国会議員が好きな土地はどこ?

国会議員はやはり江南が好きだった。2011年11月現在、在籍国会議員295人の内、江南・瑞草(ソチョ)・松坡(ソンパ)‘江南3区’に不動産を保有している議員は93人だった。国会議員3人中1人(31.5%)が江南に不動産を保有しているわけだ。

江南不動産富者1位はパク・ヒテ国会議長(ハンナラ党)だった。パク議長は江南・瑞草区だけで74億ウォン相当の店舗と一戸建て住宅などを保有している。全北(チョンブク)全州(チョンジュ)完山区(ワンサング)甲を国会議員選挙区とするシン・ゴン民主党議員がその後に続いた。シン議員はソウル江南区、新沙洞(シンサドン)に18億ウォン相当のテラスハウス一戸、瑞草区、瑞草洞に土地313.6㎡を保有しており江南・瑞草区だけで53億ウォン分の不動産を保有している。

シン・ゴン議員は江南の他にも全国各地に不動産を保有していた。 シン議員は京畿道(キョンギド)龍仁市(ヨンインシ)、器興区(キフング)に10億ウォン相当の林野2605㎡、江原道(カンウォンド)、平昌郡(ピョンチャングン)に1億ウォン相当のアパート1戸と2億1800万ウォン相当の土地・河川3万6419㎡を保有している。 シン議員は済州市(チェジュシ)にも公示地価1億9千万ウォンに及ぶ田 5123㎡、仁川(インチョン)、富平区(プピョング)には1億6700万ウォン相当の商店1軒を保有していて不動産保有においては地域を越える面目を示した。

江南に保有した不動産金額が高い議員3位はハンナラ党キム・セヨン議員だった。キム議員はソウル、瑞草区、瑞草洞にアパート1戸を持っているが、その価格が39億2800万ウォンに達し‘江南土地富者議員’ 3位を記録した。キム・セヨン議員は釜山の企業である東一ゴムベルト代表理事を務めた企業家で今でも最大株主だ。キム議員は瑞草区のアパートの他にも釜山、東莱(トンネ)・海雲台区(ヘウンデグ)、慶南(キョンナム)梁山市(ヤンサンシ)などに117億ウォン相当の不動産を保有しており、不動産保有金額合計では国会議員の中で2位だ。

次いでイ・サチョル ハンナラ党議員が瑞草区、方背洞(パンベドン)に8億8千万ウォン相当のテラスハウス1軒、瑞草区、盤浦洞(パンポドン)に27億ウォン相当の店舗1軒、瑞草区、方背洞に2億3千万ウォン相当の土地49.9㎡など総額38億ウォン余の不動産を瑞草区だけで所有していた。

仁川、中区、中山洞(チュンサンドン)の土地も特別だった。アン・サンス ハンナラ党議員、キム・ヒョソク民主党議員、イ・サングォン ハンナラ党議員など3人のハンナラ党議員が仁川、中区、中山洞近隣の‘遊園地’の敷地を共に保有していた。アン・サンス ハンナラ党議員は1989年にこの地域の不動産1157㎡を買い取り現在まで保有している。この土地は公示地価で2億5千万ウォンで昨年に比べて2千万ウォンほど価格が上がった。キム・ヒョソク民主党議員もほぼ同じ時期の1988年に6人と共に2616㎡を買いとった。この土地の現在の公示地価は4億5千万ウォンだ。 イ・サングォン ハンナラ党議員は2001年債務の返済を受ける形式で仁川市、中山洞1832-16番地の土地827㎡を受け取った。

彼らが中山洞の土地を購入した時期は永宗島(ヨンジョンド)が1990年仁川国際空港最終候補地として公式発表される直前だ。永宗島Ｓ不動産関係者は「永宗島が1989年に京畿道から仁川市に編入されて注目され始め、この時から不動産投機者などの注目をあび始めた」として「1988～1989年代には坪当たり10万～15万ウォン台だったが、今は坪当たり60万ウォンの値をつけており、その時に土地を買った人間はかなり多くの開発利益を得ただろう」と話した。

一方、チョン・オギム ハンナラ党議員は李明博大統領が当初退任後に私邸敷地として土地を買い取り話題を集めたソウル、内谷洞(ネゴクトン)に不動産を保有している。チョン議員は1985年6人と共にこの土地2999.45㎡を買い取り現在まで所有している。

