浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ヴァーツラフ・ターリッヒによるスクの弦楽セレナード

2008年08月26日 | 指揮者
長らく宇宙に旅に出てゐて、今日は久しぶりに我が家で音楽を聴いてゐる。今日は日曜日だっただらうか(西暦何年なのかも分からなくなってゐる)、気持ちよく晴れた秋を感じさせる朝だ。朝に相応しい、爽やかで美しいスクの弦楽セレナードを取り出して聴いてゐる。

ドヴォルザークの娘を嫁にした油断もすきもない弟子、ヨゼフ・スクは提琴家ヨゼフ・スークの祖父でもある。このことから、提琴家スークはドヴォルザークと血の繋がった曾孫の可能性が高い(ドヴォルザークが養女をとったり、スクが養子をとった可能性は否定できない)。スクがどうしてスークになったかについても、未だはっきりとした原因は分かってゐないが、スペルが同じことは原因究明の大きなヒントになるかも知れない。

指揮をしてゐるターリッヒは、フルトヴェングラーと同時代のチェコの指揮者であり、ストックホルムフィルとチェコフィルを世界に通用する名管絃團に育てた功績は大きい。僕にとっては、特に気に入った演奏の無い指揮者ではあるが、ニキッシュの弟子であったり、1903年の伯林フィルのコンサートマスターを務めたといふ彼の経歴は興味をそそる。一方では、今日のスクの弦楽セレナードのやうな少々マイナーなお国物を当時から積極的に紹介してゐたといふ。

チェコといふ洗練されてゐない素の状態が聴ける貴重な録音の一つだと思ふ。現代のオーケストラはどこの国の演奏を聴いてもさほど違いが無く、平均的な水準で楽しめるやうにはなった。しかし、民族色の無いつまらない演奏にちょっと嫌気のさした方も多いことだらう。さういった方にはお勧めできる演奏だ。

私家版SP復刻CD 765-0033OR 。


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