浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

メンゲルベルクの管弦楽組曲第2番 1939年ライブ

2007年07月13日 | 指揮者
今回、バッハの管弦楽組曲第2番をメンゲルベルクのライブ演奏で初めて聴く。1931年6月2日のスタジオ録音はSP盤で聴き親しんだレコヲドだが、拍手入りの正真正銘のライブ演奏で、戦前のアムステルダムにタイムスリップだ。

1939年と言へば、あの伝説的なマタイ受難曲と同年のライブである。この日の演目の全ては知らないが、カンタータ第202番と洋琴協奏曲第5番はCD化されてゐて聴くことができる。

メンゲルベルクのライブでは必ず聴かれるタクトで譜面台を二度叩く音から始まる。メンゲルベルクのバッハは管絃樂組曲のやうな世俗的な内容の作品でも受難曲のやうに聴こえてしまふから不思議だ。フルートの独奏もなかなか素晴らしいが、なんと言ってもよく統率された弦楽群のアンサンブルが最高の聴きどころだ。きびきびとした動きと絶妙のセンスでかかるポルタメントを聴くことができるだけで幸せを感じる。本当に、弦楽だけでこれだけのうねりを生み出すメンゲルベルクといふ指揮者の力は大変なものだと思ふ。演奏終了後、聴衆は静かに拍手を送ってゐる。僕も演奏会に同席させてもらったやうな感覚になり、心が満たされる。

盤は、英國Archive DocumentsによるリマスタリングCD ADCD.112。


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