北韓 住民 3人中2人、食事を欠かす

食糧不足により北側住民の3分の2が一週間に一食以上を抜いたり、半数以上は食事の度に食事量を減らしていると国際機構が明らかにした。
国連食料農業機構(FAO)と世界食糧計画(WFP)は最近‘作物状況と食糧安保評価報告書’で北側住民たちが食事の回数と量を減らすと同時に、減った食事量を補うためにご飯に水をかけてふくらませて食べる場合も多いと明らかにしたと<米国の声>放送が29日報道した。

報告書は北韓の大部分の家庭がご飯以外に野菜と味噌、醤油などでなされた簡単な食卓を整え、農産物だけでは食糧が不足するためナムル、ドングリ、朝鮮松の実、キノコ、ワカメのような自然食品を掘ったり取ったりして食糧として用いていると明らかにした。また、直接農作業を行う農村地域より都市地域の食糧問題が深刻で、都市に居住する住民の90%以上が協同農場にいる親戚から食糧を支援されていることが明らかになった。 都市の親戚らを助ける中で農村住民たちの食料事情も同時に悪化していると報告書は伝えた。

韓国も「橋下旋風」？ 脱既成政党が人気、大統領選影響か

大阪の市長・知事選における大阪維新の会の勝利が、韓国で来年、行われる国会議員選挙（４月）や大統領選（１２月）にも影響を与えそうだとして大きな関心を集めている。

　理由は韓国でも先ごろ行われたソウル市長選で既成政党の公認を断った無党派候補が当選、大統領選に向けても既成の与野党に属さない非政治家の若手知識人が有力候補として急浮上しているからだ。

　韓国メディアは２９日、大阪維新の会の橋下徹代表が大阪市長に当選したことをいずれも大きく伝えているが、とくに東亜日報は１面のほか、特集記事で「第３勢力の改革津波、日韓の政局に同時押し寄せ」などと大々的に報じている。

　韓国で次期大統領候補として世論の期待が急上昇しているのは、政界とは無関係だった安哲秀・ソウル大教授（４９）＝次世代融合技術研究院長＝で、最近の世論調査では支持率トップに躍り出ている。

　政界やマスコミは、安教授を中心にした革新勢力による「新党誕生」に関心を集中させており、とくにこれまで各種世論調査で次期大統領候補として終始、支持率トップを走ってきた与党・ハンナラ党の朴槿恵・元代表（５９）や保守勢力を緊張させている。

　弁護士出身の橋下氏に対し安教授は医学部卒後、情報工学や情報ビジネスを学び“情報保護”の専門企業の立ち上げで成功した最先端マルチ知識人。若者向けのトークショーで人気を集め、若者世代の偶像になっている。

　ソウル市長選で革新系無所属の市民運動家、朴元淳氏が当選したのも安教授が支持した結果といわれ、今や与野党とも安教授の言動に一喜一憂の状況だ。

　東亜日報の１面記事の見出しは「“日本版・安哲秀”のハシモトが既成政治に一発食わす」としているが、中央日報は「第３勢力では似ているがハシモトは政策で勝負」と伝え、人気先行で政治的政策は未発表の安教授に批判的だ。

　一方、左派系のハンギョレ新聞は「国家主義的色合いの日本政治の問題人物」とこちらは橋下氏に批判的。革新系や左派に人気の安教授とは対照的に“保守改革派”の橋下氏には戸惑いもうかがわれる。

KARA、ベストドレッサー＆オリコン週間1位

　ガールズグループKARAにとって、この年末は受賞に記録にとうれしいこと尽くしとなった。

 

　KARAは30日午後、セルリアンタワー東急ホテル（東京都渋谷区）で開催される「2011年ベストドレッサー賞授賞式」で、韓国の芸能人としてはペ・ヨンジュンに続き受賞することが分かった。

 

　ペ・ヨンジュンは2004年に同賞を受賞している。KARAはペ・ヨンジュンと同様、インターナショナル部門での受賞だ。授賞式には番組収録やドラマ撮影が予定されているスンヨンとジヨンを除き、ギュリ、ハラ、ニコルが出席する。

 

　また、KARAが23日にリリースした日本での2ndオリジナルアルバム『スーパーガール』は発売初週のオリコンランキングで1位になり、売り上げも27万5206枚と海外女性グループとしては過去最高記録を塗り替えた。

