「お、」
「おいぃいい!?」
同僚(分子)たちをまとったまま、アヅチは扉を叩く。
「お前、ちょっ、開けろや!!」
「うちの水を大量に使われて、困るわ~」
「誤解だろ!」
「きれいなお水がないと、お薬作れないよ~」
「お前!!」
「世のため人のため、お薬を作ってる砂一族なのに~」
「話聞けよ!」
アヅチは、がしゃがしゃと扉を揺する。
一方
フワはにこにこと手を振る。
「こうなったら!」
あ。こんなところで、アヅチの活躍か??
「――せよ、い――、の、~~なる」
アヅチ、早口呪文中。
(呪文は、都合により、ぼんやり表記です)
「あら? 何、魔法?」
「それ!! 部屋ごと吹っ飛べぇええええ!!」
ど
どどど
どどどどどーーーーーん!!
爆風!!!
ど
どどど
どどどどどーーーーーん!!
――だが
――――しかし
部屋、無事!
無事じゃないのは、部屋の中にいる3人だった。
「・・・アヅチぃ」
「・・・あんたね」
3人は、噴煙で真っ黒になり
よくあるコントみたいに、髪の毛ボーン、だった。
「ばかね~」
隠れていたフワが、再度、窓から顔を出す。
「ここは、あの東一族専用のお部屋(牢)よ」
手をパタパタ振り、フワは煙を払う。
「そう簡単に壊れないし♪」
「げほげほっ」
「ちょっ、すごい煙っ」
「自業自得!」
「お前っ!!」
「まあ、待ってなさいよ」
フワはニコニコする。
「もうすぐお昼だから、ランチを差し入れしたげる♪」
じゃあね~
と、フワは姿を消す。
「・・・行っちゃった」
へび呼ロイドは、ふたりを見る。
「ふたりとも大丈夫!?」
「大丈夫なもんか!」
「それは、アヅチがむやみに魔法を使うからぁ」
「なんだってぇ!」
「・・・まあ、冷静に考えなさいよ」
見ると、髪の毛ボーンのマツバは部屋(牢)の隅に腰かけている。
「まず、・・・」
マツバは、きっと目を細め、
「あんたら並べ!!」
その瞬間
アヅチの周りにいた分子たちは、さっと整列する。
マツバの・・・尋問がはじまる!
「あんたら、ここの水飲んだの?」
ぴ、ぴぎゃあ・・・
(訳:はい、飲みました。)
「同僚たちよー!!」
へび呼ロイドは、涙でキコキコする。
「なんで、飲んだの!!」
ぴぎゃぴぎゃぴぎゃあぁああ
(訳:なぜなら、砂漠は日差しが強く、喉が渇くからです。)
「我慢しろよ!!」
ぴぎゃっぴぴぴぎゃっ
(訳:我慢が出来るだろうか、いや、出来ない。)
「お前らなぁ! 人のもの勝手にとっちゃダメだろ!?」
「アヅチ!」
マツバが一喝する。
「恩人たちにクレームを出さない!!」
「おっ、!!?」
「今、こいつらを責めていいのは、私だけよ!!」
「・・・マツバ」
「様・・・」
いやいや!
と、アヅチはツッコむ!
「そもそも、なぜ、俺がこんな目に!」
「なぜですって?」
マツバはさらに目を細める。
「夢幻章伝25をご覧なさい!」
出番のためだったのか
それとも
目立ちたかったのか
東一族の少年たちの作業の中
畑の中心に立ってしまい
結局は、邪魔をすることになり
一緒に一掃された、
「俺・・・」
「でしょ!?」
マツバは立ち上がる。
「そもそも原因はあんたよ!!」
以上、GW明けの回想も含んでみました。
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