浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

秋の夜長はマシューズの甘い歌声とともに

2012年09月06日 | 芸能
秋らしい空気が感傷的な気分にさせるこのやうなときは蓄音器で女性ジャズシンガーの歌声が無性に聴きたくなる。1934年の「エバーグリーン」で一躍有名になったジェシー・マシューズはお気に入りの女優の一人だが、"Dancing On The Ceiling"を取り出して聴いてゐる。

実際に此の時代の映画をスクリーンで観たことがない僕には、いつか赤い絨毯を敷き詰めた古めかしい映画館で映写機のカタカタいふ音を聞きながらマシューズの茶目っ気たっぷりの演技や歌を観てみたいと思ってゐる。其のやうな光景を思ひ浮かべながらエバーグリーンの中の1曲、"Dancing On The Ceiling"を何度も繰り返し聴いてゐる。

夏が終わり近所の悪ガキたちやクマゼミの声も消え、虫たちは産卵を終えたものから順に死んでゆく。今年も2000m級の山や離島にオサムシを採集に行ったり、珍しいカミキリムシの潜む渓谷に何度も足を運んだ夏だった。暑いのは苦手と文句を言いながらも、秋の訪れを感じると寂しい気分になる。勝手なものだと自分でも呆れる。

昨年、天狗高原にご一緒させていただいたK氏がお礼にと送ってくれたラム酒「ルリカケス」をロックで頂きながらひと夏の想い出のシーンを振り返ってゐる。何かの心の区切り目にはいつも女性シンガーの甘い声に癒されてきた僕だが、久々の美声に心が震える感じだ。明日もどこかに仕舞い込んだマシューズのアルバムを探し出して、続けて聴きたくなってきた。



盤は、英國Pavilion RecordsによるSP復刻CD PASTCD7016。


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