 

　アルバムでオリコン1位になるのはKARAにとっても初めてのことだ。

KARAジヨン、韓日合作ドラマのヒロインに

　KARAのメンバー、ジヨンが韓日合作ドラマ『レインボーローズ』（仮題）への出演を決めた。

 

　所属事務所DSPメディアの関係者は29日、スターニュースの電話取材に対し、「ジヨンが『レインボーローズ』にヒロインとして出演する。現在、韓国で撮影に励んでいる」と伝えた。

 

　同氏によると、11月初めにクランクインしていたが、細かい部分の調整が必要だったので、明確なことが言えなかったという。

 

　同ドラマは、来年4月に放送予定の青春ラブストーリー。ジヨンは日本活動で築き上げた高い知名度を生かし、このドラマ出演のオファーを受けたという。

性犯罪を専門に担当、韓国唯一の女性裁判部

　先月、初公判を受けるため法廷に入ってきた30代の男性被告は、裁判官たちを一目見ると驚いた表情を浮かべた。裁判長席とその左右に座っていた裁判官3人が全て女性だったからだ。性的暴行の罪で起訴された被告は、面食らった様子で3人の裁判官を見回し、席に着いた。裁判の間中、被告は緊張した面持ちを崩さなかった。

 

　「全員が女性裁判官なので、自分に不利な判決が出るかもしれないと心配している様子だった。法廷に入ってきて驚く男性の被告は多い」

 

　3人は、裁判官の大半は男性だと思い込んでいる事件関係者が、自分たちを見て不思議な顔をしたり、驚くケースが多いと話す。「被告たちは嫌でしょうね。言いたいことも言えず」。パク・スンヘ裁判官（30）の言葉に、裁判官たちは笑い声を上げた。

 

　3人の裁判官は、大邱地裁金泉支院（慶尚北道金泉市）の合議部に所属するソ・ギョンヒ支院長（49）、リュ・ギョンウン裁判官（31）、パク・スンヘ裁判官だ。今年初め、ソウルで勤務していたリュ裁判官とパク裁判官が金泉支院に異動になり、全国で唯一の女性裁判部が誕生した。

　28日午前、金泉支院で会った3人は、自分たちが全国の裁判所で唯一、女性裁判官だけで構成された合議部だと知ると「本当に？」と目を丸くした。ソ支院長は「支院の裁判官9人のうち6人が女性ということもあり、年次ごとに配置したところ、こういう構成になった。部長裁判官の中に女性が少ないため、最近になって初めて女性だけの裁判部ができた」と説明した。現在、全国の裁判官2610人のうち女性裁判官は670人で、25.7%を占める。

南シナ海問題に各国介入、中国をけん制

　「南シナ海の航海の自由は、米国の国益にかなう」「欧州連合（EU）としては難しいことだが、喜んでバランサーの役割を果たす」―。南シナ海問題が中国と東南アジア諸国連合（ASEAN）加盟国の一部との局地的な領有権争いから世界的問題へと急浮上している。

 

　「アジアへの復帰」を宣言した米国は、オーストラリアに海兵隊を駐屯させるなど、南シナ海での制海権を強化しており、欧州連合（EU）も紛争が激化した場合、介入も辞さない姿勢を示している。インドや日本もベトナム、フィリピンとの軍事・経済面での協力を拡大し、中国に対するけん制に乗り出している。ロシアとオーストラリアは、東アジア・サミット参加、米軍への基地提供という形で問題に関与し始めた。

 

　専門家の間では、南シナ海が今後、世界の列強の争う場となるとの見方が示されている。ロバート・カプラン米国防総省国防政策委員は最近、外交専門誌『フォーリンポリシー』への寄稿で「21世紀の戦争は海から起きる。南シナ海が冷戦時代のドイツのように、数十年間にわたり最前線になる」と指摘した。

 

■資源をめぐる数十年の紛争

 

　台湾海峡からマラッカ海峡に至る南シナ海は、面積が350万平方キロに及ぶ広大な海域だ。ベトナム、フィリピン、インドネシア、マレーシア、ブルネイのASEAN5カ国は、1970年代から中国と同海域の西沙諸島（パラセル諸島）、南沙諸島（スプラトリー諸島）の領有権をめぐり、対立を繰り広げてきた。74年には中国とベトナムの軍事衝突も起きた。

