ふと、圭は顔を上げた。
なんだろう、
心なしか、外が騒がしい。
「……狩りの日でもないのに」
外に出るが、
それだけでは何があっているのか判断がつかない。
ただ、村が浮き足立っていて落ち着かない。
そんな感じだ。
通りすがった村人に尋ねる。
顔つきから何か知っているようだった。
「……何かあったんですか?」
「あぁ、圭か。
大変なことになったぞ」
村人は、息を切らせて言う。
「広司がしでかしてくれた」
「しでかした、て、何を」
「他の一族の女を連れてきたんだ!!」
よほどの事なのか、村人の説明もおぼつかない。
「え?」
「連れ去ってきたと言うことだ。これは、まずいぞ」
圭ですら、相手の動揺が分かった。
他民族。
村全体が慌てるほどの相手。
「東……一族?」
「分からん、だが、見たやつの話では黒髪だったらしい」
そこまで言うと、村人は別の村人の元に駆けていった。
彼自身少しでも情報を得たいらしい。
そこには圭だけが残される。
「まさか」
いや、と圭は自分に言い聞かせる。
黒髪は他民族にも居る。
何も東一族だけではない。
けれど
「……違うよな、杏子」
NEXT 24
なんだろう、
心なしか、外が騒がしい。
「……狩りの日でもないのに」
外に出るが、
それだけでは何があっているのか判断がつかない。
ただ、村が浮き足立っていて落ち着かない。
そんな感じだ。
通りすがった村人に尋ねる。
顔つきから何か知っているようだった。
「……何かあったんですか?」
「あぁ、圭か。
大変なことになったぞ」
村人は、息を切らせて言う。
「広司がしでかしてくれた」
「しでかした、て、何を」
「他の一族の女を連れてきたんだ!!」
よほどの事なのか、村人の説明もおぼつかない。
「え?」
「連れ去ってきたと言うことだ。これは、まずいぞ」
圭ですら、相手の動揺が分かった。
他民族。
村全体が慌てるほどの相手。
「東……一族?」
「分からん、だが、見たやつの話では黒髪だったらしい」
そこまで言うと、村人は別の村人の元に駆けていった。
彼自身少しでも情報を得たいらしい。
そこには圭だけが残される。
「まさか」
いや、と圭は自分に言い聞かせる。
黒髪は他民族にも居る。
何も東一族だけではない。
けれど
「……違うよな、杏子」
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