1960年代には一世を風ビしていた『平凡パンチ』も、1985年にはどん底になっていました。
誌名も『HEIBON PUNCH』と洋語になったのは、そのころ同じマガジンハウス刊行のメンズ・マガジン『POPEYE』『BRUTUS』が人気を博していたので、洋風にすればという発想です。
ソウルに取材チームが行って、一冊丸ごと韓国特集を制作した。
米軍基地の町・梨泰院にものすごくファンキーなナイト・ライフがあった。
市中のホテルにはすでにグローバルなDJクラブもあった。
東洋一と誇るタワーも建設中だった。
見るものすべておどろきの連続。
それまでどの日本のメディアもそんなソウルを紹介していない。
まだ遅れてはいるけど、「国際的だな」と印象をうけた。
しかし、撮影中に、KCIAにつかまって、あわや刑務所送りという危機はあった。
実際、夜は戒厳令下だった。
相当な緊迫感はあった。
まだ日韓の政府も激しく摩擦していた。
そして、1985年の正月に、その韓国特集が発売されました。
発売と同時に、NHKの9時のニュースで取りあげられるくらいのスキャンダルとなった。
そのころ映画監督・大島渚がバカヤローと韓国を罵倒し、それに対し韓国の文化人が一斉に反発し、騒動に発展していた。
その期の『HEIBON PUNCH』韓国特集!
カバーは韓国人の若い女の子が明らかに挑発している写真。
これが「韓国をなめとるんか!」と韓国のインテリの怒りを買ってしまった。
1985年01月14・21日号「平凡パンチ(平凡出版)」
PUNCH1冊まるごと 気になる国の大特集 韓カッコいい国
表紙:李浦姫(撮影・長濱治)
新春合併特大号・PUNCH1冊まるごと気になる国の大特集 GOES to KOREA:韓国からの誘惑、呉秀妃、韓国トップ・アクトレス(兪知仁 ほか)、流行少女通信・呉慧林、カタログ&ガイド、羅映姫、’85宇宙都市ソウルへ、金清道、韓国の電子人間―ナム・ジュン・パイク[白南準]、元巨人軍・新浦壽夫=三星ライオンズ・金日融“見知らぬ祖国”での1年を聞く、河亨柱、李世民 ほか / 生きる・37回(根本敬) / 荒木経惟のオンナ写真診察室 / 標本箱:チョー・ヨンピル・悠久の時を刻むわが愛蔵の書と山水画 etc.
今では韓国の特集本は当たり前のように出回っているが、この本が発売された時は衝撃だったのを覚えている。
もちろん発売と同時に購入。
記事中の
①妖花・チョンユンヒ 官能的な美貌で韓国から日本への道を切り開きながら、姦通罪で告訴され女優生命を断つ
②ヤタッ! やーっと潜入 Korean Gals のお部屋ルポ ホントは男性進入禁止! PUNCHだから許可してあげる
後にソウル行きの飛行機で知り合った在日の松浦千春から聞いた話によると、チョン・ユンヒの不倫の相手は松浦千春の親戚で、お部屋ルポの女性は妹だと聞いてびっくりしたことを思い出します。