 

　中国は、歴史的にこの海域は中国の領海だと、主張している。その範囲は南シナ海の面積の86％に相当する300万平方キロに達する。これに対し、ASEAN5カ国は国際海洋法に基づき、200カイリの排他的経済水域（EEZ）を主張している。西沙諸島と南沙諸島の島と岩礁に対する所有権の主張も入り乱れている。紛争の背景には、海底に眠る膨大な資源がある。中国は南シナ海に230億トンの石油、7500立方キロの天然ガスが埋蔵されていると推定している。

「開発途上国は韓国の発展モデルを手本にすべき」

　世界160カ国の政府、議会、国際機関、市民団体の代表3000人余りが出席して行われる「釜山・援助効果向上にかかるハイレベル・フォーラム（釜山ハイレベル・フォーラム）」で、開発途上国は韓国の発展モデルを手本にすべきとの声が上がった。

 

　釜山で29日に開幕した同フォーラムに出席した英国のトニー・ブレア前首相は、同日の記者会見で「韓国は援助を受ける国から援助する国に変わった、代表的な成功事例。韓国は多くの開発途上国に経済開発の経験やさまざまな教訓を伝授できるだろう」と述べた。同氏は「韓国は開発援助問題を扱う上で最適な国家」とした上で「魚を捕まえてやるのもいいが、魚を捕まえる方法を教えることの方が重要」と主張した。

 

　エチオピアのメレス・ゼナウィ首相は「韓国の開発経験には大きな関心がある。経済開発については、朴正煕（パク・チョンヒ）元大統領に学ぶ点があると信じている」と述べた。また「韓国とエチオピアの違いは、韓国は6・25戦争（朝鮮戦争）以降の開発政策が成果を挙げたのに対し、エチオピアは過去の政府の政策が開発に結び付かなかった点」と続けた。潘基文（パン・ギムン）国連事務総長は「国連加盟国の大半は、韓国が国連の追求する理想と目標を十分に達成した国だと評価している。かつて援助を受けていた韓国が、今や援助を与える国となり、援助会議を開催していることに、大きな意味がある」と述べた。潘総長はまた「韓国は昨年、主要20カ国・地域（G20）首脳会議で開発議題を採択し、国際社会の開発援助に関する議論に大きく貢献したが、こうした経験が今回の総会を成功させる上で大きな力になるだろう」と主張した。

 

　初日の会議では、2005年のパリ宣言と08年のアクラ行動計画の履行状況を確認した上で、新たな行動計画について議論した。韓国政府の関係者によると、この日のフォーラムでは「援助が開発途上国の開発に実質的な効果をもたらすためには、当事国が責任を持って開発政策を打ち出した上で、その国の実情に合わせて援助を受けるのが重要」という点に議論が集中したという。また「開発途上国は援助資金が効率的に執行されるよう透明性と予測可能性を高め、民主的なシステム構築に向けて努力すべき」との意見も多数挙がった。

 

　参加国の代表たちはこの日のフォーラムで、世界の開発援助政策をリードしてきた西欧の先進国と、新たな援助供与国として登場した中国、インド、ブラジルなどの新興国が、グローバルパートナーシップを積極的に構築することを確認した。30日に開催される正式な開会式には、ルワンダのポール・カガメ大統領、エチオピアのゼナウィ首相、潘基文・国連事務総長、米国のヒラリー・クリントン国務長官、ヨルダンのラーニア・アル・アブドゥッラー王妃らが出席する。開会式の後、主な出席者たちは、今回のフォーラムでの結論に対する支持や履行公約を盛り込んだ宣言文を発表する。

違法操業：中国漁船の対抗手段がエスカレート

　「側面攻略不可、船の後方から乗り移れ！」

 

　今月28日午前7時40分ごろ、格列飛列島（忠清南道泰安郡）西方24カイリ（約44キロ）の西海（黄海）海上。無許可で操業していた中国漁船2隻の側面には、巨大なフェンスが張り巡らされていた。両側合わせ、長さ70メートル、高さは1.5メートルに達していた。しかも漁船の側面には、長さ1メートルを超える鉄の棒が数十本、まるで「櫂（かい）」のように水平に差し込まれていた。このため、農林水産食品部（省に相当）西海漁業管理団に所属する500トン級漁業指導船は、この漁船の無許可操業を確認しながらも、すぐには接近を試みることができなかった。隊員たちは、通常通り側面への接近を試みたものの、フェンスややりに邪魔され、乗船が不可能な状況だった。

