、
まるですべてを投げ打って
全力で試合に挑んだ後、
真っ白に燃え尽きたボクサーの様に座るマツバ。
「マツバ、お前!!」
「まさかキコキコ!!!」
「………酔ったわ」
「ほらぁあああああ!!!!」
「はしゃぎすぎるからキコキコ!!!!」
その頃、マツバの父親は
移動中の馬車の中で、予期せぬ危機を感じ取る。
「嫌な予感が、………これは」
そして口元に手を当てる。
「………酔った」
口元に手を当て、
馬車酔いでぐったりしていた。
「さぁて、3人様。
みなさん同じお部屋で大丈夫?
それとも各々」
「そうねぇ、たまには個室も」
「うおっとおお、同室で!!お願いしますぅキコキコ」
ずささ、とへび呼ロイドが割って入る。
(ここからの会話は小声で交わされております)
「なによ、たまにはいいじゃない」
「そうだな、一応忘れがちだが俺達男女だし」
「いいや!!!
いつ何時敵襲があるかもわからない状況で、
ここは3人同室が適切キコキコ!!」
「敵襲って」
「お前、さては宿代が惜しいんだな」
「ぎくぅうううううう!!!
そんな事はないキコ。おいら安全を思いキコ。
こういうお宿絶対高いとか、
そういう事思ってないキコキコ」
「思ってんだろ!!!」
「いいじゃない、たまには個室で良い雰囲気の
アロマでオイルで、石鹸とか良い物で、
お風呂に花びらとか、なんか泡泡のお風呂に入るのよ!!!!
いい!!?あんた達同室だったら同じ目に合わせるからね。
フローラルでアロマーな香りに包まれるのよ」
「だから、落ち着けよマツバ」
俺、スウィートジャスミンとかの香りをただよわせるのか、と
思いながらアヅチはお宿のお姉さんの後をついていく。
「うーん、とりあえずお部屋をみて決める?」
さあどうぞ、と
お姉さんが部屋のドアを開ける。
綺麗に掃除された部屋はもちろん、
整えられたリネンのシーツ。
淡く香るアロマの香り。
落ち着いた色合いで整えられているが
邪魔しすぎず部屋を彩るように花が生けられている。
置かれているアメニティも
こだわり抜いた一品。
「あら、見て。
パジャマもおしゃれな」
置いてある衣類を手に取り広げつつも
くるりと後ろに振り返るマツバ
が、くる~り、と振り返るその時に
ふと視界の端に移る白い何か。
ふわふわと浮かぶそれは
あら、なにかしら
こじゃれたリースのカーテンかな、と
目を向ける。
そこには。
くえくえくえくえ。
「ふあああああああ!!!」
「同僚!!!!」
「出たぁああああああキコキコ!!!!」
窓いっぱいに張り付く
それはへび呼ロイドの同僚達。
「あらあ」
谷一族のお姉さんがハエたたきを取り出す。
「もう、毎日これなのよ。
光に呼び寄せられるのかしら」
そんな秋に発生するカメムシみたいな。
NEXT
民泊の入り口に卵みたいな形をした
ハンモックチェアが据え置かれる。
「これよ!!!」
まるで幼子に戻ったかのように
嬉しそうに座るマツバ。
「それにしても店主さん?宿主さん?綺麗な人だったな」
やあ、旅人さん。
ワタシと娘の民泊にようこそ!!
我が家のお客様になったからには、
全てに満足して帰っていってもらうつもりだから。
そこの所よろしく!!!!
「顔立ちが整っているというか、
男とか女とかそういうくくりを超越したなにかキコキコ」
「挨拶と同時に食事の仕込みに入って行ったし」
「ええ!!
お客様に出す物に一切の妥協はしない。
それが私のパパよ!!!!」
さぁ、と彼女が立ち上がる。
「そろそろお部屋に案内しましょうか」
「だな、荷物も置いて」
「そして同僚を探しに行くキコキコ」
「………同僚、そうかそうか」
「アヅチ忘れてたでしょキコキコ」
「そんな事はねぇよ!!!
俺はこのオレンジジュースの美味しさにだな。
って、そろそろ行くぞマツバ!!」
行くぞ~、と後ろを振り返るアヅチ。
「おい………マツバ?」
そこには、
まるですべてを投げ打って
全力で試合に挑んだ後、
真っ白に燃え尽きたボクサーの様に座るマツバ。
「マツバ、お前!!」
「まさかキコキコ!!!」
「………酔ったわ」
「ほらぁあああああ!!!!」
「はしゃぎすぎるからキコキコ!!!!」
その頃、マツバの父親は
移動中の馬車の中で、予期せぬ危機を感じ取る。
「嫌な予感が、………これは」
そして口元に手を当てる。
「………酔った」
口元に手を当て、
馬車酔いでぐったりしていた。
「さぁて、3人様。
みなさん同じお部屋で大丈夫?
それとも各々」
「そうねぇ、たまには個室も」
「うおっとおお、同室で!!お願いしますぅキコキコ」
ずささ、とへび呼ロイドが割って入る。
(ここからの会話は小声で交わされております)
「なによ、たまにはいいじゃない」
「そうだな、一応忘れがちだが俺達男女だし」
「いいや!!!
いつ何時敵襲があるかもわからない状況で、
ここは3人同室が適切キコキコ!!」
「敵襲って」
「お前、さては宿代が惜しいんだな」
「ぎくぅうううううう!!!
そんな事はないキコ。おいら安全を思いキコ。
こういうお宿絶対高いとか、
そういう事思ってないキコキコ」
「思ってんだろ!!!」
「いいじゃない、たまには個室で良い雰囲気の
アロマでオイルで、石鹸とか良い物で、
お風呂に花びらとか、なんか泡泡のお風呂に入るのよ!!!!
いい!!?あんた達同室だったら同じ目に合わせるからね。
フローラルでアロマーな香りに包まれるのよ」
「だから、落ち着けよマツバ」
俺、スウィートジャスミンとかの香りをただよわせるのか、と
思いながらアヅチはお宿のお姉さんの後をついていく。
「うーん、とりあえずお部屋をみて決める?」
さあどうぞ、と
お姉さんが部屋のドアを開ける。
綺麗に掃除された部屋はもちろん、
整えられたリネンのシーツ。
淡く香るアロマの香り。
落ち着いた色合いで整えられているが
邪魔しすぎず部屋を彩るように花が生けられている。
置かれているアメニティも
こだわり抜いた一品。
「あら、見て。
パジャマもおしゃれな」
置いてある衣類を手に取り広げつつも
くるりと後ろに振り返るマツバ
が、くる~り、と振り返るその時に
ふと視界の端に移る白い何か。
ふわふわと浮かぶそれは
あら、なにかしら
こじゃれたリースのカーテンかな、と
目を向ける。
そこには。
くえくえくえくえ。
「ふあああああああ!!!」
「同僚!!!!」
「出たぁああああああキコキコ!!!!」
窓いっぱいに張り付く
それはへび呼ロイドの同僚達。
「あらあ」
谷一族のお姉さんがハエたたきを取り出す。
「もう、毎日これなのよ。
光に呼び寄せられるのかしら」
そんな秋に発生するカメムシみたいな。
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