TOBA-BLOG

TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」49

2018年03月06日 | 物語「約束の夜」

「そこにちょっと座りなさい」

ミツグが腕を組み言う。

「えぇえ」
「砂に直接座りたくない」
「待って、俺
 変な体勢で座ってたから
 筋が違えたかもしれない」
「そう言う時は
 逆に曲げたら良いんじゃない?」
「やめろ、ひっぱるな!!」

すぅっと、ミツグが息を吸い込む。

「いいから!!
 お前ら正座あああああ!!!」

カッ!!!

砂浜にぴしりと三人は正座する。

「さっき、裏一族が大切なことを言っていたが
 誰か聴いていたか?」

「「「………」」」

大事な事って何、という表情を
それぞれが浮かべる。

「具体的に言うと、
 裏一族の拠点だが、どうだ?」

「「「………」」」

「ほら見ろ!!!」

そういう緊張感の無さがうんぬん、と
ミツグが説教をはじめる。

「じゃ、じゃあ!!
 ミツグは聴いていたの?」

怖いもの知らずの京子が
逆質問をする。

「お前達がそれぞれに喋っていたから
 ほとんど何も
 き、こ、え、な、か、っ、た!!!」

「「「すみませんでした」」」

「かすかに聞こえたのは『ま』、だな」

ま、という事は、と
満樹が首を捻る。

「一族の名前で
 その響きがあるのは、山一族か」
「可能性があるのは、そこだな」

「『マジで、ここから近いよ』の
 ま、かもよ」
「『満樹のお家』の、ま、かもよ」

最終決戦が実家になりそうな
ツイナと京子の発言をスルーして
満樹が言う。

「となると、次に向かうのは
 山一族の村か」

裏一族はもうこの村には居ないだろう。

「私も行くわ!!
 とりあえず、お兄ちゃんの情報を
 美和子から聞き出さないと」
「京子はとりあえず西一族の村に帰った方が
 良いんじゃないか?」
「西に帰るなら、
 山一族経由の方が近いもの」
「旅費、あるのか?」
「ぐふう!!」


「俺も、行こうかな」


ぽつり、とツイナが言う。

「ツイナも??」
「別に、構わないが」

「止めておけ、あからさまな罠だぞ」

ミツグが止める。

「でも俺の生まれの事が分かるのなら」
「だが、」
「いつかははっきりさせたいって
 思っていた事だし」
「俺は村の守りがあるから
 ついて行けないぞ」
「満樹や京子がいるから大丈夫」
「………そう、か」

ざざーん、と
波がよせてはかえす、夕日の砂浜。

「ええっと」

数話前に司祭を呼びに走った海一族のトーマ。
帰って来たら急に感動の最終回みたいになって居る。

なんぞこれ?と問いかける司祭に
トーマは答える。

「新章突入ってやつですかね?」



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