 

　漁業指導船から降ろされた高速ボートに乗っているのは、漁業監督公務員8人。3段式の警棒、スタンガン、ガス銃で武装していたが、鍛えられた海洋警察の隊員のように中国の船員たちと渡り合うには力不足だった。

 

　漁業指導船は、中国の船員が少ない船尾側に接近し、制圧することにした。船尾下方ではスクリューが回っており、乗船の途中で海に落ちれば大きな危険に見舞われかねない。幸い隊員たちは無事に漁船へ乗り移り、中国の船員たちを瞬く間に制圧した。中国の船員たちは、ほとんど抵抗しなかった。

 

　西海漁業管理団はこの日、フェンスややりで武装した中国の100トン級底引き網漁船（鉄船）2隻を拿捕（だほ）した。

 

　2隻の漁船には、中国人船員23人が乗っていた。ところが中国漁船2隻は、いずれもすぐに担保金5000万ウォン（約340万円）を払い、釈放された。海洋警察が西海漁業管理団からこの中国漁船を引き継ぎ、排他的経済水域（EEZ）の外に追放した。

 

　西海漁業管理団は「1－2年前から、船の周りをフェンスで囲み、やりを差した中国漁船が出没しているが、拿捕するのは容易ではなかった。こうした船を実際に拿捕したのは今回が初めて」と語った。さらに管理団は「海洋警察や漁業管理団の乗船を妨害しようとする中国漁船の巧妙な手法は、日を追って進化しており、取り締まりは容易ではない」とも語った。

 

　西海漁業管理団は、今月17日から12月末にかけて漁業管理船15隻を投入し、ペンニョン島から全羅南道宝城郡近海にかけての海域で、違法操業の中国漁船を集中的に取り締まっており、これまでに27隻を拿捕した。

権哲賢・前駐日大使、著書を出版

　「大使の家族は最後まで残って、一番最後に去るもの。二度とそのような話をしないように」

 

　今年3月、日本の東北地方で起きた巨大地震の後、当時の権哲賢（クォン・チョルヒョン）大使（現・世宗財団理事長）は、妻を叱りつけた。福島第1原子力発電所の事故により放出された放射能で、東京も危険だと報じられるや、妻が孫娘を韓国に帰らせようと懇願したときのことだ。権前大使は当時、妻の実家からも孫娘を韓国によこしてほしいと言われたが拒否した、と29日に出版した著書『大胆な大使、堂々とした外交』でつづった。

 

　権前大使は、著書で「私がなぜ、愛する孫娘をそのまま東京に居させたのか。危険ではなく、安全だったからだ」とし、動揺していた周囲の韓国人も説得することができたという。

 

　そんな権前大使も、巨大地震であらゆる交通が途絶え、人々が暗い表情で言葉もなく歩いている姿を見て「ああ、まさにこれが人類最後の姿なのだろうか」と、ぞっとしたと打ち明けた。

 

　権前大使は「私は後ろめたいことがなく、よく見せなければならない人もいない、初心者大使だった」とし、信頼の外交、予防の外交、粘り強い外交を行おうと努力したという。日本による独島（日本名：竹島）領有権の主張については「独島は私のポケットの中の宝石のような存在だ。日本が騒ぐたびにポケットの中の宝石を取り出し『私のものだから』争いは必要ない」と考えた。また、日本の国会議員らが鬱陵島に行こうとした件をめぐっては「彼らが鬱陵島や独島に行くためには、韓国政府の行政手続きを踏まなければならないが、その手続きをしようとすること自体が、まさに独島が韓国の領土だということを認めさせることだ」と話した。

 

　権前大使は2008年12月に李明博（イ・ミョンバク）大統領の特命を受け、日本と300億ドル（現在のレートで約2兆3000億円）の通貨スワップ協定を締結した経緯も明らかにした。

 

　当時、非協力的だった中川昭一財務大臣（当時）と、大使の公式日程に記録せず極秘に会い「韓国を助けることは、結局日本のためにもいいことだ」と説得し、成功させたという。また釜山市長に出馬しようとしてあきらめたとき、親交の厚い森喜朗元首相が、耳元で「2度とそんなことをするな」とささやいたというエピソードもつづった。