浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

Furtwanglerを偲ぶ【第4話】1951年10月29日の演奏会 ブルックナー第4交響曲

2008年11月30日 | 指揮者
僕が高校生の頃、フルトヴェングラーのブルックナーの第4番とシューマンの第1番といふそれまでは聴くことのできなかった作品が一度に2つも発売され驚いたものだ。しかも、学生の手の届く1200円の廉価盤だったので喜びも一入だった。

今日はフルトヴェングラーの54回目の命日だ。たまたま日曜日で仕事も無いので、1951年10月29日のミュンヘンの演奏会を自宅の音楽室で再現して、フルトヴェングラーを偲ぶことにした。演目は、「コリオラン」序曲、シューマンの「春」、ここで休憩を入れてブルックナーの第4番といふ内容である。

亡くなる3年前の1951年はフルトヴェングラーにとって、失われた戦後の2年と4ヶ月間を取り戻すかのやうな過密スケジュールが組まれ、昨日取り上げた伯林フィルとのエジプト演奏旅行に続き、秋には維納フィルハーモニーとの独逸国内の演奏旅行など、欧州内を飛び回って多くのライブ録音を残してゐる。

後に、この演奏会の1週前の10月22日、シュツットガルトに於けるブルックナー第4番のライブもDGGから発売された。その間の10月27日には、フルトヴェングラーが単身、ハンブルグに乗り込んで、北独逸放送響とのあの伝説的な名演奏、ハイドンヴァリエイション、二重協奏曲(何故かこの曲だけレコヲド化されてゐないやうだ)、ブラームス第1番を振ってゐる。

フルトヴェングラーのブルックナーに関してはいろいろと語る人が多いが、ベートーヴェンにしてもブラームスにしてもフルトヴェングラーの解釈は他の指揮者とは全く異なる。しかし、ブルックナーとなると突然、これはフルトヴェングラー色が付きすぎてゐるといふ論調に変わってしまふのは何故だらう。バッハのことについてはそれほど言わないことも併せると、僕は不思議でならない。フルトヴェングラー独特の解釈を聴きたくて彼のベートーヴェンやブラームスを聴く人が、ブルックナーについてはこれはブルックナーではなくフルトヴェングラーの音楽だと騒ぐから滑稽だ。

版の選択に関する問題も多分に含まれてゐるのだらうが、僕はフルトヴェングラーのブルックナーもとても好きだし、彼の振ったベートーヴェンやブラームスと同じくらいの感動を覚える。

久々にフルトヴェングラーのライブを堪能したが、この演奏会はどうしてこれほどまでに会場のノイズが多かったのか、ちょっと不思議なくらいうるさい。

盤は、国内初出のLP盤、キングレコードMZ5121と5122、伊太利亜VirtuosoのCD 2697372。

ブルックナー:交響曲第4番《ロマンティック》改訂版
フルトヴェングラー(ウィルヘルム)
delta classics

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