浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

休日の朝 ピエルネのクラリネット小品でお目覚め

2009年05月30日 | 忘れられた作品作曲家
クラリネットの上昇形のアルペジオで軽やかに始まるこの名曲は、クラリネット奏者の間では有名なショウピースだが一般にはそれほど知られてゐない。久々に時間のゆとりを持つことのできた休日の朝などにはぴったりの曲だ。

暫く慌しい日々が続き、止めてゐた煙草も復活してしまった。実は豚インフルエンザに感染してホテルに10日間隔離されることを密かに祈ってゐたが、その祈りも通じず僕はただの鼻風邪、嫁さんは貧乏症、息子は嘔吐下痢症といふ診断で、ウイルス感染はパソコンだけであった。そのやうな訳で帰宅して仕事に戻らねばならなくなった僕は、毎日、とっくに締め切りの過ぎ去った仕事に禿げんでゐた。憂鬱な気分の数週間が終わり、やっと休日がやってきた。今日は朝から畑仕事をし、仕事部屋に入って音楽をかけ、発表原稿を書いてゐるふりをしてゐる。

今朝の音楽は、仏蘭西のエスプリを堪能できる小品で、たったの5分で心が晴れやかになる。クラリネットの幅広い音域をアルペジオで駆け回るタッチの軽い作品だが、何度も繰り返される旋律は親しみ易く、洋琴が弾いても実に洒落てゐる。伴奏もピアニスティックでピアニカでは演奏できそうにない。ピエルネにとって比較的初期の作品のやうである。

演奏は、武満徹等の作品を世に送り出してきた森田利明のクラリネットと村武の洋琴伴奏によるもので、残念ながら市販されてゐない。

盤は、私家版CD-R F0246。


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