浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ブルックナー 作品群から除外された交響曲第00番「ヌルヌル」

2010年09月23日 | 忘れられた作品作曲家
先日の交響曲第0番に続いて第00番を聴いて祝日の朝を寛いでゐる。此の番号も野球選手の背番号のやうで裏話が有りそうだが特に面白い話は無い。独逸語で0を「ヌル」と云ふ。だから僕は此の作品を「ヌルヌル」と呼んでゐる。

半音でうねるやうな低絃に新しい希望が見えて来るやうな上昇音型が重なって感動を予感させる場面も寸止めに終わり、牧歌的なファゴットの独奏も其の気分に浸る間も無く、さまざまな要素が入り乱れる。しかし、凡人には考えの及ばないやうな一つの大きな塊が存在感を見せてくる。此処がブルックナーの魅力でもある。

第0番ほどの感動は無いが、大作曲家の手になる作品には、必ずそれだけの得るものがあって、詰らぬ流行作家の三流作品を聞くよりかはずっと時間を有効に使ったことになる。僕は此の考えに基づいて、大作曲家の埋もれた作品を探し続けていきたいと思ってゐる。

演奏はザールブリュッケン放送交響樂團の演奏で、これまた前回に続き独逸國の放送局のレベルの高さを痛感させられる。指揮はポーランド出身の作曲家でもあるスクロヴァチェフスキである。此の指揮者との出会いは古く、米國に家族で住んでゐた時に買ったショパンの協奏曲のLP盤(写真下)が其れである。しかし、ルビンシュタインの洋琴ばかりを聴いてゐたため、正直申して指揮者のことは何も印象には残ってゐないのである。

盤は、国内BMGのCD BVCO-38004。


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